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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
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襲撃の顛末……③

「ア……エル?」


 目に飛び込んできたアエルの姿に、オレは自分の目を疑う。


 そこには映ったのは、暴漢に襲われるところを助けられた薄幸な貴族の少女などでは断じてなかった。お気に入りの帽子が残骸になってしまい残念そうにしているアエルの頭には、帽子の飾りだと信じ込んでいた例のカタツムリのような角が、にょきりと2本、生えていたのだ。


「それは何なの……?」


 オレの問いかけに気が付いたように、こちらを見る。


 頭の目玉がである。

 明らかにオレを見ているのがわかる。


 と同時に、どうしていつも目を瞑っているのかの理由も判明した。


 何のことはない。目を開けないんじゃない、開ける必要がなかったのだ。いや、もしかしたら人間の目の位置に本当に目があるのかさえ、わかったもんじゃなかった。


「アエル、君は……」


 オレは、ゆっくりとテリオネシスの剣をアエルに向ける。


 どう見たって魔物だ。警戒しない方がおかしい。

 ある意味、村長の見立てが正しかったことになる。

 オレが次なる戦闘に意識を向けていると、慌てたような様子で執事のジルコークがオレの間に立ちはだかった。


「お待ちください、リデル様。ぜひ、私の話を聞いてください……」


「ジルコークさん、納得できるような説明をしてくれるんだろうな」


 疑心暗鬼になったオレはジルコークを、じっと見つめた。

 対するジルコークは、オレが話を聞いてくれると知って、安堵のため息をもらす。

 問答無用で戦闘になってもおかしくない状況だったことは確かだ。


「わかりました。すべてをお話しますから、剣をお納めください。アエル様がむやみに人間を攻撃することはありえませんので……」


「リデル……」


 不意にアエルがオレの名を呼ぶ。


「何だ、アエル?」


「ボウシ……コワレタ」


「そ、そうみたいだな」


「トテモ……カナシイ」


「そ、そうか……」


 アエルはボロ切れとなった帽子の前に座り込むと、頭の目玉を帽子に近づけさせ、じっと見つめている。

 心なしか、頭の目玉も元気がないように見えた。



「とにかく話の前に、縄か何か縛れるものを持って来てもらえるかな」


 オレは落ち着いて話をする前に、部屋の中で目を剥いて気絶してる連中の後始末を済ませることにした。


「確かにそうですな……マルシェラ、この者達を拘束できるような丈夫な紐か縄を持ってきなさい」


 傭兵団の連中に視線を向けてから、ジルコークは侍女のマルシェラに指示を出した。


「畏まりました、ジルコーク様」


 マルシェラは恭しくお辞儀をすると部屋を出て行く。


 ジルコーク様か……。


 同じ使用人だけど、執事と言うより実質上の主人みたいなものだし、年齢も離れているので、様付けでもおかしくないか。

 オレのほんの少しの表情の違いに気づいたのか、ジルコークは笑って教えてくれる。


「マルシェラは元々孤児でしてな、私がこの屋敷に連れてきて先代の侍女長に引き合わせたのです。なので、恩義を感じてあのように忠義を尽くしてくれます」


 感慨深げな様子で語るジルコークさんは思っていたより、ずっと情が深いらしい。


 すぐに荒縄を持って戻ってきたマルシェラから縄を受け取ると、オレは倒れている連中を縛り上げた。特に団長さんは油断ならない人物なので、特に念入りに行う。


 そうこうしている内に、先ほど出会った傭兵団をオレと同じように片付けたクレイがエルトヴァイトを連れて、ここに辿りついた。


「アエル様は、アエル様は無事ですか!」


 傷だらけで、あちこち血が滲んだ跡が残るエルトヴァイトが血相を変えて飛び込んで来たが、彼女の安否がわかるとヘナヘナと床に座り込んだ。

 どうやら気が張っていたのが、アエルの無事を知って気が抜けたようだ。


 ふと見ると、アエルはすでに新しい帽子を被っていて、さっきまでの神秘的な姿では無くなっていた。


「リデル様、先ほどの話の続きはあとで構いませんか?」


 ジルコークは何気ない口調で話したが、この場で先ほどの姿を話題にするのは禁句らしい。


 まさか、エルトヴァイトはアエルの正体を知らないのか?

 彼女を気遣うエルトヴァイトが、ちょっと可哀想に思えた。



 「クレイの方は、どうだったんだ?そっちは、人数も多かったし……」


 オレはエルトヴァイトからクレイに視線を移して問いかける。


「なに、意表を突いた戦闘だったし、それほど腕の立つ奴もいなかったからな。リデルの方こそ、どうだっ……いや、よくわかった」


 クレイは粉々になったソファーを見て溜息をついた。


「あ、あれのおかげで、みんな怪我だけで済んだんだ」


 事実、ソファーの尊い犠牲のおかげで、この部屋を襲った団長を含む傭兵団の連中は骨折した者はいても命には別状なかったのだ。

 けど、オレの言い訳を「たまたまだろ?」とクレイは切って捨てた。


 ま、間違ってはないけど、ちょっと癪に障る。


 とにかく、クレイがこちらに来たことで、屋敷に侵入して来た連中がすべて倒されたことが明白となり、当面の危機は去ったと言えた。

 ただ、連中の処遇については意見が分かれ結論が出ていない。


 エルトヴァイトは盗賊と同じなのだから、処断すれば良いと主張した。

 確かに聖騎士は、ある一定の条件下にある時、限定的な司法権を有することがあり、あながち無法な意見とは言えない。


 一方、クレイは村長の元へ送り返し、彼共々この地の司法に委ねることを提案していた。依頼内容は非合法ではあったが、傭兵として正式な依頼を受けたものには変わりはないというのが、クレイの論拠だ。

 ただ、門番が殺されているので、極刑の判決が出る可能性も高いので、結果的にエルトヴァイトの結論と同じになり、その意味からすると遠回りな方法とも考えられた。


 結局のところ、決めるのは主人であるアエルなのだが、実際に決定する執事のジルコークは、すぐに結論を出さなかった。

 否、きっと出せないのだろう。


 アエルの正体を考えると、公権力の介入を避けたがっている節が垣間見える。かと言って、エルトヴァイトの意見に従うほど非情にはなりきれないようだ。

 なので、とりあえず連中を一箇所にまとめて拘束しようと言うことになり、意識のない彼らを運んでいる最中に団長が目を覚ました。


世の中は、もうすっかり真冬ですね。

あっという間にクリスマス……気が付いたらお正月なんてことに、なりかねないですw

皆様も年末年始は有意義な計画を(え、まだ早い?)


年内にはアリスリーゼ編に突入できるかなぁ……。



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