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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
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呪われし血の少女……⑥

◇◆◇◆◇


「ふわぁ~っ……」


 肩まで湯に浸かると自然に声がもれる。


 じんわりと身体に染み入る温かさと、ゆらゆらする心地よい浮遊感が、一日の疲れを一気に吹き飛ばすように感じた。

 湯けむりで視界は霞がかって見えたが、月明かりがそれを幻想的にしている。


 ふと、オレは湯の中から腕を伸ばして手のひらを月にかざすと、真っ白な細い腕を水滴が滴り落ちてキラキラと輝く。


 うん、露天風呂って最高!

 足も自由に伸ばせるし、夜空が見える開放感は室内風呂では味わえない気持ちの良さだ。


「なあ、リデル。まだ、そっちを向いては駄目かな?」


 露天風呂に思わず顔がにやけていると、隣から我慢しきれないような声がする。


「だ~め! って言いたいとこだけど、もういいよ。肩まで浸かったから」


「それじゃあ」


 勢いよくこちらへ振り返ったのはサラだった。

 そして、湯面から上のオレの姿を蕩けるような目で見た後、視線を落とす。


「ぐぬぬ、見えん。なぜ、見えんのだ。温泉は無色透明だというのに……はっ、まさかこの湯けむりは自主規制なのか?」


「何、訳のわからないこと言ってんだよ。そんな目で見るから一緒に入るのは嫌だったんだ」


 露天風呂は一つしかなかったので、男女別に時間をずらしてに入ることに決まり、女性陣が先に入浴することになった。けれど、サラの異様に興奮する様を見て、オレは一緒に入るのを断固拒否した。


 そのため、女性陣が二回に分けて入ると男性陣を待たせる時間が長くなるので順番を入れ替えて、男性陣・サラ・オレの順番で入ろうと提案したのだが、今度はそれを男性陣に拒否された。


『俺達が入った湯に、お嬢様方を入れるわけには」という謎な理由でだ。じゃ、逆ならいいのかという素朴な疑問が残るんだけど。


 で、仕方なく条件付でサラと一緒に入ることに妥協したのだ。


「なあ、リデル。ちょっとでいいから、お姉さんにその身体触らせてくれよ~」


「駄目です、約束したじゃないですか。オレの裸は絶対見ないって」


 そう、オレの裸をいやらしい目で見ないという条件で一緒に入ることを了承したのだ。


「だから、ちゃんと目は瞑るって。ただ触るだけだから」


「なお悪いわ。変態め、近寄るんじゃない!」


「リデルも、そういう方面にもう少し寛容でないと、クレイ君が可哀想じゃないか」


「な、何でそこにクレイの名前が出てでくるんだ。か、関係ないだろ!」


「そうかな……お、隙あり」


「え? はにゃぁ……」


 動揺してサラから視線を外した瞬間、サラをオレの胸に手を伸ばした。


 むうっ、思いきり揉まれて、思わず変な声が出てしまった。


「おお、小振りだけど、これはこれで……」


「サ、サラっ!」


「そんなに怒らないでおくれよ。よくある女の子同士の可愛らしいスキンシップじゃないか。それにクレイ君との良い予行練習になると思うぞ……そうだ、お返しにあたしのも触るかい?」


 オレが胸を隠しながら鬼の形相で睨みつけると、サラは悪びれた様子もなく自分の豊満な胸を惜しげもなく晒した。


「いや、いいです……」


 オレは顔を赤くして俯いた。

 自分のは、どうにか見慣れたけど、他人のを見るのにはまだ少し抵抗がある。男だった時のように、性的な興奮を覚えることはなかったが、どうにも気まずさを感じるのだ。


「そうかい、それは残念。リデルちゃんを、めくるめく新しい世界に目覚めさせてあげようと思ったのに……」


「けっこうです! だから、あんたと一緒に入るのは嫌だったんだ。そもそも、何で同じ女性の裸に、そんなに興味津々なんだよ」


「それは違うぞ、リデル君」


 サラは急に真面目な顔をする。


「美を愛でるのに理由なんか必要ないんだ」


「…………」


 オレが無言のまま、左手で胸を隠し右手で握り拳を作ると、サラは盛大に慌てふためく。


「ちょ、ちょっと待った。君に全力で殴られたら、さすがのあたしも命がないよ」


「試してみればわかるさ……」

 

 オレが低い声で言うと、サラの顔色がさらに青くなる。


「ま、待ってくれたまえ。ほんの冗談だよ、本気で受け取らないでく……」


「しっ……静かに!」


 不意にオレはサラの言葉を遮って、黙るように促す。


「どうかしたのか?」


 真顔になったサラも息を潜めて小声で聞いてくる。


「脱衣所に誰かいる」


 オレはサラに囁くように言うと、脱居場所のある屋敷の方に注意を向けた。


 うん、確かに誰かいる。オレの人間離れした感知能力がその存在をはっきりと認識していた。


「まさか、お約束の覗きイベント発生か?」


 サラがまた訳のわからないことを言っているが、無視してオレは脱衣所に忍足で向かう。


 そして、扉の向こうに誰かいるのを確認すると、左手で身体を隠しながら、いきなり扉を開けた。


お待たせした上に、短くてごめんなさい。何とか更新できました。


一応、温泉回ですw

温泉要員のソフィアさんがいないのが心残りですが…。


パソコン、思った以上に重症でした。

ハードディスクが壊れたので、データは無事でしたが、プログラムは全滅でした。(あ、あれ顔文字が出ない?)ハードディスクに再インストールできない、ネットも繋がらない、セキュリティソフトが入らないなど、復旧は困難を極めました。おかげで、未だ完全復活とは言い切れません。

……いろいろ不都合が起きてますので、さらに更新は遅れるかもしれません。最悪、年末年始でリカバリーする予定です。

ああ、年賀状が……(泣き)

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