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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
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昔語り……③

 行政府の中等官というと、けっこうな役職だ。平民階級でもなれることはなれるが、俺より少し年上に見えるダンフォードの年齢で就ける役職や地位ではない。

 貴族であるゲルマルク男爵が気を遣っているところを見ると、この出世は貴族特有のあれと考えて間違いないだろう。


「ダンフォード様、こちらこそお目にかかれて光栄です。わたくしどもに何か仕事の依頼がおありと伺い……」


「勝手にしゃべるではない、下賎な傭兵ごときが」


 ゲルマルク男爵は、俺がダンフォードに直接話しかけたのが気に喰わないようで、俺を叱責する。


「まあまあ、ゲルマルク様。貴方が貴族のご威光を見せれば、下々の者は萎縮してしまいますよ。この場は、私のような軽輩が相手をするのが相応しいでしょう」


「何を言われる。ダンフォード殿の役職は今は低いが、お父上のご身分考えれば……」


「ゲルマルク様、それはこの場では」


 ゲルマルクが口を滑らそうとするのを、ダンフォードはやんわりと遮った。

 やはり、一親の身分が高いらしい。

 おそらく高位貴族の息子で、跡継ぎで無いので文官になった口だろうか。


「とにかくゲルマルク様のおかげで、ようやく捜していた人物に会うことが叶いました。心から感謝申し上げます」


「いや、ダンフォード殿に頼まれたら、断る理由がありませんな。礼には及びませんぞ。ただ、お父上によしなにお伝えいただければ……」


「わかりました。父にはゲルマルク様の助力を受けたことを必ず伝えましょう」


「ありがたき、お言葉です」


 何となく、貴族社会の見えないしがらみが見えて、嫌な感じを受けた。

 そしてどうやら、その会話で、ゲルマルク男爵とは話がついたようで、ダンフォードはこちらに顔を向ける。


「外に馬車を待たせてあります。あなたが差し支えなければ、場所を変えて話をしたいのですが」


「別に構わないが、連れに……」


 連絡してから、と言いかけて口を止める。

 何があるかわからないところに、ロニーナを連れて行くのは危険だ。


 あの女神のよう美貌と化け物のような戦闘力は、問題を起こさずには居られない運命だと最近実感している。だから、俺が一人でこの謎多き人物に対応した方が無難なのだ。

 それに、ダンフォードの目的が、そもそもが俺目当てのように思えるので尚更と言えた。


「デイル殿?」


「いえ、何でもありません。仕事の依頼内容、お伺いしますので、どこへでも参ります」


「助かります。時間も取らせないので、安心してください」


 ダンフォードは俺のような傭兵に気さくに話しかけると、馬車まで先に立って歩き始めた。



 馬車に乗り込むと、いきなりダンフォードは頭を下げた。


「すみません。おそらくゲルマルク男爵がいろいろと無理を言ったことと思います。彼も根は悪い人物ではないのですが、なにぶん身分の下の者に尊大なところがあって、ご不快に感じられたでしょう」


「いえ、大丈夫ですから。俺みたいな者に頭など下げないでください」


 ダンフォードの謝罪に俺の方が恐縮する。

 先ほどの男爵の様子からも、この人のお父上はかなり身分が高いと見た。

 それに、腰が低く見える人ほど優秀な人間が多いと聞く。

 ダンフォードの若さで中等官と言うのは、いくら親の七光りと言えども、その血筋だけでそう勤まる役職ではないはずだ。


「そう言っていただけると幸いです、デイル殿。貴方を探すのに手間取りまして、苦肉の策で彼に力を借りましたが、こちらの本意ではありませんでした。ですが、あなたにお会いすることが出来て本当に安心しました」


 ダンフォードの歓迎振りに少し不安を覚える。

 俺ごときとの邂逅に、これほど熱が入るというのはどう考えてもおかしい。


「あの、ダンフォード様。俺、いや私はいったい何の仕事をするのでしょう? ゲルマルク様から身代わりとして視察に赴くとしか聞いていないのですが……」


「そうだと思います。ゲルマルク様にはそれほど情報を渡していませんからね。実はさきほど、ゲルマルク様が仲介者で私が真の依頼者のようにお伝えしましたが、私自身も本当の依頼者ではないのです」 


「え?」


「私の役目はあなたを探し出し、依頼者の前に連れて行くことなのです。依頼の詳細については、デイル殿が依頼者のお眼鏡にかなった場合、お知らせすることになります」


 この人も依頼者でないって?

 どう考えても話の展開が不穏だ、きっと良くない状況が待っている気がする。


「という訳ですので、しばらくはお待ち下さい」


 ダンフォードはそれ以上の会話を打ち切ると黙り込む。


 俺もどうして良いかわからず、無言になりながら馬車の外を眺めた。馬車は大通りをどんどん進み、貴族が多く住む上流層のエリアへと入っていく。

 やはり、相手は貴族絡みか。

 大方、素行の悪いお坊ちゃまの身代わりで、面倒な視察を押し付けられるってところだろうか。

 どうせ、視察と言っても『お飾り』で居ても居なくても、あまり変わらない立場に違いない。

 でなければ、無教養な俺が担ぎ出される訳がなかった。


 とにかく、宿で待っているあの二人のためにも、依頼主に気に入られて仕事を確保するように頑張らないと……。

 俺は馬車の外に目を向けながら、お貴族様との面談について思いを巡らせていた。

別サイトのイベントで書いた短編ホラーが完成しました。が、あまりによろしくない内容でしたので、このままイベント終了後にひっそり消そうかと思ってますw

なろう転載も考えていましたが、ペナもらうのも怖いので……。


それと「いつ可」完結後の新作が始動しました(←おいっ!)

今から細かい設定とプロットやキャラを考えている最中です。

書き溜めて、完結後すぐに開始したいと思ってます。

ただ、いつになるかは不明ですが……(>_<)

その時は、よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] デイルも遂に捕まったね~精神すり減りそう [気になる点] ロニーナが巨乳の赤ドレス姿でイメージしてしまう自分がいる。 リデルを見る限りあり得ないのに!(酷い) [一言] 「いつ可」終わるの…
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