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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
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呪われし血の少女……④


 クレイに言われて視線を前に戻すと、おそろしく頑丈そうな両開きの扉が目に入った。


「これが開かずの間か……で、いったい中に何があるんだ?」


「さあ?」


「さあ……って、わからないのにオレを呼んだのか」


「まあ、待て。そう慌てるな」


 口を尖らすオレに、クレイは苦笑しながら理由を述べる。


「さっきの団長から聞いたんだ。村長から、屋敷の人間を全員片付けたら、開かずの間の様子を確認して来てくれと頼まれたって。どう考えてもいわくありげだろう」


 そいつは、どう考えても怪しい。何で、村長がこの開かずの間の存在を知ってるんだ?

 何となく、この中に今回の一件の真相が隠されているような気がする。


「それで、どうするんだ? ソフィアはいないし、鍵も紛失しているんだろう?」


「何を言っている。だから、お前を連れて来たんじゃないか」


「は?」


 思わず間の抜けた返しになる。


「お前の人間離れした腕力をもって、この扉をぶち壊してくれ」


 さも当然といった顔付きでクレイが扉を指し示した。


 な、何言ってんだ、こいつ?

 いったいオレをなんだと思ってるんだ。


 そう思っていると、オレの心の声をエルトヴァルトが代弁してくれる。


「君は何を馬鹿げたことを言ってるんだ。こんな華奢で可愛らしい女性が、この扉を壊せるわけないじゃないか」


 そうだ、そうだ。もっと言ってやれ!

 オレだって、か弱くて可愛らしい女の子なんだからな。

 うん。エルトヴァイトの奴、意外と人を見る眼があるな。


「お前、ホント人の見る眼がないぞ」


 オレとは真逆な評価をクレイが、ばっさりと下す。


「これのどこが可愛らしいって……」


「ク・レ・イ――――――っ!」


 オレの怒りの握り拳がクレイ目がけて炸裂する。


「おっと」


 クレイがそれをひょいと避けたので、オレの渾身の一撃はそのまま開かずの間の扉に叩き込まれた。


「へ?」


 エルトヴァイトが、素っ頓狂な声を上げる。

 その刹那、物凄い轟音と衝撃が辺りに響き渡り、朦々とした土埃が辺りに立ち込めた。


 風が流れているおかげで、すぐに視界は晴れたが、そこに現れたのはぽっかりと穴の開いた開かずの間と盛大に咳き込みながら涙を流しているエルトヴァイトの姿があった。

 どうやら、驚きのあまり目を見開き、口をあんぐりと開けていたせいで土埃をもろに吸い込んだらしい。

 中に倒れ込んだ扉を見てみると、たわんではいるが頑丈に持ち堪えていたけれど、扉を支える壁の方が長年の劣化に耐えられなかったようだ。

 そして、衝撃によって壁や天井の一部が剥がれ落ちたせいで、オレは漆喰や粉塵を頭から被って土塗れになっていた。


「おお、お見事。さすが、リデル」


「…………」


 お気楽なクレイの声がしたので、沈黙のまま振り返ると、オレの頭や身体から土埃がぱらぱらと落ちた。

 うわっ……服の隙間から土やら何やらが入ってきてるし、頭も土だらけで気持ち悪い。


 オレは無言でクレイを睨みつけた。


「ん、どうした? 怖い顔して。ちゃんと、開かずの間が開いたんだから、問題ないだろ」


 全く悪びれない様子に、オレはため息をつく。


「ホント、お前って性格、最悪だな」


「褒め言葉と受け取っておこう。それに性格が悪い分、顔が良いからな」


「ふん、よく言うよ」


「ちょ……お、お前たち何をのん気にしゃべってるんだ!」


 オレとクレイが、たわいも無い会話をしていると、エルトヴァイトが血相を変えて叫んだ。


「き、君のパンチは、いったい何なんだ? 扉を壁ごと壊すなんて、とても人間業とは思えないぞ。それに、あんた!」


 オレに詰め寄ったかと思うと、今度はクレイを指差して続ける。


「何で、そんなに悠長に構えているんだ。今の打撃を見ただろ。もし、当たっていたら、あんた確実に死んでいたぞ!」


 エルトヴァイトの形相に、オレとクレイは互いに顔を見合わせる。


「え? ……確かに本気の一撃だったけど、当たらないよね」


「ああ、当たらないだろ」


「でしょ……たまには当たったらいいのに」


「止めろ、余裕で死ねる」


 ほんわかした笑顔を互いに見せ、軽口を叩き合うオレ達にエルトヴァイトは絶句した。


「き、君達は…………」


「それより、せっかく開かずの間がリデルの馬鹿力で開いたんだ。中を覗いてみようぜ」


「馬鹿って言うな。ええ~っ! でもオレ、土埃塗れだから着替えたいんだけど……」


「後にしとけ。探索すれば、どうせ汚れるんだから」


 呆けたように立ちすくむエルトヴァイトを無視して、オレ達は開かずの間へ入った。




「こ、こいつは……」


「うん、これはすごいね」


 オレ達は部屋の中に、足を一歩踏み入れて驚きのあまり言葉を失った。

 宝物庫かもしれないとは思っていたけど、想像以上の財宝の山に、オレは自分の目を疑ったほどだ。

 どう見ても男爵レベルが所有できる質や量ではなかった。


「何なんだ、この宝の山は……」


 オレ達を追いかけて部屋に入ってきたエルトヴァイトも驚愕の声を上げる。

 その驚きを見ると、開かずの間に何があるか本当に知らなかったようだ。


「とにかく、オレ。ジルコークさんを呼んでくるよ」


 興奮するエルトヴァイトと冷静に財宝の品定めをしているクレイを残し、オレはアエルの部屋にいるジルコークのところまで走った。


ホントに寒い日が続きますね(>_<)


ダイエットは続けていますが、横ばい状態です。

リバウンドもしていないし、この生活にも慣れたので、しばらくは続けていきたいと思います。


でも、せめて年内には、この章は終わりたいなぁ。

年が明けたら、アリスリーゼといきたいものですw

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