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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
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奇妙な住人たち……③


◇◆◇◆◇


「リデルはどう感じた?」


 帰り道でクレイがオレに聞いてきた。


「えっ、そうだな……」


 オレは先ほどの山荘での様子を思い返す。


「まん丸な騎士君や渋い執事さん達は真っ当な人間に見えたよ。少なくとも、盗賊や怪しい種類の人間ではないと思う」


「例のお嬢様は?」


 いつになく真剣な表情のクレイに、ちょっとびっくりしながら答える。


「う~ん、よくわからないってのが本音かな。はっきりとは言えないけど、凄く不思議な印象を受けたし、普通の人とは違う感じがした。あ、でも村長が言ってたような悪い魔物には見えなかったなぁ」


 オレがふわっとした感想を述べるとクレイは、ぽつりと言った。


「俺は正直、怖かった……」


「え?」


 クレイの答えにオレは驚きのあまり、目を見開いた。


「俺も、はっきりとは言い表せないんだが、得体の知れない恐怖を感じたのは事実だ」


「そうですね、私も言いようのない不安を感じて、ずっと緊張していました」


 隣にいたヒューも同調する。


「二人とも、そうなの?」


 オレの問いに二人は黙って頷く。


 クレイとヒューが揃って恐れる相手だって?

 これは、驚くべき事態と言っていい。


 オレの知る限り、クレイとヒューは一、二を争う剣士だ。その二人が揃って脅威を感じるだなんて、そうそうあることではない。

 疑問に感じながら、あの場にいたもう一人……サラにも尋ねてみる。


「サラはどう感じたか、教えてくれる?」


 サラはアエルお嬢さんと会話(?)もしたし、終始ニコニコしていたので、クレイ達とは違う感想が聞けると思っていたが、そうはならかった。


「村長さんの言うとおり、アレはとても人間と呼べる代物ではないね。後ろに控えていたワークがあたしを護ろうと前に出るのを抑えるのに必死だったよ」


 何ですと?


「リデル、正直あの場で一番のんきそうだったのは、お前だと思うぞ」


「クレイ、リデルを責めてはいけません。おそらく、リデルも破格の強さの持ち主なので、脅威を感じなかったのでしょう」


「いや、オレは鈍感なだけだと……」


 最後のクレイの感想を無視して、オレは真面目な顔をして考え込む。


 山荘に行くまで、オレも言いようのない不安感に苛まれて、恐怖を感じていた。まるで、オレが太刀打ちできない何かが待っているような気がしていたのだ。

 それが、山荘に着いたとたん、ぴたりと治まった。


 オレは、堅牢だが普通の山荘を見て、見知らぬ場所への不安が落ち着いたのだと勝手に思い込んでいたけど、そうではなかったのかもしれない。

 ひょっとすると、より近づいたことで相手の性質を無意識に感じ取り、敵対することはないと安堵したのではないだろうか。

 なので、アエルと対面した時に、ぼんやりと恐怖の残滓を感じたに違いない。


 オレは皆の足を止めさせて、一人ひとりの顔を見回してから言葉を発した。


「もし、アエルが村長さんの言ったように魔物だったとしたら、みんなは依頼どおりアエル達を討伐するつもりなのか?」


 オレの問いかけにクレイ達は顔を見合わせた。

 そして、最初にクレイが口を開く。


「別に臆病風に吹かれた訳じゃないからな」


 そう前置きしてからクレイは自分の考えを披露した。


「まず、村長の言い分だが、確かにアエルが男爵家の血筋かどうかわからないのは認める。だが、だからと言って山荘を村の物だと言い張るのは言いがりとしか思えない。一方、アエルが仮に魔物だったとしても、周囲には正常な判断を有する者達がいて、村に危害を加えようとの意思も特に見られない。魔物なら退治という理屈なら別だが、そうでないなら、現状としては武力に訴えてまで彼らの退去を強制するのどうかと俺は思う」


 決して、クレイがアエルに恐れをなしたとは思わないけど、事を荒立てることに反対なのはわかった。

 続いてヒューも意見を述べる。


「私もクレイの意見に概ね同意します。ただ、それより私が気になっているのはエルトヴァイト殿の動向についてです。彼が本物の聖騎士であるのは間違いないでしょう。騎士を詐称するのは重罪ですし、そもそも彼の性格では嘘はつけないと思いますしね。その彼が現在任務中であると口を滑らしたことに私は注目しています」


「それ、どういう意味?」


「つまり、アエルという謎多き少女について、北方大神殿が何らかの関与をしているという事実が窺えます。もし、そうであるなら事情もわからず、神殿絡みの案件に迂闊に首を突っ込むのは賢明な判断とは思えません」


 なるほど、神殿が絡んでいるなら慎重に考えた方が無難なのは間違いない。


 最後にサラも口を開く。


「あたしとしては、村長が何故そんなにも、あの山荘に拘るかに興味があるね。盗賊団ならともかく、貴族を名乗る者が住むのなら村にとって利益にはなっても問題にはならないと思えるんだ。それに……」


「それに?」


「さっきの開かずの間ってのが、ちょいと気になるんだな」


「ああ、執事のジルコークさんが言ってた……何か根拠があるの?」


「いんや、あたしの『文芸家』としての勘が、面白くなりそうだと心に訴えかけてくるのさ」


 ふむ、開かずの間か……。


「で、結局のところ結論はどうする?」


「そうだな。とりあえず、現時点での交渉結果を村長に報告し、向こうの判断を仰いでから俺達の去就を決めればいいだろう。最悪の場合は報酬を辞退して契約解除も視野に入れよう」


 クレイの結論を皆が支持し、オレ達は村への帰路を急いだ。


体調悪いですw

結局、一ヵ月半のダイエットで5kgも痩せてしまいました。

ダイエットは成功ですが、明らかにやりすぎました(>_<)

風邪も引いてしまい、めちゃくちゃ調子悪いですw


何か、週末いつも調子悪い気がしてきた……。


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