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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
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再び、北方大神殿……⑥

 まあ、そんな訳で五正会との再度の話し合いは無事に終了した。


 五正会の面々が(ウィンラットを筆頭に)オレに対する協力を約束してくれたので、一応、北方大神殿がオレの味方になったと考えて差し支えないと思う。

 これで、代理統治官、帝国海軍、北方大神殿の三つを押さえることが出来たので、当初の目的であるアリスリーゼ皇女直轄領の掌握は事実上成功したと考えて問題ないだろう。


 これ以上ない結果に正直、我ながら驚いている次第だ。ここまで、とんとん拍子にことが進むと、後で手痛いしっぺ返しを食らうのではないかと、かえって疑心暗鬼にもなる。

 クレイは「お前は心配し過ぎなんだよ」と笑って言ってくれたが、どうにも落ち着かない。


 けっこう、オレのこういう時の勘って当たるからなぁ。用心に越したことはないので、しばらく身辺には気をつけようと思う。


 そんな風にオレが気に病んで落ち着かない様子を見せていたら、ルータミナが気を利かせてアエル達との会見の機会を設けてくれることになった。



 久しぶりに会ったアエルとジルコーク達は変わらず元気そうだった。アエルは例の怪しい帽子を被ってニコニコしていたし、ジルコークは簡易の神官服をきっちり着こなしている。

 うん、ジルコークさん、執事服も似合っていたけど、やっぱり長年着慣れていたせいか、神官服の方がしっくりくるように見えた。

 あと、侍女のマルシェラは相変わらず、かいがいしくアエルのお世話をしていたし、まん丸騎士のエルトヴァイトは護衛の任を解かれてしまったので、今は一緒にはいないようだ。からかえなくて、ちょっと残念な気もする。

 

「諸君! こちらにいらっしゃるのは、皇位継承第一位の『アリシア・プレジィス・イオ・デュラント』皇女殿下であらせられますぞ。お控えなさい!」


 付き添って来ているウィンラットが声を張り上げて、アエル達にオレを紹介してくれる。


 ってか、ウィンラット。なんで、あんたが得意げになってオレのこと紹介してるんだ?


 ホント、勘弁して欲しい。この人、あの一件以来オレに心服したらしく、神殿内のどこへ行くのにも付いて来るんで面倒ったらありゃしない。


 クレイに「だから誰に対しても迂闊に優しくするなと言っただろう」とさんざん馬鹿にされたけど、その時は納得できなかったけど、現在は激しく同意したい。


「そうですか。リデル様が、あのアリシア皇女殿下だったとは……只者とは思っていませんでしたが、まさかそこまでとは思いも寄りませんでした」


「リデル……トクベツ」


 ジルコークは素直に驚き、アエルは例の目玉を嬉しそうにオレへと向けた。


 オレ達はひとしきり再会を喜び合った後、表情を改めてアエルの今後について話し合った。ジルコークの懸案だった『血統裁定官』の復活に関してである。


「では、アリシア殿下は『血統裁定官』の復活に前向きに考えてくださると?」


「うん、復活は確約はできないけど、帝都に戻ったら詳しい人に話してみるよ」


 アエルの生死や進退に関わる問題だ。オレとしては出来る限りのことをしてあげたいと思っている。

 短いけれど一緒に旅をして、アエルの人柄(?)もよくわかったし、友人として彼女のこれからの幸せを願ってやまないつもりだ。


「ただ、オレ皇女と言っても、それほど権限があるわけじゃないんだ。それに帝国参事会っていうのがあってね、帝国の重要な取り決めは大体そこで決まるんだ」


 考えてみると、前にルータミナは自分のことを『お飾り』と卑下し、何の決定権もないと言っていたけど、オレも似たようなものかもしれない。


 いや、制度上は確固たる権限のある神殿長のルータミナの方がよっぽどマシだと言える。今のオレは皇位第一継承者であり、次の皇帝を決める役目はあるけど、皇女という地位それ自体には何の権限もないのだ。皇帝が生存しているなら、その威を借りて好き放題できたかもしれないが、今のオレにはそんな後ろ盾もない。

 皆の皇族に対する忠誠と大国の思惑に縋って生きている哀れな一少女なのだ。


 え? 日頃のオレの行動にそんな悲哀が見えないって? か、顔で笑って心で泣いてるんだよ……ホントは。


「ご安心されよ、ジルコーク元正神官。この北方大神殿は敬愛する皇女殿下の思し召しを全面的に支持しますぞ。中央大神殿が何と言って来ようと、必ずや『血統裁定官』を復活させて見せましょう」


 ウィンラットが自信満々に断言する。


 ホントどうしちゃったんだろう、この人。

 最初は失点を挽回するために、大袈裟にオレを崇拝して見せているだけだと勘ぐっていたけど、どうやら本気でオレに心酔しているようだ。

 このままじゃ、クティ神よりオレの方を信奉しそうな勢いだ。神罰が下らなければいいんだけど……。


 とにかく、ウィンラットが太鼓判を押したので、ジルコークは目を潤ませながらオレに頭を下げる。オレとしてもアエルのために一肌脱ぐのはやぶさかではないので、「あまり期待されても困るけど、何とか頑張ってみるよ」と答えておいた。


気が付けば8月ですね。

ホント暑くて死にそうです(>_<)

早くお盆休みが来ないかなぁ。

そしたら、いっぱい寝るんだw


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