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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
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アリスリーゼ政庁舎……②

「だけどな、リデル。もし、レイモンドとの会見が順調に進んで、皇女であることを公にするようなことになったら、会わないわけにはいかないぞ」


 なるべく会わない方向で考えているオレにクレイが苦言を呈す。


「え、そうなの?」


「そうだとも。ああいう性格の方だぞ。アリスリーゼまで来たのに会わずに帰ってみろ。何を言われるかわからないぞ」


 確かに……それは想像しただけで怖くなる。


「皇女として一人でも多くの味方が欲しいこの状況で、新たに敵を……それも超強力な敵を増やす必要はないだろう?」


「それは、そうだけど……」


 どう考えても仲良くなれる気がしない。というか、絶対気に入りられない自信がある。


「まあ、そんなに心配するな。それもこれも、まずはレイモンドとの交渉次第だ。それに、万が一上手くいかなくても逃げ出せばいいだけのことさ」


 クレイがオレを安心させようと軽い口調で言うが、レイモンドを敵に回して、このアリスリーゼから脱出するのは、かなりの困難を要するのは間違いなかった。

 そうならないように細心の注意を払おうと心の中で固く決意していると、ちょうど目的地である政庁舎の建物が目に入ってくる。



「こりゃまた、立派な建物だな」


「確かに地方都市の政庁としては破格の規模と言えるな」


 思わず呟いたオレの言葉に、クレイが律儀にも答えてくれる。


 レイモンドの執務室がある政庁舎は、文字通りアリスリーゼ市街の中心に位置し、その威容はレイモンドの権勢の強さを明確に表しているように見えた。

 また、建物の大きさにも驚きだったが、人の出入りの多さにもびっくりさせられた。おそらくは商業に絡む手続きや許可申請のたぐいに訪れる商人達なのだろうが、まるで満員の闘技場を思わせるほどの状況だった。


「リデル、レイモンドとの会見だが、この様子だと約束無しで会うのは無理かもしれないな。その場合、今日は約束を取り付けるだけになるが構わないか?」


「うん、いいよ。その時は政庁舎の見学でもして帰ればいい」


 実際、事前に約束してから会うという方法もあったのだけど、向こうに準備をする暇を与えないようにするため、突然の訪問を企図したのだそうだ。


 ところが、クレイが受付のお姉さんに帝都からの使節団だと告げると、綺麗なお姉さんは笑顔でこう言った。


「お待ち申し上げておりました。すぐに御案内いたしますので、そちらの来賓室でお待ちいただけますか?」 


「え?」


 思わぬ対応に、オレは思わず間抜けな返答をしてしまう。


 だって突然、帝都からやって来た使節団だと自称する正体不明の輩が訪れたら、普通はもっと警戒するのが当たり前だ。それなのに、このあまりに行き届いた対応には驚きを通り越して不審にさえ感じた。


「どうかいたしましたか?」


「い、いえ、何でもありません」


「では、こちらに」


 にこやかな笑顔で先に立って案内するお姉さんの後について、オレ達は来賓室とやらに向う。先頭に立って歩くクレイも周囲に気を配るヒューも狐につままれたような表情で指示に従っているが、ソフィアだけは顔を険しくさせていた。

 オレも何か良くない兆候の表れに思えて不安を感じていた。



 来賓室という名に相応しい立派な調度品が置かれた部屋に入り、「しばらくお待ちください」と言い残してお姉さんが立ち去るのを確認すると、すぐにクレイが口を開く。


「これは、いったいどういうことだ?」


 クレイにわからないことが、オレにわかる筈もない。


「さあ、オレにも意味がわからないよ」


 怪訝そうにオレを見つめるクレイに、そう答えるとクレイは表情を固くしてヒューやソフィアに話を向ける。


「帝都から書簡を持って来訪した使節とは言ったが、書面等の何も確認もせず信用して、こんな所に案内されるとは、どう考えてもおかしい。事前に情報が漏れていたとしか考えられないように思えるな」


「ええ、そうですね。いきなり賓客扱いは、さすがに不自然と言えるでしょう」


「ですが、私が調査した範囲ではそうした兆候は見られませんでした」


 ソフィアが自分の落ち度のように感じているのか無念そうな表情で答える。

 おそらく先行してアリスリーゼで情報を収集した際、逆にレイモンドの諜報網に気取られたのではないかと疑っているらしい。


 そうか、それであんなに険しい顔をしていたのか。


「たぶん、ソフィアは悪くないよ」


「リデル様、お気遣いいただいて申し訳ありません」


 ソフィアは頭を下げて恐縮するが、オレには実のところ心当たりがあった。


「リデル、それはどういう意味だ?」


「いや、きっと大神殿の……」


「お待たせしました。統治官との会見の準備が出来ましたの、御案内いたします」


 オレが言いかけようとした時、先ほどのお姉さんが準備の完了を告げに来た。


短めですみません。

徐々に落ち着いてきました!

でも、なかなか時間がとれません(>_<)

時間を見つけて頑張ります。


それにしても、毎年4月になると「新作書きたい病」にかかりますw

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