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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
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偽皇女……⑨

「……そんなこと……許しまセン」


 息も絶え絶えのトルペンさんは、苦しい息の下で拒絶する。


「許すも許さないもないです。自分ことは自分で決めます。……それに貴方が逃げた方が、リデルにとって後々有効になると思うのです」

  

「デスガ……」


 おそらく、あたしが捕虜になっても殺されはしないだろう。あたしの能力は、それなりに有能だしリデルに対する保険としても役に立つはずだ。

 もちろん、そう易々と言いなりになるつもりはないけど。


 けど、トルペンさんは違う。

 魔法を使えるのが厄介だし、そもそも竜に戻ったら味方の兵からも攻撃されるのは必至だ。

 それに、リデルがガートルード嬢たちに対抗するためにも、トルペンさんの助力は不可欠だと思う。


 だから、あたしを残してトルペンさんが脱出するのが最善の策と言えるだろう。

 それなのに、先ほどからの煮え切らない態度に、業を煮やしてあたしは、思わず強い口調で言ってしまう。


「何度言ったらわかるんです。早く逃げてください! 宮殿で竜が暴れただなんて、それこそリデルに顔向けできないんですから」


「……ユク」


 あたしの剣幕にトルペンさんは絶句する。


「ぐぐ……う……後で必ずリデルと……一緒に助けに来マス。……それまで、絶対無事でいてくだサイ。約束デス」


「もちろん、リデルにもう一度会うまで死んだりなんてしません」


「……ワカリマシタ……ソレデハ……」


 やっと納得したのか、トルペンさんの姿が、ふっと跡形も無く消える。

 前触れも無く突然消えたことに、あたしは少し驚いたけれど、その結果に心から安堵した。


(酷いことばかり言って、ごめんなさい。前にあたしを命がけで守ってくれたでしょ……だから、今度はあたしが守って挙げたかった……)


「……ありがとう、お父さん」


 お父さんの消えた辺りに向かって、人の耳には届かない声で呟いた。 





「やっと退散したようね」


 すぐ近くで声がしたので目を向けると、ガートルード嬢が玉座の前まで上がってきていた。


「あのまま、なりふり構わず竜になって暴れられたら、ちょっと困ることになっていたけど、逃げてくれて助かったわ」


 あたしとお父さんのやり取りの最中、手を出してこないと思ったら、脱出するのを待っていたんだ。

 まんまと策に嵌った気もするが、これはこれで正解だとあたしは思った。


「どう? ワトスン。もし逃がすなと言ったら阻止できた?」


「……デキナイ。アレハ『空間転移』デナク『次元転移』」


「さすがは竜族の貴種と言ったところね」


 ガートルード嬢が尋ねると、ワトスンさんは片言の言葉を返す。


 ひょっとして、外国の人なのだろうか?



「それにしても少し騒がしいわね。ケルヴィン、貴方この場を治めなさい」


 参列者が動揺し騒ぎ始めるのを見て、ガートルード嬢は当たり前のように命令する。


「き、貴様、誰に向って物を言っているのだ!」


 名指しで命令されてケルヴィンさんが激怒する。


「誰に向っても何もお前しかいないじゃないの。仮にも内政官でしょ? これぐらい抑えてごらんなさい」


「な、な……」


 怒りのあまり言葉を失うケルヴィンさんをチラッと見て、「仕方が無いわね」とため息をつくと、いきなりあたしの腕を掴むと玉座の前へと引っ張っていく。


 そして、舞台の中央まで来るとあたしの手を離して、参列者に向き直った。


「皆の者、よくお聞きなさい」


 ガートルード嬢が声を上げると謁見の間の隅々まで響いた。

 それほど、声を張り上げた訳でもないのに、この声量は……きっと魔法的な何かで響かせているに違いない。


「この者が皇女を騙っていたのは、すでに明白な事実」


 確かに、あたしが皇女に化けていたのは事実だけど、リデルは正真正銘の皇女だ。

 けど、これではリデルまで偽者だったことになりかねない。


 それだけは、何としてでも阻止しなくちゃ。でも、どうすれば……。


「では、本物の皇女は何処にいるのか……」


 ガートルード嬢は芝居がかった調子で参列者に訴えかける。


「そう、私こそが本物の皇女……アリシア・プレジィス・イオ・デュラント皇女なのだ」


 そのガートルード嬢の発言に、ケルヴィンさんはもとより参列者の中にも馬鹿にしたような表情を見せる者が幾人かいた。


「何を言っているのだ」


「言うに事欠いて、自分が皇女とは……寝惚けるにもほどがある」


「しかし、あの者が言うこと嘘なら本物の皇女はどこに?」


 リデルは今頃、アリスリーゼに居ます……と口に出して言いたかったけど、極秘事項の話だったし、信じてもらえる場面でもなかった。


「ふむ、疑うのは当然か……では、私が本物の皇女である証拠を見せよう」


 そう言うと、ガートルード嬢は懐から短剣を取り出すと、それを高々と掲げた。武器としての実用性は期待できそうにないが、宝飾が施された短剣は値が張りそうな逸品に見える。

 特に柄に埋め込まれた宝石は見事なもので、それだけで価値がありそうだ。


 ガートルード嬢は、短剣をかざしながら謁見の間にいる全ての者に対し朗々と宣言する。


「見よ! これぞ、我が父デュラント4世の形見の御品、『護りの紅玉』の宝剣なるぞ」


(『護りの紅玉』……!?)


 驚くあたしの周りに、ふんわりと嗅いだことのある匂いが漂うのを感じた。



…………終わらない(ぼそり)


え~と、同窓会に行ってきました。

当時はモテた記憶などなかったのですが、ツーショット写真を何人にもせがまれ、大人気でしたw

不思議です(~_~;) (きっと珍獣扱いに違いない)

友人達とも再会し、連絡先を交換できて楽しかったです。





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