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雪子・1

中国道を走るのは久しぶり。山陽道に比べると、カーブやアップダウンが多いけど、

めったに混雑しないから、気持ちがいい。広島県の千代田ジャンクションから、

浜田道で真っ直ぐ北へ。終点の浜田から益田まで、国道9号線が、日本海に沿うように

延びている。


 9号線に入った途端に、田舎に帰って来た気分になる。前を行く軽自動車は制限時速の

40kmちょうどでトロトロと走しる。イライラして抜かしてもムダ。次に追いつく車も、

きっと同じ。益田までの一時間弱の道のりは、時折出会う海の景色を楽しみに、ゆったり

した気持ちで走らなきゃ。

 大阪から、6時間かけて帰ってきた。


 私の故郷、島根県益田市。県の最西端の静かな田舎町。

 私はここで、生まれ育った。


 《あっ、そこ・・、その信号、左ね。》

 駅前交差点の一つ手前の信号、ポプラの前で降ろしてもらった。

 《そうそう、このあたりのコンビニは、全部ポプラなの。ローソンなんかないよ。》

 (誰にも会いませんように・・・)

 《じゃあ、ここでね。だいたい9時くらいかな?うん、終わったらメールするね。》

 

 数年前に出来たばかりで、まだ真新しいグリーンホテルのロビーに入ると、

聡君が待っていてくれた。


 「ゆきっぺ?ゆきっぺか?」聡君は本当に飛ぶようにやってきて、私の前に立つと、

これ以上はないって笑顔で、

 「遠かったろう?ようきたねぇ、ようきたねぇ。」と、私がちょっと恥ずかしくなる

くらいの大声で言った。聡君の顔が、サーッと赤くなるのがわかった。こんなにも

心待ちにしてくれていたのかと思うと、なんだか胸が、ジンとして、うれしかった。


 「みんな、もうきとるよ。たぶん、ゆきっぺが最後じゃけん。こっち、こっち。」

 「うん、わかった。ありがとう。」(でも大声、やっぱり、かなり恥ずかしい。

ほら、ロビーの人たち、みんな見てるよ)


 聡君はそんな私の心の声になんか、全く気が付かなくて、「ゆきっぺが来たぞ」と

声をあげながら、会場に私を押し込んだ。


最後までお読み下さり感謝いたします。全9回を予定しております。温かい作品にしたいと思っております。どうかぜひ最後までお付き合い下さい。なお、文中で【島根県・益田市の方言】を使用しておりますが、筆者不勉強により、若干言い回しに不備があるやも知れません。その方面にお住まいの方より、ご指摘、ご教授いただけましたら、幸いです。

また、読後に、感想などお寄せいただけましたら、望外の喜びと存じます。

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