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雨のち晴れ  作者: 栞那りあ
0歳~12歳
9/104

小学校 1度目のいじめ 続き

 そして賀世子ちゃん以外の女の子と話していたら、朝の登校中にその子を名指しされ、○○ちゃんとは話しては駄目と命令されることが追加された。日に日に禁止される人数が増えていった。

 4年生のある日、いつまでこれを我慢しなければならないのかと、当時仲良くなってた女の子(話しては駄目と言われた子の一人)に賀世子ちゃんが休みの日、こっそり賀世子ちゃんの愚痴を話してみた。

「それっていじめだよ!そんなのおかしいよ!」と言われ、反抗してみたい気持ちがフツフツ湧いてきた。

 ある朝の登校中、緊張で声が震えながらも「もう嫌になったから賀世子ちゃんの言うことなんて聞きたくない!賀世子ちゃんとも登校したくない!」と勢いに任せて喚いてみた。

 一通り言い終わった後になって反応が怖かったが、意外にも賀世子ちゃんは凄くビビっていた。

「今まで本当にごめんなさい、ママに色々命令されていたからその憂さ晴らしをしていたの。嫌いにならないで。許して」

 終いには泣き出してしまい、なんだか可哀想に思えてきた。

 机チェックも一日何をしていたのか言わされるのも、きっと賀世子ちゃん自身が親にされていたことなんだろうなぁと。

 小さな物を横取りされていたのも、無駄な物は買って貰えなかったからだろうなぁと。

(豪華な七段雛飾りがあったり、ピアノの先生を家へ呼んで定期的にレッスンを受けていたおうちなので、決して貧しい訳ではない。厳格なおうちというだけ)

 そう思うと賀世子ちゃんを許したくなって、もうしないでねということで和解した。

 5~6年では別のクラスになったこともあり、距離は空いた。


 いじめと言えど、今思うと可愛いもんである。

 しかし机の中などプライベートな部分を覗かれるのは、その後ちょっとしたトラウマになってしまった。


 その小学校4年生くらいの頃だっただろうか、本匠永久子ほんじょうとわこちゃんという明るくて元気な女の子が同じクラスにいた。

 ただ顎が少し出ていたことをからかわれ、ふざけた男子達に「猪木!ボンバイエ!猪木!ボンバイエ!」と言われてしまっていた。

 ある日の帰りの会で、永久子ちゃんが「猪木ボンバイエと言わないで下さい」と勇気を出して自身の嫌な思いを吐露したことで、騒動は収まった。

 途中で永久子ちゃんは家庭の都合で関東地方へお引越しして行ったが、皆の前できちんと抵抗できたあの時の永久子ちゃんの勇気を、中学の私も見習いたかったと今になって尊敬する。先程の賀世子ちゃんへの抵抗も我ながら偉かったと思う。

 思えば、片桐くん相手によく泣いていたのも、一種の自己表現として正しかったのかもしれない。我慢し続けることが屈しない強さだとばかり思っていたけれど、我慢出来なくなったら抗議の声を上げて、それでも駄目なら涙を見せていたら結果は違っていただろうか。


 中学生になって母子手帳を読んだ後に起こった、3度目のいじめで私は精神科のお世話を受けることになるのだが、その前に一旦家庭環境の話をしておこうと思う。これは恐らくいじめと大いに関係してくる。

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