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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
534/655

停戦……③

誤字報告ありがとうございます。

とても助かっています。

今後もよろしくお願いします。

 それに対してネヴィア聖神官は相好を崩して答えた。


「なるほど、我々が手に入れた情報の通り、貴女は率直な方のようだ」


「すみません。融通の利かない性格なので」


「いやいや、神官にとってそれは美徳ですよ。世の中には時勢により簡単に変節する輩が多過ぎますからね。ただ……」とネヴィアは続ける。


「聖神官であるなら、多少の柔軟さが必要となるのは必至と心得た方が良いでしょうね」


「恐れ入ります」


 パティオは頭を下げるが、すぐに顔を上げると意を決したように口を開く。


「ネヴィア聖神官。アリシア皇帝について、もう一言申し上げたいことがあります」


「伺いましょう」


「ただ、この件については人づての証言があるだけで確たる証拠がある訳ではありません。ただの誹謗中傷となるかもしれませんが、よろしいですか」


「ええ、ぜひお願いします」


 パティオはオレの方をちらりと見てから話し始める。


「アリシア皇帝はイオラート教ではなくゾルダート教を信奉しておられるようです」


 パティオ……その件、このタイミングで伝えるのか。


 情報源はオレだから、必要なら証言するけど、ホント度胸があるな。

 憶測で皇帝を非難するなど、聖神官として不適切と査定される可能性もあるのに。 


「…………そうですか」


 ネヴィア聖神官は静かに答えた。


 あれ、驚いている様子がない。

 って言うことは……。


「ネヴィア様は……教皇庁は、すでにご存じなのですね」


 パティオの方が目を丸くして問う。


「教皇庁の手の者は思った以上に多く、そして深く浸透しているのですよ」


 ネヴィアは平然とした様子で続けた。


 恐るべし教皇庁。

 どこに、その目や耳があるか分からないってことか。

 やっぱり、宗教って恐ろしいや。


「今回、私が帝国に派遣されたのは、実はその件も深く関わっています。そして、ことは表面以上に厄介な問題となっているのですよ」


 ネヴィアは深刻そうな表情を浮かべた。


「お二人とも、各陣営の思惑と今後の動きについて、どう考えておられますか?」


「各陣営の思惑ですか?」


 いきなり、ネヴィア聖神官が試験官のような質問をするので、パティオは面食らったように鸚鵡返しをする。


 ちょっと待ってくれ、『お二人とも』ってオレも試験に巻き込むなよ。

 昔から試験って名の付くものは苦手なんだから。


「ええ、思ったことを答えていただければ構わないです」


 ネヴィアは優しく言うが、パティオもオレも顔を見合わせて返答に窮した。


「おそらく皇帝側も反皇帝側も手詰まりの状態なので和議を結びたいと考え、教皇の調停を仰ぎたいとのだと思います」


 少し考えてからパティオが、そう答える。


 うん、オレもそう思うよ。

 オレが内心、同意しているとネヴィア聖神官は不出来な生徒を窘めるように言った。


「それは目に見える現状を述べているに過ぎません。思惑や今後の動きについて考察を述べてください。外交分析は聖神官には必要なスキルですよ」


 だから、オレには関係ないよね。

 君はどう思うって顔で、こっちを見ないでくれ。


「ヒントは派遣されたのが私だと言うことと、現在までの戦争の推移です」


 ネヴィア聖神官がヒント?

 どういう意味だ。


「そうか……そういうことですね」


 パティオアが不意に声を上げる。


「気付いたようですね。では説明を願います」


 ネヴィアは嬉しそうに先を促した。


「はい、これまでの推移を最初から述べますと……」


 ・反皇帝側ライノニアには、アリスリーゼ討伐軍が帝都を留守にするのを見計らってクーデターを起こす。

 ・と同時に密約を結んでいたフォルムス帝国が国境を越え、帝都近郊でライノニア軍と合流し帝都を攻撃する。

 ・しかし、これを警戒していた近衛軍が帝都に籠城して反皇帝軍の猛攻に持ち堪える。

 ・そうこうしている内にアリスリーゼ討伐軍が驚くべき速さで反転し帝都へ戻ってくる。

 ・反帝国軍(ライノニア・フォルムス帝国)はそれを帝都近郊で迎え討とうとするが、討伐軍と呼応した近衛軍との挟撃に遭い大敗する。

 ・皇帝軍(討伐軍と近衛軍)は勢いに乗じて反皇帝軍を攻め立てるが、アルセム王国の参戦で膠着状態に陥る。


 今、この状態にあるとパティオは説明し、考察を続ける。


「現状、確かに膠着状態に陥っていますが、実際どちらが優勢かと言えば皇帝軍の方です。反皇帝軍が均衡を保てているのはひとえにアルセム王国軍の参戦のおかげです」


「……それで?」


「ですが、アルセム王国の参戦は既定路線ではなかったと考えられます。それは、当初から参戦しなかったことと、ライノニアとアルセム王国の関係から中立が関の山と思われるからです」


 確かにライノニアとアルセムは不倶戴天の敵同士の関係で、国境から帝国軍が引き上げるのを黙認するだけでも驚いたぐらいなのだ。


「なので、相当な好条件を示されたのだと思いますが、積極的な参戦だと考えにくいでしょう。それこそ、何か事情が変われば撤兵の可能性もある」


 そう言いながら、パティオはネヴィア聖神官に目を向ける。


「そして、教皇は調停役として貴方を派遣された」


 パティオの視線にネヴィア聖神官は優しい笑みを浮かべている。


「現アルセム王の弟であり、アルセム王国に強い影響力があるネヴィア聖神官をです」


短めで、すみません。

リアルが忙しくて、お疲れモードです(>_<)

今期のアニメも積むばかりで全然見てません。

{欠かさず見てるのは『ハイキュー』だけですw)

コロナ禍も酷いので、皆様もお気を付けくださいね。

(気を付けようもない気もしますが……)

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― 新着の感想 ―
[一言] リデルは言われるまで絶対分かってなかったな( ˘ω˘ )
[一言] もっと沢山読みたいですが、身体を休めるのも大事です。世の中コロナで大変ですが続きをいつも楽しみに待ってます! 私も仕事でヘトヘトだぁ_:(´ཀ`」 ∠):
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