表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
632/655

邪神……⑥


「はぁぁぁ―――っ!」


 大声を上げ、怒りに我を忘れてオレは邪神ゾルダートに突進した。頭を低くし、テリオネシスの剣を腰に構え、ひたすら一直線に走る。そして全身全霊を込めた突きを奴に放った。

 それは生半可な防御では到底防ぐことのできない究極の一撃だ。

 事実、防ごうと構えたゾルダートの盾を軽々と貫き、奴の胸に突き刺さるほどの鋭い突きだった。


「え?」


 だが、貫いた相手はゾルダートではなくハーマリーナ似の侍女だった。たぶん、例の権能で近くにいた彼女と入れ替わったに違いない。他の侍女達は玉座の傍にいたが、たまたま一人だけすぐ近くにいたようだ。どうやら、最初にオレ達を案内してくれた侍女らしい。味方の位置は把握していたけど、さすがに敵側の配置までは意識してなかった。


「ゾルダート、貴様!」


 力なくオレにもたれかかる侍女さんを受け止めたオレは、離れた位置に立つゾルダートを睨みつける。


「ほう、非戦闘員に手をかけるとは君も存外、悪逆非道だな」


「あ、あんたのせいだろ!」


 ニヤつきながら非難する奴を睨みつけてからオレは侍女さんの亡骸を丁重に床へ横たえ、剣を引き抜いた。


 機械人形ゴーレムとハーマリーナが言ったように全く血は出ていないが、身体に大穴が開き機能は停止していた。彼女たちにとっては死と同義だろう。

 

 思わず、血が上っていた頭が一気に醒める。


 オレが壊した……いや、殺してしまった。


 唇をぎゅっと噛んで目を瞑る。


 そうだ、思い出した。ゾルダートはこういう悪辣な奴だった。

 冷静さを欠いていては勝てるはずない。


 オレは大きく深呼吸するとゾルダートに身体を向ける。


「イーディス、すまない。小細工してる暇はないみたいだ」


「初めからそう言っている。私のことは頭から捨てて戦うがいい」


 視線を向けずにイーディスに言い訳すると彼女は静かな声で肯定した。


「ありがとう。本気で戦わせてもらうよ」 


 オレがテリオネシスの剣を握り直しゾルダートに近づこうとすると、奴は使い物にならなくなった盾を投げ捨てると、忌々しそうにオレに言った。


「お遊びは、もう止めるとしよう。敢えて君の得意な近接戦で戦ってわしの力を見せつけて屈服させてやろうと思ったが、さすがに剣士で無いわしには分が悪いようだ。本来のわしの戦い方に戻るとするか」


 そう言うとゾルダートは、あろうことか右手に持っていた剣を床に突き立て手放した。


「本来の戦い方?」


 どうやら今までの戦いはオレに合わせた座興だったと言いたいらしい。


 確かにフォスティーヌさんの身体能力は凄かったけど、剣技はさほどでは無かった。

 恐らくゾルダート……アイル皇子は皇子として幼少のころ剣の手ほどきを受けたのだろうが、病身のため中途で諦めざる得なかったのに違いない。

 なので、全くの素人では無いが、熟練の域には達していない剣捌きと言えた。


「我がしもべよ、この身の程を知らぬ娘に我の偉大さを知らしめるのだ」


 邪神ゾルダートは両手を胸の前へ伸ばすと、左右の五指から黒い稲妻を放った。

 稲妻は床に到達すると、それぞれが黒いもやもやとした影のよう物体となって立ち上がっていく。


「一対一は分が悪いんで、数に任せてオレを倒そうってことか、ゾルダート!」


「否定はせんよ。誰にでも得意不得意はあるものだ」


「ふんっ、神様って全能じゃ無いのかよ」


「おや、わしを神と認めるのだな」


「ち、違うわい」


 オレが焦って否定している間に、10体の影はオレの逃げ道をふさぐように取り囲んでいた。


 


「重っ……って、実体があるのか」


 襲ってくる黒い影をテリオネシスの剣で弾き返す。


 もやもやしてるから霧状の何かかと思ったら、実体を伴った攻撃のようだ。

 剣などを持たない代わりに、手の先の部分が円錐状に尖っていて、まるで槍のように突き刺してくる。

 剣で弾いたが、思っていた以上に重い打撃だ。

 オレの着ている皮鎧では防具の効果は望めないだろう。


 と、なれば攻撃あるのみだ。


 突きを躱しながら襲ってくる黒い影を叩き斬る。

 霧みたいに手応えが無いかと思いきや、やはり攻撃と同様に実体があり、両断され消滅した。耐久力はさほど無いようだ。


「おっと……」


 手だけでなく足も尖らせて蹴りを放ってくるが、難なく回避する。数は多いが俊敏性は高くなく冷静に対処すれば怖い敵では無い。

 

 そう考えた瞬間、肩に衝撃が走る。


「っ……」


 痛みと熱さを覚え、思わずバランスを崩したところに黒い影が殺到する。


 咄嗟に床に転がって難を逃れるの精一杯だ。

 黒い影たちが次々と床を突き刺すのを見ながら、ごろごろと囲みから抜け出して立ち上がる。

 慌てて肩を見ると皮鎧がぶすぶすと焼き焦げて穴が開いていた。


 顔を上げてゾルダートを見ると、腕を上げて呪文を行使したのがわかった。どうやら、オレの回避先に向かってゾルダートが魔法攻撃を行ったようだ。


 影に攻撃させながら自分も魔法攻撃してくるのか……ちょっと厄介だ。

 しかも、オレの近くにいた一体の影の腕も吹き飛んでいるので、敵味方関係なく撃ってくるみたい。ただ、黒い影の攻撃もそうだが、オレを即死させようという意思は感じられなかった。恐らく、真綿で首を締めるように徐々に体力を削ることで、聖石の力を出し切らせ疲労困憊するのを待つ算段のようだ。


 どうしたらいい……って悩んでいてもしょうがない。

 オレのやれることをやるだけだ。


 再び、オレはゾルダートに向かって突進した。

 行く手を阻む黒い影を粉砕し、ゾルダートの魔法攻撃を躱しながら前へ前へと突き進む。 ちらりと横目で見れば、残っている侍女達は玉座の隅で縮こまっているのが見えた。

 あれなら、ゾルダートの権能の範囲外と思いたい。


「ゾルダート――!」


 目の前のいた黒い影を足蹴にしながら踏み台にして、オレは大上段からゾルダートを叩き斬った。

 オレの渾身の一撃はゾルダートを頭から腰まで唐竹割に両断する……はずだった。


「な……」


 斬った相手は確かに二つに両断された。


 けれど、それはゾルダートではなくオレを襲っていた黒い影だった。


「おやおや、最後の一人もとうとう倒されてしまったようだ」


 入れ替わった場所に立つゾルダートが残念そうに言うと、再び指先から黒い稲妻を発する。すると、先ほど同様に10体の黒い影がオレの前に現れた。

噂のAIノベリストを見てみました。

凄いですね。びっくりしました(>_<)

いつか、小説もAIが書く時代が来るのでしょうか?

ちょっと怖くなります。


あと、年末調整用の保険料控除の証明書が見つからなくてパニックになっています。

明日、掃除しながら探さないと……。

無かったら再発行か(T_T)

いよいよ今年も終わりに近づいてきた感がしていますw


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=687025585&s
― 新着の感想 ―
[良い点] >「ふんっ、神様って全能じゃ無いのかよ」 おお、リデル君も唯一神を信仰する敬虔な僕であらせられましたか。 …キリスト教ジョークはともかく変わり身の術はストレスが溜まりますね。リデル君だか…
[一言] どうにかできるのかな AIのべりすとはうまく操縦しないとプロットとかには沿ってくれないからねぇ なおエッチな小説の喘ぎ声を書かせるのには便利な模様
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ