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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
421/655

再び……②

「え?」


 この段階で却下されると思わなかった。


「何で、ダメなんだよ」


「計画自体の内容は良いだろう。だが、人選が駄目だ。行くなら俺が行く。お前は帝都に残れ」

 

 そう来るとは予想外だ。


「オレが行った方が、いろいろと具合が良いと思うんだけど」


「それは認める……だが俺としては、これがこの提案を実行に移す最低限条件だ」


 クレイの顔からは強い意志が窺われた。


 不味い、こういう時のクレイはなかなか厄介だ。

 よほど、理にかなった反論でなければ受け付けないだろう。


 けど、これはオレの出した提案だ、出来れば自分で行いたい。

 それに、オレのことでアエルにわざわざ帝都へ来てもらうんだ。ルータミナを通して、すでにお願いはしてあるけど、直接自分で頼みたい気持ちもある。

 仕方ない、ここは正攻法でなく、搦め手でいくか。


「ありがとう、クレイ。今のはオレのことを心配しての発言だよね。でも、トルペンの説明のとおり、神具を使っての転移だから、全く危険はないんだ。実際にイスケルド城に行ったけど、無事に帰って来れたんだから大丈夫だよ」


「別にお前のことを心配して言った訳じゃない。あくまで、効率と確実性を考えてのことだ。それに、転移の件は前回上手くいったからといって、次が上手くいくとは限らない話だろう」


 め、面倒くさいヤツめ。


「けどさ、お前がいなくなったら、帝都での一族の人への采配は誰がするんだよ。頭がいなきゃ、組織ってのは動かないもんだって、前にお前が言ったんだぞ」


「…………ソフィアがいるから大丈夫だ。あいつなら、俺の代わりができるはずだ」


 返答まで、かなり間が空いたってことは、オレの発言がかなり効いてる証拠だ。


「そうかなぁ、ソフィアだって、自信が無くて誰かの指示を仰ぎたい時もあると思うし、代理なのに全責任を負わせるのも可哀想だろ」


「……」


 お、これはもう一押しか。


「それにさっきクレイ、帝都は四囲敵だらけの可能性だってあるって言ったよね?」


「……」


「クレイは、そんな危険な敵地にオレを残したまま、アリスリーゼに行ってしまうって言うのか?」


「いや、そんなことは……」


 よしよし、ここで最後にダメ押しだ。


「それにさ。もし、オレがアリスリーゼに行っている間に、ここが敵の襲撃を受けたとしたら、オレはそのまま戻らないで、アリスリーゼを拠点に兵を挙げることも可能なんだぜ」


「む……」


 お、深く考え込んでるな。

 言っとくけど、そんな友達や知人を見捨てるようなこと、オレは絶対しないけど、今のクレイを説得する言い訳としてはかなり有効だと思う。


「ま、まあ、お前の言うことにも一理あるな」


 案の定、クレイは渋々といった体でオレの案を認めた。


「じゃあ、オレが行って来ていいんだな」


「待て、そうは言ってない。行くなら二人一緒に行けばいいだろう?」


 だあぁぁ――っ! ホント往生際が悪いんだから。


「そんなの無理に決まってんだろ。オレ達が二人とも帝都からいなくなったら、もし不測の事態が起こったら誰が対応するんだよ」


「しかしだな……」


「大体、心配し過ぎなんだよ。大変なのはトルペンだけで、オレの方は向こうに一日もいれば片がつくことなんだぞ」


 すでにパテイオが北方大神殿のルータミナに連絡しているはずだし、もしかしたら旅支度も終わってる可能性もある。

 もし、そうであるなら、下手したら数時間で帰って来られるかもしれない。


 そんな簡単な旅程を心配するなんて、過保護にも度が過ぎてる。


「クレイ、お前。オレが何にも出来ない子どもか何かと勘違いしてないか?」


 オレの非難の声にクレイは黙り込む。


「ん……リデルの身体の一部は子ども……」


「のるてぃ~!」


 クレイをやり込める大事な場面で、横から余計なこと言うんじゃない!


 オレが低い声を出すと、慌ててオレの傍から離れると部屋の隅に逃れる。サウルスさんの机の下に頭から潜り込んで隠れたようだけど、残念お尻が見えてるよ。


 ホント、全くノルティは……。


 けど、ノルティの突っ込みのおかげで、さきほどまでのクレイとの重苦しい雰囲気はいくぶん和らいだ感じだ。


「すまない、リデル。別にお前のこと、年端のいかない子どものように扱うつもりはなかったんだ。ただ、今回の宮殿の事態が俺の想定外の事件だったんで、必要以上に慎重になっていただけなんだ」


 なるほど。クレイは一歩も二歩も先を読んで行動するタイプだから、今回のガートルードのクーデターは、正にクレイの予想を越える事態で、奴の先読みの自信が相当傷つけられたのだろう。


「リデル、お前の意見を採用しよう。トルペンと一緒にアリスリーゼへ行って来い。こちらは俺に任せておけ」


「ありがと、クレイ。そうしてもらえて嬉しいよ。良かった、もし二人で行くような話になってたら、ヒューにどう言い訳しようか困ってたもん」


「ああ、それな……」


「そうだよ、前回のアリスリーゼ行きだって、ヒューを出し抜いて行ったから、合流してからずっとネチネチ皮肉を言われ続けてたんだから」


「確かに……」


 別にヒューのことだから、直接的には言ってきたりはしないが、態度と口調が皮肉っぽく感じられたのだ。


 そんな訳で、オレ達の今後の新たな方針が決まった。


急に寒くなりましたね。

いや、これが12月としては普通なんでしょうけどw

皆様も風邪などにお気をつけください。

さて、今年もいよいよ終わりですね。なんか、あっという間です。

そろそろ年賀状の準備をしなくちゃ(>_<)


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