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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
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呪われし血の少女……②

 『血統裁定官』の必要性は、そう考えると大事かもしれない。

 だって、ドラゴンと一戦交えるより、ずっと危なくないし効率的だもの。


 密かに、アエル達『血統裁定官』の有用性を再確認していると、ジルコークが再び口を開く。


「ですから、すぐに『アリスリーゼ』に向かい、北方大神殿と協議しなければならないのです。皇女様は必ずや我々の想いを汲んでくださるに違いありません」


 ジルコークは期待に満ちた顔つきで断言した。

 

 う~ん。ジルコークには悪いけど、オレってそんなに力あるとは思えないんだよね。

 政治的な話はケルヴィンに丸投げだし、何かするのにも一々誰かに聞かなきゃ何も出来ないし……。

 そもそも、皇女って皇帝の娘に過ぎないわけで、帝国法上は何の権限もないんだよね。


 普通なら皇帝に対して絶大な影響力があるから、その権勢は侮れないものだけど、今は皇帝不在でその影響力を行使する相手がいないんで、何の力もないに等しいと思う。

 今のオレに、みんなが良くしてくれるのは三世が残した神託によって、次代の皇帝を選べる立場にあるからと言っていい。

 だからこそ、ケルヴィンはオレを皇帝に据えて権勢を得たいと考えたわけだ。上手くことが運ぶとは到底思えないけど……。


 そんなわけで、期待に満ちたジルコークに応えることは残念ながら無理だと思う。はっきり言って、皇女になった今より、傭兵時代の方が自分のやりたいことがやれたんじゃないかな。

 皇女になってから、しがらみやルールにがんじがらめで、自分の意思で何一つ出来なくなってしまったように感じる。


 正直、籠の鳥もいいとこだ。

 貴族のお嬢様方が社交界にしか楽しみを見出せないのもわかるような気もした。

 ま、とてもオレにはそんな真似はできないけどね。


 ただ、ジルコークのように、こんなオレに期待している人が、この国にはたくさんいるという現実を考えると、ちょっと身の竦む思いがした。

 応えられない期待が重圧となって、のしかかってくるようで、胸が締めつけられそうになる。


 あ、そうか。オレが帝都から逃げ……見聞を広めに旅へ出ようとしたのは、そうした諸々について考える時間が欲しかったのかもしれない。

 けど、果たしてその成果はあったのだろうか?


 今まで旅を続けてきて、いろんな人に出会い、様々な事件に遭遇し、オレもそれなりに成長したような気もする。

 だから、手前みそだけど、今回のアリスリーゼ行きは決して無駄ではなかったと信じたい。


 それもこれも、帝都に戻ったときに、きっとはっきりするだろうけど……。


「リデル様、如何しましたか?」


 オレが物思いに耽っていたので、ジルコークが心配そうに話しかけてくる。


「いや、何でもないよ……それより、個人的な興味で申し訳ないんだけど、ずっと気になっていたことがあるんだ。聞いてもいいかな?」


「ええ、どうぞ。私が答えられることでしたら」


 オレはジルコークの顔をまじまじと見ながら尋ねた。


「ねえ、何でジルコークはそこまでアエルに尽くすんだ?」


「え?」


 よもや、そんなことを聞かれるなんて想像もしていなかったような顔をする。


「いや、だって……成功が約束されていた未来を投げ捨ててまで他人のために尽くすなんて、普通は有り得ないだろ」


 まあ、そういう場合は往々にして恋愛が絡むのが一般的だけど、ジルコークに限ってそんなことは……。

 ま、まさか、少女をこよなく愛する系の趣味の人じゃないだろうな。


「何を言っているのです、リデル様。このアエル様の愛らしいお姿を見て全てを捧げようと思うのは、人間としてごく当然のことではないですか」


 ジルコーク……まともな人だと思ってたけど、実はヤバイ人だったんだ。

 その台詞って、少女愛好家か狂信者のそれだよね。


 オレは、さりげなくジルコークから半歩遠ざかると、作り笑いを浮かべた。


「じゃあ、ジルコークさんはアエルが愛らしいから人生を捧げたと……よくわかりました」


 ホントはよくわからないけど、この話題は終わりにしよう。

 でないとオレのダメージが大き過ぎる。


「そう言えば、私がちょうどリデル様ぐらいの年齢の頃でしたでしょうか」


「はい?」


 不意に思い出したようにジルコークが話し出す。


 な、何なんだ突然。驚いたじゃないか……。って、オレに関係なく話を続けたよ、大丈夫か、この人。

 もしかして、本当は死んでいてアンデットとかになってるんじゃないだろうな? もしくは魔法で魅了されてるとか。


 オレが怖い妄想に捉われていると、ジルコークはハッとした感じで我に返り、オレに対して恥ずかしそうな表情を見せる。


「すみません。突然、変なことを言い出して。つい、初めてアエル様に出会った時のことを思い出しまして……」


 ああ、昔のことを思い返していたんだ、びっくりさせるなよ。


「私の父親は神殿関係者でしてね。そして、父に連れられて中央大神殿の中枢部に初めて足を踏み入れた時に、偶然アエル様に出くわしたのです」


 楽しい思い出なのだろう、ジルコークの目が子供のように輝いている。


 オレと同じくらいか……オレの見た目は実年齢より幼く見えるらしいから、ジルコークが十二、三歳の頃の話に違いない。

 ん? それって、いったい何十年前の話だ?


いつもお読みいただき、ありがとうございます。


年末進行もありますが、いろいろあって執筆時間に制限がかかっています(>_<)

週二更新ができなかったら、ごめんなさい。


あと、年末年始も長期でお休みするかもしれません。

申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

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