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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
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別離……④

 ラディク様?誰だ、それ?

 クレイの部下が様付けで呼ぶのだから、きっと身分のある人間なのだろうけど。

 あ、でもクレイは呼び捨てにしてるな。

 いったい、何者だろう。


 オレが訝しげな顔をしていると、シンシアがそっと耳打ちしてくれる。


「ラディク様は、クレイ様の弟様です」


 え、クレイの弟?

 そう言われて見れば、どことなくクレイに似ている。

 クレイを少し若くして線を細くした感じだ。

 背はクレイより、やや低めで体格はほっそりしている。


 近づくにつれ見えてくる笑顔は優しげで、クレイのような皮肉めいた笑みではなかった。

 うん、パーツは似ていても確実にクレイより美男子だと思う。

 それにクレイ独特の庶民っぽさと言うか人懐っこさが薄く感じられる。

 どこかの貴族の子弟と言っても通用しそうだ。


「兄上、お久しぶりです」


 ラディクの声はクレイより若干高め、よく通る声だった。


「ラディクか、久しぶりだな。わざわざ来なくても、後で実家に顔を出すつもりだったのに」


「そう仰いますが、屋敷に立ち寄ったことなど一度もないではありませんか。僕は兄上が帝都に来る度に、何時いついらっしゃるかお待ち申し上げていたのですよ」


「俺は親父から勘当された身だぞ。そう簡単には顔は出せないことぐらい、お前もわかっているだろう?」


「そう思っているのは兄上だけです。父上も僕もそんなつもりはありません。現にソフィアを始めとする一族の者が協力しているのは、兄上を次期当主と認めているからです」


「……次期当主は、ラディクお前だ。前にそう決めただろう」


「それは兄上が一方的に決めたことです。それに仮にそうだとしても、兄上が一族の一員であることには変わりありません」


「それは痛感している。離れてみて、やはり俺の中の『流浪の民』の血に抗えないものがあると感じてはいるよ」


 いきなり始まった兄弟同士の言い争いにオレは目を丸くするが、ソフィアやシンシアが驚かないところを見ると、いつもの応酬なのだろう。

 確かに本当に仲が悪いという感じはしないし、逆に仲良げに見えた。


「とにかく、お前の言い分はわかった。だが、話は後で聞く。別の部屋で待っていてくれ。今はその……取り込み中なんだ」


 クレイはオレをチラリと見て、話を打ち切ろうとする。


「そうは参りません。僕もその『取り込み中』に用向きがあって来たのですから」


「なに?」


 ラディクの言葉にクレイの表情が強張る。


「貴女が噂のリデルさんですね。お初にお目にかかります」


 ラディクは丁寧に頭を下げるが、オレに対して『様』付けをしなかった。


「え?ああ、初めまして。オレ……私がリデルです。クレイ……お兄さんとは長いこと親しくさせてもらってます」


「ええ、よく存じ上げています。兄が大変、お世話になったようですね」


「い、いえ、こっちこそ迷惑ばっかりかけてます」


「ご謙遜を。兄のことは僕が一番わかっていますから。一見、人当たりが良いように見えますが、自分の考えを決して変えない、頑固でわがままな性格の上、自分勝手な男です。さぞかし、リデルさんも振り回されて、ご苦労なさったことと思います」


 確かに、クレイにはそういった面があるのは否めないけど、弟の兄に対する評価としては、ずいぶん辛辣なものに聞こえた。

 クレイから、優秀な弟が家督を継いだという話は聞いていたが、それ以上の人となりを聞いた覚えがないので、兄弟の仲は必ずしも良好とは言えないと思っていたのだけど、歯に衣着せぬ意見は返って親密さを感じさせる。

 まあ、もしオレが弟君の立場だったら、面倒な当主の座を押し付けられ、兄自身は自由気ままに生きているとしたら恨み言の一つも言いたくなるのは当然だろう。


「しかし、その苦労も今日までです。長い間、兄にお付き合いいただき、ありがとうございました」


「は?」


 オレが『どういう意味?』と聞き返す前に、怒りを含んだ鋭い詰問の声が上がった。


「ラディク!それは、どういう意味だ。返答によっては、ただでは済まさんからな。だいたい、お前は何しにここへやって来たんだ?」


 クレイの激しい立腹に臆することなくラディクは淡々と答える。


「決まっています。兄上がこの娘とたもとを分かち、本家に戻ってもらうためです」


 袂を分かつ……だって?


 それは、オレがクレイと離れ離れになるってこと?


「ク、クレイ……?」


「情けない声を出すな。俺はお前と別れたりしない」


「ちょっ……ちょっと待て。いつオレがそんなことした。それと周りが誤解するような言い方はするな」


 って……みんな、さも当然って顔をしてるような。


「兄上、残念ながら、そのわがままは聞けません。その娘とは手を切っていただきます」


「俺がその申し出に従うとでも思っているのか」


 クレイが醒めた目で返答すると、ラディクも声に厳しさの色を強めた。


「無論、従っていただきます。これは父上の……一族の長からの命令です。一族の誰もがそのめいに従う義務があります」


「俺は一族から抜けた身の上だ。従う義務はないさ」


「それは少々、虫が良すぎる話ではありませんか、兄上」

最近、気温の変化に耐えられないのか、体調不良が続いています。

緊急の際に飲む薬のお世話になっていませんが、気を配った生活を心がけています。

楽しみにしていた深夜アニメの視聴も限定してますし、早く元気になりたいです(>_<)

週一にしたら、ストックが溜まると思いきや全然ですw

エタらないように頑張ります。

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