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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
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北方大神殿……⑤

◇◆◇◆


「……という訳でアリスリーゼに到着するのが、こんなにも遅くなってしまった訳だ」


 ソフィアの用意した宿屋で荷を降ろして早々に、オレ達は互いのこれまでの経緯を報告するために一室に集まっていた。

 そして、クレイがアエル達との一連の経緯いきさつを説明するとソフィアは目を丸くする。


「話には聞いたことがありましたが、そのような種族が現存していたとは驚きです。一族の伝聞によれば、とうに死に絶えたという話でしたのに……」


 アエル達『呪われし血の一族』について、クレイ達の一族もそれなりに情報を得ていたようだが、まさか現在まで生き残っているとは思っていなかったらしい。


 両者は元々、同じように差別される側の一族であったため、かつては友好的な関係にあったのだそうだ。けれど、アエル達のアールミン一族が貴族階級に列せられるようになると、次第に疎遠となっていき、いつしか袂を分かったのだという。

 そして、歴史の表舞台にその名か現れなくなったことで、クレイ達の一族は『呪われし血の一族』の血が途絶えてしまったものと考えていたようだ。

 

 そんな訳で、伝説的な種族の出現に珍しくソフィアが目を輝かせて興味津々の表情を見せている。


「機会があれば、ぜひ一度お会いしたものです」


 控えめな台詞ながら、強い熱意が感じられたので、今度大神殿に行くときは一緒に連れて行ってあげようと思う。



「それにしても、リデル様の厄介ごとに巻き込まれる度合いは、より一層磨きがかかったというか、一種神がかり的にさえ感じられるようになりましたね」


 え~とソフィア、それ褒めてるのかな。何となく呆れられているように聞こえるけど……。


 うん、前言撤回。


「でも、ソフィア。そんなに会ってみたいんなら、自分で会いに行けばいいんじゃないか? 実際に神官の資格も持っているし、大神殿にだって顔が利くんだから」


 ちょっと意地悪したくなって、そっけなく言ってみる。


「そ、それは……」


 口を濁すソフィアが、とたんに困った顔になる。

 

「ソフィアは北方大神殿……というよりクティ信奉者が苦手なんだよ」


 答えに窮したソフィアの代わりにクレイが笑いながら暴露する。


「え? ソフィアにも苦手なものがあったんだ……」


「いや、けっこう色々あるぞ。ぬるぬるした物とか、甘ったるい食べ物とか……」


「ク、クレイ様!」


 目を三角にしてクレイを睨むソフィアは可愛らしかった。


 ちなみに、ソフィアの言い分によると、決して嫌いなのではなく、彼らクティ信者の距離感が馴染めないのだそうだ。


 そういや、神殿内でも見た信者同士の会話が妙に近いというか不思議な距離感だったのを思い出す。


「わかったよ、ソフィア。今度、行くときには必ず一緒に連れて行ってあげるから」


 困り顔のソフィアが可愛くて、同行を約束してあげる。


「本当ですか? ありがとうございます、リデル様」


 ソフィアがあまりに嬉しそうに目をキラキラさせたので、つい悪い虫が騒ぐ。


「もちろんさ。けど、神官としてお供してもらうんだから、あの北方大神殿の神官服を着てもらうからね」


「え……」


 ソフィアの顔が青ざめる。


 言ってなかったけど、北方大神殿の神官服――クティ派の神官服は他とは少しばかり変わっているのだ。ルータミナは中央大神殿と同じイオラート派の……ソフィアもよく着ている丈の長い純白の神官服を身につけていたけど、他の神官たちは薄手で短めの神官服を身に纏っていた。


 特に女性神官は肌色多目で、目の保養に……もとい目のやり場に困る状況だ。どうやら、厚手の服を着なくても信仰心があれば寒くないというアピールと、好奇心の強いクティ神の関心と祝福を得ようとの目論見らしい。

 神殿内は暖房が効いているので問題ないが、さすがに外へ出るのには厳しい季節なので、外套を着用することは許されているようだ。

 とは言っても、かなり寒いらしく、この時期の神官は極力神殿に篭るのだそうだ。


 半裸に外套って……どこの変態だ、まったく。


 けど、ソフィアなら、どんな神官服でも様になると思うけど、どう考えてもけしからん姿に……いや、間違いなく若い禁欲的な神官達には目の毒になるだろう。


 ちなみに当の本人は「無理です、絶対無理です」と首を左右にぶんぶん振って着用を拒否している。

 やっぱり、クティ派とは相性が悪いようだ。


「リデル、ソフィアをからかうのは、その辺にしてやれ」


 苦笑しながら、クレイが会話に割って入ってくる。


 むう……いつも、さんざんからかっているお前だけには言われたくないぞ。


「それより、この後の話だ」


 クレイの真顔になるのを見て、オレも表情を引き締める。


「明日以降にレイモンドのところへ乗り込むとしてだ……」


「うん」


「まずは腹ごしらえをしよう」


「は?」


 クレイの発言に思わず脱力しかけたけど、それに呼応するかのようにオレのお腹が『くぅ―』と鳴った。


「や、これは……」


「ほら、身体は正直だ」


 何故か、クレイが言うと卑猥に聞こえるから不思議だ。


大変、ご無沙汰してしまって、本当に申し訳ありません。


転勤があったり体調を崩したりと、いろいろあって更新できませんでした。

5月ぐらいまでは多忙のため不定期更新となるかもしれません。

ご理解いただけるとありがたいです。


無理の無い範囲で頑張りますので、これからもよろしくお願いします!


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