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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
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呪われし血の少女……⑦

「誰だ!…………え?」


 実のところ予想していたのは、軽口で軽薄そうに見せているが意外と堅物のクレイではなく、若気の至りを起こしそうなエルトヴァイトあたりと踏んでいたのだが、全く違う人物がそこにいた。

 まあ、彼も若いとはいえ騎士であり聖職者の端くれだから、さすがにそんな軽はずみなことはしないか。


 とにかくだ……。


「あの、アエルさん? そこで何してるんです?」


 そう、脱衣所にいたのは、この屋敷の主であるアエルその人だった。


「……リデル……タノシソー」


 すでに服を脱ぎ終えていたアエルは大きな脱衣籠で身体どころか顔まで隠してたが、頭の上の目玉がにょろりとオレを見ていた。


「イッショ……イイ?」


 なんだ、一緒に入りたかったのか。


 あ、でもオレ一人なら良かったのだけど、サラも一緒だから、ちょっと無理かも。


「ドシタ、リデル?」


「ああ、悪いんだけど、他の人もいるから……」


「ダイジョブ……コレ、アルカラ」


 そう言って、突き出た目玉がうっすらと光る。


 幻覚か……それなら、何とかなるのかな。

 服を脱いで準備万端なアエルを断るのも可哀想だし……。


 オレが思案していると、目玉が心配げに揺れているのが見える。


「……わかった。こっちにおいでよ」


 オレはアエルの手を取ると一緒に露天風呂まで戻った。




「おお、天使が二人もいる!」


 サラが異様に興奮しているので、ぎろりと睨みつける。


「サラ、先に言っとくけど、アエルに変なことしたら、ただじゃおかないからね」


 サラの暴走を阻止するために、前もって釘を刺す。


「当たり前ではないか。ノータッチは基本だ」


「ドヤ顔で訳のわかんないこと言ってないで、少し離れろ。アエルが怖がって入れないじゃないか」


 サラを遠ざけると、アエルの身体を軽く洗ってあげて、一緒に露天風呂に浸かる。


 あ~、身体が温まって気持ちいい。外に出て冷えたせいで、余計に温かく感じる。


 アエルは……と見ると、目のある辺りには髪がかかっているので表情はわからないけど、口元がふにゃんとしているので気持ちが良いのだろう。

 目玉の方もほんのり桃色になって左右へふわふわと揺れていたが、オレの視線に気付いたのか、こちらを向く。


「リデル……」


「ん、何だい、アエル」


「イッショ……タノシネー」


「そうだね、オレも楽しいよ」


 瑞から見ても本当に嬉しそうだ。


 思うに屋敷の半分以上が手付かずのままだってジルコークが言ってたのに、露天風呂がわざわざ改修されているのは、アエルがお風呂好きという証拠だろう。

 けど、きっと侍女のマルシェラさんが一緒に入るとは思えないから、いつも一人で入っていたのに違いない。だから、オレやサラと一緒に入りたかったんだと思う。


 にこにこしているアエルを見ていたら、身体だけでなく何だか心もほっこりした気分になって自然と笑顔になるのがわかった。



 結局、アエルはオレ達と一緒に入って興奮したせいか、のぼせてしまったらしく一足先に上がっていった。

 オレとサラも、もっとゆっくり入っていたかったのだけど、アエルの着替えの手伝いに来たマルシェラが夕食の用意ができていると知らせてくれたので、そろそろ風呂から出ることにした。


「それにしても、お気に入りとは聞いていたが、お風呂用の帽子もあったんだな」


 サラの言葉にどきりとする。


 幻覚があるから大丈夫とアエルが言っていたので、その言葉を信じて風呂に誘ったものの、アエルの正体がサラにバレるのではないかと、入るまでは心配で冷や冷やしていた。

 けど、本当にサラは全く気がつかない様子だったので、安心しきっていたのだ。しかし、どうやら完全には効いていなかったようだ。


 アエルの幻覚は人の感覚に作用する代物のようだが、オレや傭兵団長には効かなかったように、すべて人間に100%有効ではないらしい。

 それでも湯けむりに紛れたおかげで、例の帽子を風呂場でも被っていたとサラは思い込んでくれたようだ。

 ホント、危ないところだった。


 アエルにも過信しないように言わないと……。




 オレ達が着替えたり髪を乾かしている間に、さっき入ったばかりの男性陣がお風呂から上がってくる。

 おい、どんだけ早いんだ? カラスの行水にもほどがあるぞ。


「いや、待たせるのも悪いと思ったし腹も減ってたからな。でも、十分温まった上に、汗も流せたぞ」


 クレイがそう言うと、ヒューとワークも同意の表情をする。


 そういや、オレが男だった頃は何となく他人と一緒に湯浴みや水浴びするのが気恥ずかしくて、短めにしてたっけ。あれは女性の心の残滓が心のどこかに残っていたせいだったのだろうか……。


 何はともあれ全員揃って食堂で会食を行った。


 意外なことに、あの臆病な料理人のキャスビー氏の腕はかなりのものだったらしく、出てくる料理は全て絶品だった。彼もジルコークと個人的なつながりでここにいるようで、昔は有名ホテルの料理長をしていたこともあるのだとか。


 とにかく美味しい料理に舌鼓を打って和やかに食事を終え、就寝を理由にアエルがマルシェラを伴って退席すると、自然に今後の成り行きについての話し合いの場となった。


年内最後の更新となります。


おかげさまで、パソコンはほぼ復活しました!

年賀状もばっちりです(^_^)v


今年一年、お付き合いくださいまして、本当にありがとうございました。

来年も頑張りますので、よろしくお願いします<(_ _)>

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