第三話 外交の必需性
二階堂家は陸奥国の岩瀬郡を支配した戦国大名です。
居城は須賀川城。
福島県の須賀川市にかつて存在し、現在は本丸跡に二階堂神社が残っているそうです。
あの話し合いからさらに忙しくなっていた。
だが俺は幸いにも元服前の為、戦場に出れない。
要するに時間があった。
もちろん、その時間は有効活用する。
早朝は柔軟から股割り、そしてランニング。
午前中に武将としての教養を身につける。
午後は町に出て民の暮らしの確認。
お供がいる時は職人と商談をする。
木工職人との商談する時は帰りに処分する木片を貰うのは忘れない。
時間がある内に活版印刷用の文字を一つ一つ彫り出し、準備している。
日が落ちる前にまた、早朝と同じメニューをこなす。
一部の行動について、やはり理解されない。
中にはうつけだの言う輩はいるが、やる理由について説明している。
それ自体も理解されないこともあるが、目的があって行動していることを示すのが大事だと思う。
味方を欺くわけではなく必要なことをするのに躊躇わないと、これから家臣になる者達に知らせないといけないから。
織田信長の様にうつけと呼ばれ続け、家臣にも理解されないなんて、俺は耐えられないだろう。
正直なところ、織田信長が激情家と言われるのはそれが所以だと考える。
木下藤吉郎がいるではないかと思う人もいるだろう。
しかし、織田信長を理解しているというより出世する為に物分りがよくなければいけないという面が強かったと思う。
故に織田信長の苦悩を和らげることはできていない。
なにより問題であるのは理解者ができても、その者はすぐに死んでしまったのも問題だろう。
織田信長の理解者である父、織田信秀は織田信長が若いうちに死ぬ。
織田信長を認めた舅、斉藤道三は認めてしまったが故に息子に殺される。
後は織田信長の資質を早くから気がついた朝倉宗滴は斉藤道三より早く死ぬ。
自分のことが理解されない。
理解されないから伝わらない。
何を言っても伝わないのはイラつくものだ。
家臣に仕事を与えても理解もされず、伝わらないから失敗を重なる。
俺はそんな環境になるのは御免被りたい。
話は脱線してしまったが、今できる範囲の下準備は整ってきた。
そして天文の乱も、もうすぐ終結しようとしている。
父上はどうやら伊達晴宗側につくことを決心したみたいだ。
蘆名家との距離感はこれからどうなっていくのか予断は許さない状況である。
足利家が介入する時、知己を得れないだろうか。
もしも蘆名家か田村家が争いをするのに二階堂家を攻めるようなことがあれば停戦させ先送りにできる。
勝たなくてもよく、耐えるだけでいいのだ。
勝つ以外の手が一つ増えるだけでもすごくありがたい。
正直、戦はしたくない。
部の悪い賭けにしかならないから、負けないようにするのですら難しい。
領地は小さく、周辺に大きい大名がいる。
戦に勝つため次世代である鉄砲を導入したいが領地の位置が問題で発展させにくい。
都から遠い為、鉄砲鍛冶を誘致するのは難しいし購入するにも元が高いのにさらに高くつく。
ゲームの様に兵数と統率能力、武力と兵法といったのが基準となる戦いになりやすい。
この前提で部が悪くないと言える奴がいたら協力してくれ。
戦をすれば内政も停滞してしまうから余計にしたくない。
戦をすればするほどエビフライまでの道が遠のくのだ。
ゲームの様に人をぽんぽんと補充はできない。
が、ゲームの様にこの時代はぽんぽんと人が死ぬ。
一回の戦で大損害を被れば、諦めなければいけない事業も出てくるだろう。
いかに戦を回避し続けるかが問題だ。
うまく外交をして衝突しないようにする策をもっと考えとく必要があるな。