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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
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再び……①

「クレイ……心配かけて、ごめん」


 オレがしおらしく謝るとクレイは深いため息をついた。


 サウルスさんの部屋にタペストリーを使って戻ってくると、クレイは意外にも冷静な態度でオレ達を迎えてくれた。

 オレを見失って、半狂乱もしくは焦燥感に苛まれているとばかり思っていたが、違ったらしい。

 けど、何か言い訳する前に、間違いなく怒鳴られるだろうと身構えたが、クレイは静かにオレを見つめるだけだった。


 そこで、恐る恐る素直に謝ってみたのだが、クレイの反応は冒頭のように淡白なものだ。怒られないとなると、こういう場合かえって不安に感じる。


「あの……クレイさん。怒ってないのでしょうか?」


 思わず丁寧な口調で確認してしまう。

 

「いや、無駄なことはしないと決めただけだ。お前の行動にいちいち反応していたら、それこそこちらの身もたないからな」


「さいですか。ま、怒られないなら、オレとしたらラッキーだけど」


「いいかげんにしとけよ。怒りはしないが、胃が痛くなるぐらい心配していたのは事実なんだから」


「……ごめん」


 今度こそ、心の底から謝るとクレイは苦笑いを見せた。


「ノルティの最後の台詞が『イスケルド城』に行くって言っていたからな。もし、少し待って帰って来ないようなら、イスケルド城に迎えに行けばいいと思っていただけさ。まあ、無事に帰って来てくれて一安心だけどな」


「ホント悪かったよ。これからはクレイに怒られないように気をつけるから」


「さっきも言ったように、もう怒ったりしないって。ただ、今回みたいに心配かけるのは勘弁してくれ。で、肝心のトルペンは、どうだったんだ?」


「ああ、それはね……」


 オレはイスケルド城でのトルペン・ノルティ師弟との話をクレイに聞かせた。




「……なるほど。ずいぶん、便利な神具があるもんだな。トルペン限定とはいえ、使い道が多くありそうだな」


「そうだろう! オレもこの神具を使わない手はないと思うんだ。でね、一つ名案を思いついてね」


「止めとけ」


「え? まだ何も言ってないじゃないか」


「言わなくたってわかる。お前が、そんなキラキラした目で何か思いついた時は、たいてい碌なことを考えてないってことを」


「し、心外だな……オレだって考えるときは、ちゃんと考えるんだからな。けど、オレの考えを聞いたら、クレイもきっと賛成してくれるさ」


「どうかな、それよりその名案ってヤツを聞かせてみろ」


「せっかちだなぁ……じゃ、言うけど」


 クレイがオレの発する言葉に注目する。


「帝都から出て、アエルに会って来ようと思うんだ……」 



「おまっ……何言ってんだ!」


 オレの提案にクレイが血相を変えて詰め寄って来る。

 その剣幕はノルティが怖がってオレの後ろに隠れるほどだ。


「クレイの嘘つき。怒らないって言ったじゃん」


「お、怒ってない……怒ってないが、怒りたくなる発言だぞ、今のは」


 何か、言っていることが支離滅裂だけど、怒鳴らないだけ一応自制しているようだ。


「いいか、お前は自分の置かれている状況をちゃんと理解しているのか? 運が悪けりゃ、四囲敵だらけの可能性だってあるし、前回は何とか無事に帝都へ入ることが出来たが、次は上手く入れるとは限らないんだぞ」


「ちゃんとわかってるさ。だから……」


「いいや、わかっていない。わかっていたら、そんな世迷言を言うはずがないだろう」


 クレイの怒りは、たぶんオレを心配してのことだから、悪い気はしなかったが、あえてオレは反論する。


「クレイ、オレの話を聞いてくれ。決して、馬鹿げた思いつきじゃないんだ。ちゃんと、勝算はある提案なんだ」


「…………話してみろ」


 オレの真剣な物言いにクレイは軽く息を吐くとオレに続きを促した。


「トルペンは自分の行ったことのある場所なら、転移出来るそうなんだ」


「それは前に聞いたことがあったな。それで?」


「どこまで跳べるか尋ねたら、何とカンディアまでは行ったことがあるそうなんだ。だから、そこまで転移してもらって、そこからアリスリーゼまでは自力で飛行してもらうつもりなんだ」


「トルペンにアリスリーゼまで行ってもらってどうするつもり……そうか、例の神具か」


「ご名答。トルペンは今、人間形態になれないから、アリスリーゼ近郊の人目につかない場所で例のタペストリーを使ってもらい、オレがアリスリーゼに跳ぶっていう寸法さ。これなら、わずかな日数でアエルをこちらに呼び寄せることが可能だと思う」


「むむ……」


 オレの提案にクレイは考え込む。


 実現は可能だが、どこかに穴がないか検討しているのだろう。


「どうだろう、クレイ。なかなかの名案だと思うけど」


「……確かに悪くない提案だと思う。しかし……」


「トルペンの話だと、転移魔法を使うより失敗も少ないし誤差も生じないから、安全な方法だと念押ししてくれたよ」


 クレイの表情から、納得しかけているのが見て取れたので、ダメ押しに補足してみる。


「……わかった。お前の言うとおり、その名案はかなり有効だと思う」


「それじゃあ……」


「でも、駄目だ」


 クレイは難しい顔つきで、そう断言した。

前回は、更新をお休みして、ごめんなさい。

いろいろあって自宅にいなかったので……。


気がつけば、今年もあとわずかになりましたね。

つい、この間、年賀状を書いた気がするのに(>_<)

年々、一年が短くなっているような(妄想)


年末も多忙のため、更新をお休みする可能性が高いです。

そうなったら、ごめんなさい。

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