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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
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呪われし血の少女……⑧

すみません。最初の2行を修正しました。


「それでだ。もう一度、確認しておきたいんだが、ジルコークさん、あんた開かずの間の宝のことを本当に知らなかったんだな?」


「ええ、全く知りませんでした。購入するときにも、特段そんな話はありませんでしたし……」


 クレイの質問にジルコークは否定の言葉を返す。


 実のところ、アエル達が勝手に棲みついたような言い方を村長はしていたが、実際は違っていた。彼らは、男爵の親族にちゃんと代金を支払って、この屋敷を購入していたのだ。

 男爵の遠縁と偽った理由は、実際に男爵家から買っていたことと、貴族待遇を持つアエルの境遇を村の者たちに説明するわけにいかなかったので、仕方なく名乗ってしまったらしい。

 なので、男爵云々の話は別として、この屋敷の正式な所有者は間違いなくアエルというわけだ。


「ほとんど廃屋だったので、前の所有者からは中にあるものは適当に処分して良いと言われていたのですが、こんなことになるとは……」


 ジルコークの困惑した言葉に頷いて、クレイは意見を述べる。


「この屋敷の所有者がアエルさんということは、必然的にこの宝の山の主有権は彼女になるってことだが……」


「……それは困ります」


 意外にもジルコークはその結論に難色を示した。


「この財産はアエル様(の復権)のためにも、ぜひとも手に入れたいところですが、今の立場で、これ以上注目を浴びる訳にはいかないのです」


 実際、これほどの財産を突然所有することになると帝国の財産管理局に必ず申し出なければならないとの話で、中央大神殿からの潜伏生活にある身で、それを行うのは自殺行為と言えた。

 かと言って、黙っていれば貴族の財産管理報告義務違反となり、やはり処罰や捕縛の対象となる。


 元々の制度は、帝国の創成期に貴族の造反や腐敗を恐れて貴族階級の固有資産について、監視の意味も含めて届け出をさせたのが始まりと聞いている。

 バレなきゃいいという考え方もあるが、どこから情報が漏れるかわからないし、国や中央大神殿以外に宝をを狙う不埒な輩を大量に呼び寄せる可能性もある。


 ただでさえ、追われる身なのに今以上のリスクを負う選択は、たとえ宝の山を失おうとも、選ぶべきではない……それがジルコークの結論だった。


「じゃあ、前の持ち主のものになるの?」


「いえ、それも別の問題を引き起こしかねないでしょう。現に我々が支払った代金についても親族間で揉め事になっているらしいので……。おそらく大揉めして注目を集め、出所を詮索されかねない事態となるに違いありません」


 オレの疑問にジルコークが望み薄という顔をする。


「まあ、どう考えても男爵様の持ち物とは思えないしな。もし、遺産を残しているなら何かしらの伝聞が残っているはずだし、そんなものがあれば残った親族も簡単にこの屋敷を手放したりしないだろう」


「じゃあ、いったいどうすればいいんだ?」


 きっぱり否定するクレイに対し、オレが非難の声を上げるとサラが横合いから口を出す。


「それじゃ、仕方が無いなぁ。お金の管理に長けたあたしが一時的に預かってあげるよ。その間に、本当の持ち主を探せばいい。うん、我ながら名案だと……」


「却下!」


 有無を言わせず、切って捨てる。


「あ、やっぱり……」


「それでは、私も良いですか」


 あっさりサラが引き下がると、今度はヒューが口を開く。


「リデルの名前で、拾得物として国に届け出るというのは如何でしょう?」


 え、オレの名前で?


「ここに、こうして置いておく訳にもいきませんし、国に預かってもらうのが一番安全です。後はサラさんの意見と同様に、その間に持ち主やここに運ばれた経緯を調べれば良いと思うのです」


 なるほど、それならアエル達は前面に出ないし、旅の途中のオレ達が偶然発見したとしても、そんなに違和感はないか……。

 それに万が一、不審に思われたとしても、オレの表の立場で無理やり押し切るつもりことができるだろう。


「異義あり!」


 オレが納得しかけると、サラが猛然と反対する。


「キースは今の帝国の実情を知らな過ぎる。帝国は国庫が傾いていて青息吐息なんだぞ。そんなところに、あのお宝持っていったら、難癖付けられて取り上げられてしまうのがオチさ」


 確かに……。

 ケルヴィンなら、これ幸いと理由を付けて接収しそうだ。


「特に今度戻ってきた『皇女』様とやらは、裏の情報じゃ傭兵上がりの跳ねっ返りで短気な上にお金にも細かいって話じゃないか。懐に入れちまうに決まってるさ」


 サラの発言に、ヒューは困った顔になり、クレイは笑いを堪えている。


 そ、そうか……そんな裏情報が流れているのか。もしかしたら、情報の根拠にルマの武闘大会の悪評が関係しているのかもしれない。

 深窓のお嬢様的な評判もどうかと思ったけど、こういう評判もオレとしてはげんなりする。多少真実が混じっているだけに余計、始末が悪い。

 知らないところで、オレの虚像がどんどん一人歩きしているように思えて、ちょっとへこむ。


「ああ、みんな。ちょっといいか。俺にも提案があるんだ」


 薄ら笑いを浮かべていたクレイが真顔に戻り、皆を見渡してから徐に話し出した。


あけましておめでとうございます!

本年もよろしくお願いします。


今年、一回目の更新です。

と言いいながら、さっそくの弱音です。年末のパソコンクラッシュ騒ぎと年末年始のリアルの忙しさで、ストックが切れています(>_<)

しばらく週一更新になるかもしれません。ごめんなさいです_(._.)_


それでは、再度になりますが本年も『いつ可』をよろしくお願いします!

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