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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
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動乱のはじまり……②

「オレを探してる人だって?」


 オレはマテウおじさんの言葉に思わず身構える。


 というのも、師匠と行動を共にするきっかけとなった影の化け物を倒してから、別の怪異に何度となく襲われていたからだ。誰からの刺客かは分からないけど、普通の人間ならひとたまりもない相手と言っても過言ではなかった。

 あいにく、オレも師匠も人間離れしているというか、ほとんど人外なので通用しなかったのだけど。

 それでも、周りの人間に巻き添えが出るといけないので、こうして人里離れた山奥を鍛錬の場として選んでいる。

 ただ、ここに居を構えて以来、襲撃がすっかり途絶えていたので、もう諦めたのかと思い込んでいた。

 どうやら、簡単には許してくれないらしい。

 どこの誰だか知らないけど、相当に恨みを買っているみたいだ。


 でも待てよ……とオレは考える。


 今までの連中は、闇に紛れて襲ってくるような不埒な輩だった。こんな風に真正面からの接触、って言うか、明らかに不用意な行動を取ってくる相手ではなかった。


「ねえ、マテウおじさん。その人って、いったいどんな人だった?」


 オレの問いかけにマテウおじさんは、鼻の下を伸ばす。


「いやあ、別嬪さんだったよ。あんな美人はここらじゃ、ちょっと見かけないね~。まだ、若いのにしっかりしてて……清楚な中にもハッとするような色気があって……あ、もちろんリデルちゃんの方が可愛いよ。けど、あっちは大人の色気があったなぁ」


 悪かったな、お子様で。

 絶対にあとで、おばさんに密告くってやる。


「で、その別嬪さんの名前は、何て言うの?」


 おじさんが告げた名前はオレの知らない名前だった。

 たぶん、偽名だろう。


「前に、『オレたちのことは口外しないでくれ』って言われてたから、素知らぬ顔で通したけど、リデルちゃんの知り合いかい?」


「いや、知らない名だ」


「そうかい、ずいぶん親し気な口ぶりだったけど、何も言わなくて正解だったな。とにかく、かなり焦った様子に見えたよ」


「焦った様子?」


「ああ、何か大事な話があるとかで、すぐに会いたいって言ってた」


 オレに会いたがっている清楚で色気のある人物。おじさんの言葉から推測すると、オレには心当たりがあった。

 もし、そうならどうして、こんな僻地まで? 疑問符が頭に浮かぶ。


 そして、マテウおじさんの牧場から仮住まいの住居に戻ると、果たしてオレの目の前に想像していた人物が現れた。




「お久しぶりです、リデル様」


「やあ、ホント久しぶりだね。でも、もう皇女じゃないんだから『様』付けは止めて欲しいな」 


「でも、私は皇女様になる前からずっと『様』付けでしたよ」


 知ってる。


 クレイの大切な人だから『様』付けなんだよね。

 けど、その関係も今は……。


「リデル様はリデル様なんです」


 真剣な表情で彼女は言う。


「そ……うなんだ。で、何でこんなところに? あ、ひょっとしてクレイの奴に何か言われて、ここまで来たのかい? あいつ、ホントに人使い荒いなぁ」


 冗談めかして言うと、気丈な振りをしていた彼女の顔がくしゃりと歪む。


「リデル様……クレイ様を……クレイ様をお助けください!」


 めったに感情を表わさない彼女が涙を浮かべ懇願してくる。


「え? いったい……何があったんだ、ソフィアさん」


 オレは膝から崩れるソフィアの手を握って、倒れ込まないように支えた。





「とにかく、これでも飲んで落ち着いて」


 気が動転しているソフィアを仮住まいに引き入れると、椅子に座らせてぬるくなった茶を差し出す。


「……ありがとうございます」


 やっと気を落ち着けたソフィアは、ぼんやりとカップに口をつける。


 改めて様子を見ると、常に身なりに気をつけていたソフィアとは思われない格好だった。旅装束は長旅のせいで薄汚れていたし、顔や手にも土埃が付いたままだ。

 よほど、急いでオレを探し回ったのだろう。


「それにしても、よくここにいることがわかったね」


 刺客に備えて居所を転々と変えていたので、追跡は困難だったはずだ。


「いえ、簡単でしたよ。リデル様は目立ちますし、一緒にいる方も個性的ですから。皆の印象に残りやすいんです」


 ソフィアは疲れたような笑みを浮かべながら指摘する。


 ホントに元気がなさそうだ。


 ってか、あれだけ周到に移動してたのに、簡単だったと言われると立つ瀬がない。

 ソフィアの追跡能力が高かったということにしておこう。


「で、クレイの身に、いったい何が起こったんだ?」


 元気の有無はともかく、少しは落ち浮いたように見えたので、オレはソフィアに思い切って尋ねた。


「クレイ様は今……その前にリデル様は最近の帝都の状況をご存じですか?」


 一気に話そうとして、オレの緊張感の無い様子に気付いたソフィアが逆に聞き返す。


「いや、ずっと山奥にいたんで、この半年のことは、よく知らないんだ」


 正直な話、人の立ち寄らない辺境の村では中央の動静なんて、あんまり関係ない。

 明日の天候と気温の変化さえ、気にかけていればいいのだ。


「そうですか……では簡単に説明しますね」


 どうやら、クレイの危機は帝都の動きに関係あるらしい。


「今からちょうど三月ほど前に、アリシア皇女が皇帝即位を宣言なさいました……」


何とか間に合いました。

出来立てホヤホヤですw

いつもは、少し時間を置いて見直すのですが、今回はできませんでしたので、変なところあるかも(>_<)

最近は公私にわたって綱渡りです。落ちないように気を付けます。


あと、この後書きですが、日記のように書いてますが、後から読む人には邪魔ですかね?

一定期間、掲載したら消すって方がいたんで少し考え込んでいます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 綱渡りを踏み外さないようにお気をつけて…… 命大事に( ˘ω˘ ) [一言] これからどう転がることやら あとがきは別に残しててもいいと思いますよ~
[一言] ありゃ遂に即位しちゃったかーなんてことだ(@_@) クレイにも何があったかきになりますねー 日記?別に私は邪魔では無いですけどねー。むしろ毎回読んでますよ(笑)
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