表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
385/655

再び、北方大神殿……④

「実は昨日、北方大神殿にも関わる重要な決定が、レイモンド代理統治官によって成されたのです」


「重要な決定ですと? 我らは何も聞いておりませんぞ。神殿長にはあらかじめ打診があったのですか?」


 ルータミナの発言にウィンラットが色めき立つ。


「いえ、わたくしも決定後に伺いましたので……ただ、ことの経緯について予想はしていました」


「な、何ですと! それでは神殿長は事前にその情報を得ていながら、我らには何の報告もなさらなかったと言うのですか」


「結果的には、そうなりますね。でも、それはわたくし個人が知り得た情報でしたし、口止めもされていましたので、他の者に話すことは出来なかったのです」


「しかし、そんな重大なことを秘密にしていたとは!」


「神殿長、それはあまりの仕打ちではないですか」


「さよう、それでは我らの立場がありませんぞ」


 これには、ウィンラット以外の正神官も次々と異議を唱える。


「皆さんの仰りたいこともわかりますが、今回は聞けません。わたくしにも優先順位がありますので」


「我ら五正会より優先する事柄など、到底ありえぬことですぞ……」


「まずは説明をお聞きなさい、議論の時間は後で必ず設けますので……それでは話を続けます」


 吠えるウィンラットに取り付く島を全く見せずにルータミナは冷静に話を続ける。


「さて、実は今回の決定に関して深く関わっている重要な人物を本日ここに、お招きしました。これからの話し合いは今後の北方大神殿の行く末を大きく左右しかねない事柄なので、皆さん心して応じるよう願います」


 ルータミナの発言で五正会の面々の視線がオレへと一斉に集まる。


 やはり、どれも懐疑的な色合いが強い。

 イケメン正神官だけは、興味深そうにしているけど。


 皆、何か言いたげに見えたけど、ルータミナが全く聞く耳を貸さないので、じっと成り行きを静観するしないとでも考えているようだ。


「では……神具をお持ちになり、こちらへ御立ちいただけますか」


 ルータミナが『神位具現鏡』の横に立ち、オレを手招きする。


 なるほど、論より証拠ってことか。

 オレは『護りの紅玉』を嵌め込んだフィビュラを懐から出すと、ゆっくりとルータミナに並んだ。


「では、お持ちの神具を鏡にお掲げください」


 オレは言われるままに『護りの紅玉』を『神位具現鏡』の前に差し出した。


 そのとたん、『神位具現鏡』の円形の鏡面が輝き出す。


「何だ、ただの黄色ではないか」


「我らを驚かすなど、神殿長もお人が悪い」


「さよう、さよう」


 五正会の連中は拍子抜けしたように呟く。


「いや、待て。あれは黄色じゃない……ま、まさか白色……」




 白い光は次の瞬間、閃光のように輝くと辺りを白一色にする。


 ちなみに、これは後でルータミナから聞いたのだけど、神具のランクによって輝く色が違うのだそうだ。黄色がⅤ類、赤色がⅣ類、緑色がⅢ類、青色がⅡ類、そして白色がⅠ類を表しているらしい。

 さらに、光の強さでそのランク内での高低もわかるのだとか。


 ルータミナ。悪いけど、その情報は先に言って欲しかった……。


 『神位具現鏡』の強烈な白色光を目前で受けて、オレは思わず目頭を押さえた。本当なら「目が~目が~」と言いながらごろころ床を転げまわりたい心境だったが、何とか踏みとどまる。

 さすがに簡易とはいえ皇女用のドレスを着ているので、そんなはしたない真似はできなかった。


 チカチカする目を無理やり開けても残像が残って周りが、よく見えない。こんな隙だらけの時に攻撃を受けたらどうしようと少し焦ったけど、この身体の謎のチート回復力のせいで、すぐに視力は回復した。


 文句を言おうとルータミナを見ると、彼女も目を押さえてしゃがみ込んでいる。


 オレとそんなに離れていなかったから、まあそうなるわな。

 自業自得といえ、ちょっと可哀想だ。


「大丈夫、ルータミナ?」


「はい、予想以上で驚いただけです」


 オレが心配して声をかけると、ルータミナはすぐに立ち上がる。

 見ると彼女は、いつの間にか色付き眼鏡をかけていた。


「ルータミナ?」


「ああ、これですか? 念のためにかけていたのです。文献で皇族の神具鑑定ではかなりの光が出ることがあると読んでおりまして……」


 ホント、そういう情報はわかってたなら、先に言って欲しい。


「でも、さすがにここまでとは思いませんでした。眼鏡をかけていても目が眩んだほどですから」


 事前準備が完璧でしょうとばかりに嬉しそうなルータミナに文句を言う気も失せる。


 そう言えば、五正会の連中は……と振り返って見ると、彼らはけっこう離れていたせいかオレ達ほど深刻な被害を蒙っていないようだ。

 けど、物理的ではなく精神的には、かなりの衝撃を受けたようで、彼らは呆然と立ち竦んでいた。


 「ま、まさか……こんなことが」


 特にウィンラットは驚きのあまり目を大きく開けたまま、力なく膝から崩れ落ちた。


短めですみません。

夜よく眠れないせいか、気を抜くとうつらうつらしてしまいます。

文章を書いていても、いつの間にか眠りこけていて、画面に同じ文字の羅列が溢れていたりします(~_~;)

お盆休みは、ゆっくりできると良いのですが……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=687025585&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ