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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
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師匠と弟子の間に……④


「ところでノルティ、トルペンはどうなったんだ?」


「……」


 黙り込んで返事をしないノルティの代わりにカレンさんがにこにこしながら答える。


「ノルティちゃんの彼氏さんなら、サウルス様のお部屋にいますよ。何でも重いご病気だとかで、ずっと部屋に閉じこもっていて、ノルティちゃんが一人で甲斐甲斐しくお世話してるんですよ」


「そうなのか?」


 オレの問いかけに、顔を上げたノルティが無言で頷く。


「彼女として自分が尽くしたい気持ちもあるのでしょうけど、私たちを部屋に入れさせないほど付きっ切りに看病してるんですよ。別に取ったりなんてしないのに、ホント心配性なんだから」


 カレンさんは冷やかし半分にそう言ったが、オレはノルティの行動の真意を瞬時に悟った。おそらくトルペンをこの人たちから遠ざける必要があったのだろうと。


「ノルティ、トルペンを独占したい気持ちはわかるけど、オレ達もトルペンをお見舞したいんだ。会わせてもらえるかな?」


 詳しい事情を聞かず、カレンさんの話を合わせてお願いすると、ノルティは「独占違う」と否定するが、カレンさんの「照れてるノルティも可愛いわ」の言葉に不機嫌そうな顔になる。


 けど、ここは話を合わせるしか先に進まないと思ったのか、「ついてきて……」とだけ言うと先に立って歩き始めた。





 ノルティに案内された部屋は、おそらくこの屋敷の中で最も立派な部屋のようで、元々はサウルスさんが使っていたそうだ。

 研究に没頭できるように寝起きが可能で、トイレも別に備えられている。食事の問題さえなければ、引きこもるには、ちょうど良い環境と言えた。

 今は使うべきサウルスさんがいないので、空き部屋となっているけど、いつサウルスさんが帰って来ても良いように手入れはしていたとの話だ。


 ノルティの後に続いて部屋に入ったオレ達は用心深く扉を閉めると、部屋の中を見回す。


 大きな書架にはたくさんの本が並び、重厚そうな木の執務机、一人用の簡易ベッド、よくわからない幾何学模様の描かれたタペストリーが壁に吊るされていた。

 いかにも研究者の部屋といった感じだ。


 けど、肝心のトルペンの姿がどこにも無かった。 


「ノルティ、トルペンは?」


 いぶかしく思い、ノルティに尋ねるとあっさりと認める。


「師匠は……ここにいない」


「いない? いったい、どこにいるんだ。それと、トルペンに何があったのか教えてくれ」


「ん、順を追って説明する……」


 ノルティは、たどたどたしくこれまでの経緯を説明してくれた。



 ノルティの話を要約すると次のようになる。

 いつものように研究室(トルペンの執務室のこと)で古文書を解析していたところ、不意にトルペンが立ち上がったそうだ。


(お師匠様、どうかされましたか?)


(何か来ましタ。強い魔力を感じマス)


(強い魔力ですか?)


(はい、しかも悪意も感じてマス)


(お師匠様……?)


(しばし、ここで待ちなサイ。少し様子を見てきマス)


 そう言うと、唐突に何処かへ転移したのだそうだ。


 以前は宮殿に結界があって、外に出ないと跳べなかったそうだが、ユクが例の件(イクスを侵入させるために起こした事件)で結界を壊したせいで、自由に転移できるようになっているとの話だ。

 そのため、宮殿内では今回の謁見の間の一件のように魔法的な防御が取れない状況にあるという。その事実は一部の者しか知らず、今も結界が有効だと思っている者も多いが、無防備の状態であることに変わりないということで、密かにトルペンとノルティで結界の復元について研究を重ねていたのだそうだ。

 研究の結果、古文書の解析により、ようやく復元の糸口が掴めそうな段階まで来ていたらしい。


 今回の偽皇女の件は、その矢先に起こった出来事だったのだという。


 そして、師匠の身を案じて待っていたノルティの元へ、七転八倒の状態でトルペンが戻って来た。

 かろうじて人間形態を保っていたトルペンを見て、ノルティはすぐに行動を起こす。必要なものをかき集めてトルペンと共に宮殿を脱出したのだ。

 しかも、トルペンの弁から追っ手がかかることを察して、住居である帝国図書館ではなく忘れられた自宅を逃亡先として選んだ。

 そして、トルペンが復調するまでここで潜伏していたのだそうだ。


「けど、ノルティ。肝心のトルペンはどこにいるんだ」


 この部屋が広いとはいえ隠れているような気配はない。


「あそこ……」


 ノルティの視線をたどると、そこには壁に吊るされたタペストリーが目に入った。


「あれが、どうかしたのか?」


「Ⅱ類神具『縮元回廊』……」


「『縮元回廊』?」


 ノルティの言葉が飲み込めず、オレは鸚鵡返しに答える。


「お師匠様、あの向こう……」


 そう言うと、ゆっくりとタペストリーに近づき、振り返って言った。


「会いに行く? リデル」


「え……うん」


 ノルティの言うことが、よくわからなかったので、オレは曖昧に頷く。


「じゃ、行こ。お師匠様の安息の地……」


 ノルティはオレの手を握ると、反対の手をタペストリーに伸ばした。


「……イスケルド城へ」


今日は友人と温泉に行ってきました。

久しぶりにゆっくり話が出来て楽しかったです。

新作の構想を話したら、面白そうと言ってくれました。

ただ、主人公について私は女の子の設定にしたら、友人は男の子がいいと反対されました。

BL展開はちょっと……w


まあ、本作が終わらないと新作も何も始まらないんですけどね(>_<)

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