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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

野獣先輩 24時間テレビ編

作者: ミミン

【24時間テレビ編】

8月30日、今年も賛否両論の中、24時間テレビが始まった。今年の番組のテーマは「ホモは地球を救う」。毎年恒例の24時間マラソンは去年ランナーであった三浦大先輩がゴール前の武道館前で木村に刺し●された事により廃止となり、代わりに24時間プレイ企画が採用された。


この過酷な企画に自ら名乗りをあげたのが

あの野獣先輩と遠野である。


番組開始早々、彼らの熱いPLAYは生放送されると、あっという間に苦情の電話が殺到し、視聴率は過去最低の3.64%にまで低下した。


しかし番組はこの企画を継続させざるを得なかった‥。


何故ならば毎年様々な企画で盛り上がる24時間テレビであったが今年は予算の関係上、他のドラマやチャレンジ企画を一切計画できなかったからである。


野獣と遠野のPLAYは嵐のような苦情の中、生放送され続けた。

野獣のくっそ汚い雄叫びが何度もテレビから響き渡る。


番組のスポンサーはあっという間に全社降り、ACのCMしか流れなくなった。


しかし低下し続けた視聴率だったが、SNSなどで話題になり興味本位で再び視聴し始める者や、全国のガチホモ兄貴達により視聴率は少しずつ上昇した。


放送開始10時間が経過した頃、

野獣と遠野の二人は時間が経過するにだんだん疲労感を隠しきれなくなっていた。

それでも頑張り続ける二人の姿に、次第に多くの視聴者達は批判を辞め、息を飲んでテレビの前で静かに立ち尽くすようになった。


そしてついには支持者から番組に応援メッセージまで送られてくるようになった。

疲労困憊の彼らはこのメッセージを聞くと再び立ち上がり企画を続けたが、同時にアンチも増え続けた。


撮影場所である下北沢野獣邸の前には大勢の支持者とアンチが駆けつけて大抗争が始まった。

アンチ達は二人がPLAYをしている野獣邸に侵入し撮影を中止、さらには野獣達を●害しようと企む輩もいたが、支持者達により命がけで食い止められていた。


外が騒がしい事に気づきながらも二人はPLAYを決して辞めなかった。二人は困難に立ち向かい続けるところを視聴者達に見てもらい感動を与えたかったのだ。


そしてついに23時間30分が経過した‥。


二人は既にボロボロである。二人のPLAY映像と共にサライが流れ、24時間チャレンジはクライマックスを迎えた。

視聴率は過去最高の81.0%を越えて日本中が歓喜と声援にに包まれていた。

募金額も810114514円が集まった。


しかしここで野獣の耳にある噂が入る。

「近くのイキスギビルの屋上で飛び降り自●をしようとしている男性がいる‥!」


これを聞くと野獣のPLAYは止まってしまった。


遠野「‥先輩ッ!?」


野獣「聞いたかよ遠野‥、俺達のすぐ近くで自ら命を投げようとしている奴がいるらしい‥」


遠野「先輩‥分かりました‥ここで僕達のチャレンジは終わりにしましょう‥!」


撮影監督「うせやろ!?お前達、せっかく番組が盛り上がって金も集まってるのに、あと30分やろ!!こんな終盤で辞めさせられるわけないやろが!!続けろ!!」


遠野は監督やスタッフ達を必死に食い止め、出口への道を作った。


遠野「さあ、早くいって下さい先輩!!」


野獣「俺達は世界中の人々に笑顔を与え、希望を与え続ける救世主と呼ばれている、しかし人間1人の命すらも救えずに何が救世主だ!!こんなくだらない企画は中止だ、俺は行くぞ!!」


野獣は服も着ずに全裸で野獣邸を飛び出した。


外では未だに支持者とアンチによる大抗争が続いていた。

全裸で飛び出した野獣はあっという間に警察に確保されたが支持者達が必死に野獣から警察達を引き剥がした。


支持者「俺達の事は気にせず行ってください!!」


野獣の体は過酷な企画の果てにボロボロであったが遠野やファン達の熱い思いに答えるために、何より自●志願者を救う為に走り続けた。


番組のカメラマンはカメラを担ぎながら野獣を追いかけた。


野獣の懸命に走り続ける姿は野獣を猛追するカメラマン渡辺により引き続き24時間テレビで生放送されていた。(野獣が走る映像と共に負けないで♪が流れる)


イキスギビルに辿り着くとそこには飛び降りを見ようと集まる大勢の野次馬達と警察達、野獣は再び警察達に見つかり囲まれた。


警察「なんだこの変態は!?捕まえろ!!」


疲れ果てて限界を越えていた野獣には既に抵抗する力は残っていなかった。


野獣「ここまでなのか‥俺はやはり無力なのか‥」


野獣が諦めかけたその時、後ろから走ってきた大勢の人々が警察達を押さえ込んだ。

それはかつて野獣を潰そうと野獣邸に訪れて抗争していたアンチ共だった。


野獣の熱い思いに心打たれた一部のアンチが心変わりして野獣の見方に付いたのだ。


元アンチ「野獣!!はよ行かんか!!あいつを救えるんはあんただけやろ!!」


野獣は立ち上がりビルの階段を風の如く勢い良く駆け上がった。そして野獣とカメラマン渡辺は屋上の自●志願者の元へたどり着いた。


志願者「え!?何!?誰!?」


いきなり全裸の男とカメラマンがが飛び出してきたもので、志願者は驚いてビルから落ちかけた。


野獣「なあ!夜景は確かに明るくて綺麗だけどそんな端で眺めてたら危ないダルルォ!?こっちに来て、一緒に夜景見ようぜ!」


志願者「うるせぇ変態が、お前に俺の何が分かる!?俺は学校でいつも皆に仲間外れにされてて話相手も味方もいない!何をやっても上手くいかない!!努力しただけ無駄なんだ!!生きてて何の希望も何も無いんだ!!ほっといてくれ!!」


野獣「うるせぇクソガキ!!お前の辛さなんて知った事か!!そんな事よりこんな薄暗い夜景なんか見てねぇでこれを見ろ!!」


野獣はケツに挟んでいたスマホを手にすると志願者に自らが過去に出演した作品の動画やネットの掲示板を見せた。


野獣「俺は世界中でこんなにも指を指されながら笑われてるんだ!!実は俺も過去にはお前みたいに●のうとしていた時期があったんだよ!でも俺の演技は世界中の人々に笑顔を与えている事に気づいたんだ!!だから俺は人々に指を指されながらも生き続けようと思ったんだ!!俺の苦しみに比べればお前の悩みなんかちっぽけに感じないか!?」


志願者(確かに‥)


野獣の懸命な説得に世界中の視聴者達は静かに見守った。


野獣「よーし!!じゃあ今から俺と空に向かって叫ぼうぜ!!気持ちいいぜ!!」


野獣「イキスギィーーーーーッ‼️ほらほらお前も」


志願者は少し笑ったがその後にこう言った。


志願者「ありがとう野獣先輩、でももうここから人生立て直すなんて不可能だ‥」


志願者は手すりを掴んでいた手の力を緩めた。


野獣「待て!!お前今不可能って言ったな!?ならば今から俺がお前の前でどんな不可能な事でも可能にできる事を証明してやるよ!!」


野獣は勢いよく志願者へ向かって走り出した。


野獣「んあーーーーーーッ!!」


そして野獣はそのまま志願者を通り越して勢いよくビルから飛び降りた。


志願者「は?!」


視聴者達「は!?」


地上でビルを見上げていた野次馬達は悲鳴をあげた。


野次馬「うわああついに飛び降りたぞ!!」


野次馬「いや違う、あれは野獣の方だ!なんで野獣が飛び降りたんだ!!」


野獣「お前の苦しみは俺が引き受けた!だからお前の代わりに俺が飛んでやる!!」


全員「あいつ何やってんだッ!!」


野獣は速度を上げて勢いよくビル17階から落下する。


野獣「そして俺はここから生き延びる!!お前の目の前で不可能を可能にしてやる!!見とけよ見とけよ!!」


野獣には十二分な勝算を持って飛び降りていた。

何故ならば野獣は知っていたからだ。

猫はビルのような高い場所からでも無事に着地できる事を。


野獣「俺は野獣だ!!猫ように四点着陸だ!!」


野獣はビルの屋上から飛び降り、そのまま速度を上げて頭から地面に激しく落下した。


放り投げた水風船の如く、野獣の全身は地面に激しく叩きつけられた途端にバラバラに飛び散った。

落下した野獣に激突した野次馬達4名も勢いよく地面に叩きつけられ●亡した。


ここで24時間テレビの生放送は時間により放送終了を迎えた。


【完】

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