表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
356/655

北方大神殿……③

「それでは貴殿は、中央大神殿の親書をもって我ら北方大神殿に協力せよ、つまりは従えと申しておるのですな?」


 ウィンラット正神官が、いきなり喧嘩腰でクレイに食ってかかる。


 あれから程なくして、オレ達はルータミナの尽力のおかげで、五正会の面々と相対していた。

 会談の当初は、ただの傭兵風情ふぜいと見下していたオレ達が、実は帝都から派遣された使節団とわかると打って変わって下にも置かない待遇となった。けれど、クレイが中央大神殿のパティオ大神官の親書を持ち出したところ、雰囲気は一変した。


 正直な話、オレ達は中央大神殿と北方大神殿との間にある意識のずれについて、全く無知だったと言っていい。

 上位神殿である(と思っている)中央大神殿が親書を送れば、下位である北方大神殿が助力するのは当然と言う考えは、中央の論理であり、ウィンラット達にとっては到底受け入れがたい申し出であったのだ。


 情報通のクレイも、さすがにアリスリーゼの宗教事情には疎かったのか、北方大神殿が中央とは異なる独自の路線を歩みたがることは承知していたが、まさかここまで中央に対して敵愾心を持っているとは予想していなかったようだ。


 大体、神殿長であるルータミナが、そういう素振りを少しも見せなかったので、親書を出せば話は簡単に進むと思い込んでいた。

 後から聞いた話で、ルータミナは中央大神殿に修行に出ていたこともあり、そうした北方大神殿特有の感覚が無かった上に、北方大神殿では中央寄りの人間と白眼視されていたのだそうだ。


 そういうことは先に言ってもらいたかったよ、ホント。


 そんな訳で、五正会との面談は当初の予想より険悪な雰囲気で始まってしまった。


「いえ、従えなどと、とんでもありません。我々は、そのようなことなど全く考えておりませんので……。あくまで、中央大神殿には道中での神殿の協力をお願いしたまでに過ぎません」


 クレイは己の失態を悟り、さりげなく軌道修正を図る。


「もとよりアリスリーゼでは、北方大神殿を第一と考えております。ですから、中央大神殿と同等・・の助力を北方大神殿にお願いに参った次第です」


「ほお、中央大神殿と同じようにと……?」


「ええ、こと北部地域では北方大神殿の影響力は中央に優るとお聞きしましたので……」


 クレイの弁舌に、五正会の面々の険しい表情が少しづつ柔らかいものとなる。 


 

 「ところで、皆様にぜひお聞きしたいのですが、レイモンド代理統治官とは、いったいどのような人物なのでしょうか?」


 場の流れの微妙な変化を察して、クレイは早々に話題を転じる。


 レイモンド統治官の話題を五正会の面々に振ることで、親書の問題をうやむやにし、尚且つ当初の目的である神殿がレイモンドに対する後ろ盾となり得るのかを、会話の中から探ろうという腹積もりのようだ。


「どのような……と言われましても、何と答えて良いものやら」


 ウィンラットは困ったように口を濁す。


「いえいえ、どんな些細な感想でもかまいません。我々としては、交渉の前にレイモンド統治官の為人ひととなりの一端でも知ることができれば、それだけで意味があると思っていますので……無論、他言はいたしません」


 よく言うよ、クレイの奴。レイモンドのこと、知り合いだって言ってた癖に……。

 知らない振りをして情報を引き出すつもりなのだろう。


 クレイが神妙な様子で彼らに感想を求めると、最初に口を開いたウィンラットが吐き捨てるように言った。


「一言で言えば『俗物』ですな……金の亡者と言ってもいい」


 どうやら良い印象は持っていないようだ。


「いやいや、ウィンラット殿。貴官はそう仰るが、彼もなかなかどうして、熱心なクティ神の信奉者と言えますぞ」


「神殿にも個人的に多額の寄進をしていただいてますしね」


 ウィンラットが否定的な意見を述べると、すぐさま他の二人が擁護に回る。


「いや、信仰はともかく、神殿をないがしろにしているのは確かですぞ」


 すぐさま、別の一人が反論する。


 その後は対立する意見の応酬がしばらく続いたが、そこからわかったのは五正会が真っ二つに割れているということだ。


 親レイモンド派と反レイモンド派とである。

 正確には正後会の五人中、親レイモンド派・反レイモンド派がそれぞれ二人づつ、残りの一人が中立派のようだ。

 もっとも、中立派もどちらかと言えば親レイモンド寄りだったが、五正会筆頭正神官のウィンラットが反レイモンド派なので勢力は拮抗しているように見えた。


 人の多い大神殿なのだから一枚岩とは思っていなかったが、まさかここまでレイモンドの勢力が神殿側に食い込んでいるとは思ってもいなかった。

 これでは、神殿を後ろ盾にしてレイモンドに対抗しようするのは望み薄に思えてくる。


 クレイも同様に感じたらしく、積極的に神殿側と組もうという意思が途中から明らかに感じられなくなっていた。

 結局、オレ達と五正会との話し合いは『アリスリーゼ滞在中は中央大神殿に代わって北方大神殿が便宜を図る』という結論に達して終了した。


前回は更新が遅れて申し訳ありませんでした。

忘れていた飲み会に行ったため、事前準備ができていませんでしたw

気をつけます(>_<)


それと三月後半から4月前半は、もしかしたら更新をお休みするかもしれません。

その場合は、どうかお許しください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=687025585&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ