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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
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再び……⑤

 アリスリーゼ市に入ると、オレは市門から一目散に逃げ出した。

 もし、あの通行証を使うのを他の誰かに見られたら、厄介ごとに巻き込まれるのは必至だったからだ。

 一般人のような風体に見えるオレが持っていること自体が問題な代物なのだ。


 ちなみに、通行証というのは、言うまでもないがその名が示すとおり他国や都市に入るときに必要とされるものだ。したがって、世界を股にかける職業の人々には必要不可欠なものと言っていい。

 なので、そうした職に就いた者のために、通行証の代わりとなる物が多種多様にある。傭兵の鑑札であったり、商人の登録証であったり……騎士の叙勲状なんてのも相当したりする。

 要するに、その人物の職業の証明ができ、身元を保証することができる書類ならいいわけなのだ。その手の職業の人間なら、旅は日常茶飯事なので、いちいち通行証を取得している暇が無いという実態もある。だから、露見している犯罪歴さえなければ,通行証代わりにそれらを使って比較的簡単に入市できたりもするのだ。

 もっとも、今のアリスリーゼのように傭兵の締め出しをしている場合では、あまり役には立たないこともけど。


 一方で、そうした職業でない一般民が旅に出る場合はというと、先ほどから話に出ている、いわゆる「通行証」が必要となる。

 通行証は通常、各地の神殿や街の役所に申し込めば、数日で発行してくれるもので、旅行者名・住んでいる都市や街・発行機関・有効期限・目的場所などが書かれている。

 つまり、旅行そのものを証明する書類で、旅行中の身分証明にもなり、紛失すると大変なことになるらしい。

 まあ、一生の間、自分の住む村とその周辺しか行ったことのないという人が大半なこの世の中で、通行証を持って旅に出るというのは、ごく稀なことだと言えた。


 そして、職業人でも一般民でもない場合はどうなるか。

 え、そんな場合あるのかって? 

 それがあるのだ……つまり、貴族階級の話ってわけだ。


 職業人でない彼らも、領地と帝都の間を頻繁に行き来するため、当然通行証が必要となってくる。

 けれど、一般民のように旅行の度に発行を依頼するのは、物理的にも制度的のも望ましくない。

 そうして生まれたのが、貴族専用の通行証……すなわち特別通行証なのだ。


 ただし、貴族用の通行証と言っても、その地位の上下によって数種類に分けられている。男爵が銀、子爵が金、伯爵が白金、侯爵以上が黒(黒魔鋼)という分類になるそうだ。

 オレは皇女だけど、制度的には爵位がないので本来はどの特別通行証も持てない決まりなのだが、慣例として皇族は黒通行証を所持できることになっているらしい。


 もっとも大貴族は大所帯で移動するので貴族家ごとに必要枚数は発行されるそうで、当の本人が所持することはほとんどなく、たいていは従者が主人の代わりに入国手続きをするために携帯しているのだそうだ。

 なので、先ほどの入市管理官もオレを貴族本人とは思っていないだろう。さしずめ、宿の手配をするために先乗りした元傭兵の使用人か護衛の者とでも判断したのではないかと思う。


 え? 通行証が偽物と疑われないのかって?

 たぶん、あの管理官、優秀そうだったから見誤ることはないと思う。何故なら、ああした職に就いたときに、真っ先に学ぶのが貴人に対する対応だからだ。

 クレイの話では、入市管理官でなく貴族に関わる全ての職業において、貴族用の通行証の判別などは、イの一番に覚えるべきことなのだそうだ。


 もし、不適切な対応でもしたら、比喩ではなく本当に首を切られることにもなりかねないので、それこそ彼らも必死で習得に励むのだとか。

 それに、偽造が疑われるのは銀までで、それ以上になると本体に魔法的な偽造判別機能が施されているためすぐに露見するので、詐称する意味がないとの話だ。


 そもそも、偽の通行証を使用しただけでも、重い罪に問われるというのに、さらに貴族の名を騙ったら、確実に極刑も有りうるのだ。

 よほどのことが無い限り、そんなリスクの高いことをしようとする人間は皆無なのだそうだ。


 ちなみに特別通行証には、通常帝国を示す皇家の紋章とその家の紋章が刻印されるのだけど、オレの黒い特別通行証には家紋がない。これは、貴族家ではなく帝国により同等の待遇を受けていることを表している。

 同様なケースは、皇族以外では帝国の全権を委任された役人が期間限定で保持する場合があると聞いた。



 おっと、通行証のあれこれを考えているうちに、北方大神殿に着いたみたい。


 オレは注意深くフードを被ると、神殿の入り口でにこやかに受付をしている神官のお姉さんに近づく。ソフィア視点で見れば、およそ神官らしからぬ格好だけど、他の神官に比べると、ずいぶん大人しめで、十分好感が持てた。

 どちらかと言えば、ルータミナに近い雰囲気だが、それはここで浮いている存在と言うことに等しい。

 オレからすれば、逆に真っ当そうな人に見えるけど……。


「ようこそ、北方大神殿へ。当神殿に用向きのある方は、ここでお話を聞いております」


 顔の見えない怪しい人物が自分に近づいてくるのを見て、一瞬身構えたお姉さんは笑顔を絶やさずに尋ねてきた。

誤字訂正ありがとうございました。

なかなか優れものの機能ですね。

うっかりさんには優しい仕様ですw


実は、ずっと体調を崩していて書き溜めができていません(>_<)

なるべく頑張りますが、年末年始は更新が滞るかもしれませんので、ご了承ください。

それでは、皆様もお体ご自愛下さいませ。



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