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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
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思わぬ再会……⑦

「アエル、ちょっとお願いがあるんだけど、いいかな?」


「遠慮ナク言ッテ。りでるノ、オ願イナラ、何デモ聞ク」


 帰ってさっそくお願いすると、内容も聞かずにアエルは即答してくれる。

 とても有り難いのだけど、その際ノルティに対して勝ち誇ったような態度をするのは止めて欲しい。

 そして、ノルティも『ボクにも願い事を』という物欲しそうな顔をしないように。


 ホント、二人とも仲がいいんだから。


「実はね。これを鑑定て欲しいんだ」


 そう言ってオレが取り出したのは、刃こぼれして使えなくなった抜き身の剣だ。


「ソレハ?」


「死んだ親父の愛剣なんだ」

 

 そう、ドゴスから譲り受けた大切な親父の形見だ。

 もらった時には思いもしなかったけど、今となってはとても重要なアイテムとなった。


「握りに巻いた滑り止めの布が血に染まっているだろう。それ、親父の血なんだ。それを使って、オレと親父が正真正銘、親子であるか調べて欲しいんだ」



 ラドベルク親子は実に仲睦まじいが、血の繋がっていない親子だ。元々は亡くなったイエナの母親に託され、本当の父親をあやめた罪滅ぼしのために育てていたという経緯があった。

 それが現在いま、ルマの事件を通じて絆を深め、本当の親子以上に親子となっているとオレは感じている。二人にはずっと、このまま幸せでいて欲しいと思うし、そうならなきゃいけないと信じている。

 だから、ラドベルクの命は彼だけでなくイエナのためにも絶対に護らなければならないと、オレは肝に銘じていた。


 そこまで考えて、はたと気がついた。

本当にオレとあのクソ親父は血の繋がった親子なんだろうかという疑問だ。今まで無条件に親父の実子だと疑いもしなかったが、そもそも本当の親子だったかを証明するものは何もない。

 すべて、親父の弁に過ぎないのだ。


 皇女選定の際、試練の間でトルペンのお墨付きをもらっていたので、それについては解決済みと考え、あまり深く考えてこなかったが、ガートルードの存在はその再考を促す理由と言って良かった。

 まあ、あの母親の過去の無双ぶりを耳にする限り、オレはその血を色濃く受け継いでいるの確かだとは思うけど。


 でも、血統裁判を行う前に、後顧の憂いは絶っておきたいと考えたのだ。


「頼む、アエル。無理なお願いとわかってるけど、今ここで、その事実を確認しておきたいんだ」


「ワカッタ。りでるト剣ヲ血統鑑定スル」


 オレの懇願にアエルは即座に引き受けてくれる。

 横にいるジルコークさんを見ると、渋い顔をしていたが反対する言葉は出なかった。


 アエルが了承してくれたので、オレ達はさっそくサウルスさんの部屋に移動することにした。

 立ち会うのは、ここに戻る前に連絡を入れておいたクレイと、アエルの介添えをするジルコークさんのみだ。ヒューはあのまま貴族の招待に応じ出掛けていて、ソフィアはラドベルクと共にアエルの護衛の件で神殿へと赴いてくれている。

 ちなみにノルティには、申し訳なかったけど席を外してもらった。

 すでにアエルの正体については、アエルの許可を得て知らせてあるが、血統鑑定は本来、儀式を伴う秘事なので、さすがに立ち合わせるにはいかなかったのだ。

 ただ、どういうわけかクレイは見届け人として特別に立会いを許されていた。理由を聞くと、「エ? 立チ会ッテモラワナイノ?」と逆に聞かれたので、よくわからないまま立ち会うことになった。

 ホント、どういう意味なのだろうか?


 部屋に入ると、ジルコークさんの指示でオレは親父の剣を持つとアエルの前に立つ。

 アエルは、いつものドレス姿ではなく神官服に似た白い装束に着替えていた。


「似合ってるよ」と褒めたら、本当は普段の格好でも鑑定できるのだけど儀式だから着替えなさいとジルコークさんに言われたのだと、こっそり教えてくれた。


 いくら小声でもジルコークさんの目の前だったので、全然こっそりじゃなくて、ジルコークさんの顔が引きつっているのが見えたけど、見て見ぬ振りを通す。

 クレイはあらぬ方向を見て笑いを堪えていた。


「そ、それでは今より血統鑑定の儀を執り行う。皆の者、厳粛に」


 ジルコークさんの言葉を合図に血統鑑定が始まった。


 どんな風にするんだろうと、興味津々で見ていると、アエルの目玉がほんのりと明滅し始める。

 そして、次の瞬間、みょーんとカタツムリの目のように伸びる。


 え、伸びるの……その目玉?


 オレが驚いて固まっていると、伸びた目玉の一方がオレを、他の一方が剣に近づく。剣に向った目玉は、主に剣の握りの血染めの布を触れる寸前の近さで見入っている。

 オレへと向った目玉はオレの周りを、うにょうにょした後、オレの首筋で止まって、じっとしていた。傍で見たら何ともシュールな光景だろうが、オレ自身は不気味とも気持ち悪いとも不思議に思わなかった。逆に『呪われし血の一族』の神秘に触れ、言いようのない感慨を覚えていた。


 オレとしては長い時間が過ぎたように感じたが、実際はほんのわずかな時間だったようだけど、アエルの目玉はするすると元の位置に戻っていった。

 そして、アエルは厳かにのたまう。


立テ終ワッタ……」


前回の更新をお休みして申し訳ありませんでした。

四十九日やら何やらで忙しかったもので……。

3月・4月は超忙しいので、週一更新になるかもしれませんので、ご了承ください。

車の件は何とかなりました。

とても優しい方で、直さなくても良いと仰ってくださったのです。

何でも3月に新しい車が納車予定だそうで。

た、助かりました(>_<)

よくないことが続くので、気をつけたいと思います。

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