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ケーキの為にと頑張っていたらこうなりました  作者: すみ 小桜


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第16話

 「前代未聞なのは、タカビーダ侯爵令息なのではないかしら? 家名を継がれないのですか?」

 「うん? 継ぐ予定だけど? わざわざ魔法学園に入った事で騒がれたって意味だよ」


 うん? わざわざ? 魔法を扱う学校って魔法学園以外にないはずだけど。

 私が首を傾げると、「あ、そうか」とレオンス様が一人頷く。


 「普通、後継ぎの場合、貴族学園に入学するから魔法学園には通わないんだよ。だから特例で、放課後に魔法の授業を受けるのが一般的」

 「10歳に入学すれば、貴族学園に入学する年までには卒業できるのでは?」

 「君も言うね」


 クスリと笑ってレオンス様に、そう返された。

 そもそもレオンス様はその為に、10歳から魔法学園に入ったのではないのでしょうか。


 「あの魔法学園に10歳から通っている在学生って、私と君だけだよ」

 「え!? そうなのですか?」

 「子爵家ではどうかはわからないけど、5,6歳から家庭教師がついて、勉強が始まる。それには、魔法の勉強はないんだよ。だから一段落してから、属性持ちの令息達は追加で魔法学園に通う為にその勉強もする」


 え? そういうものなの?

 よく考えれば、伯爵家の次男だとしてもそれなりの教育は受けるわよね。必ず魔法学園に行けるとも限らない。そうなれば貴族学校へ行く事になるし、もしかしたら男爵や子爵ではなく、婿になって伯爵家や侯爵家に行くかもしれないものね。


 そう考えると、レオンス様ってかなり優秀なのではないかしら?

 侯爵家なら伯爵家より難しい教育を受けるだろうし、嫡男ともなればそれこそ一流の事を学ぶ。

 それと並行して、魔法の勉強も本格的に行っていなければ、10歳で魔法学園になど入れないわね。


 「レオンス様って凄いのですね」

 「何それ。君面白いね」

 「言っただろう。ちょっと変わっているって」


 二人は笑い合い、頷き合っている。

 その微笑ましい風景をリサおばあ様は目を細めて見つめていた。


 「うぬ。面白い事を言った覚えはないんだけどなぁ」

 「ごめんごめん。あのね。ファビアも凄いでしょって事だよ」


 私がムッとした顔をしたからなのかもしれないが、エメリック様が謝った。いや地が出てしまって、驚かせたのかも。


 エメリック様が、そう言って解説してくれたもののペーパーテストで、一位抜けしただけだ。

 それも前世の記憶があって、勉強法を色々知っていたから出来た事。普通の10歳だったら無理だったと思う。

 でもそれを知らなければ、凄いってなるか。


 「私には、魔法の勉強をする時間があったもの」

 「いつから勉強していたの?」

 「無属性だってわかってからかな」

 「は? それでどうしてそうなった?」


 言い方が悪かったのか、レオンス様が凄く驚いて、彼も地で返してきた。


 「普通、才能はないって思うところではないかと思ってね」

 「言い方が悪かったわ。無属性だったけど、魔力がいっぱいあって、魔法学園に行けるかもねと言っていたので、魔法の本を手配してもらったのです」

 「え? 独学?」


 更にレオンス様が驚く。

 私はそうだと頷いた。


 「本当に一人で勉強したの?」


 エメリック様も驚いた顔つきで聞いてきた。それにも私は頷く。


 「だって、魔法自体は学園で習うでしょう? 一応、魔法学園の事も本で調べたの。穴埋め問題だって書いてあったから、その対策をしたの」


 あの時はまだ、お母様は生きていて魔法学園の本を手配してくれたのは、お母様だった。その後すぐに亡くなって……。

 魔法学園に行きたいと思った一番のきっかけは、お母様かもしれない。行きなさいと言われたわけではないけど、私が興味を持ったと知って、こっそり買ってくれたのだもの。


 「いや、それでも5歳で一人では無理だと思うのだけど」

 「一人じゃない……お母様がずっと傍にいてくれた」

 「え? あの人が?」


 継母だと思ったのか、エメリックが驚いて言う。


 「あ、今のお義母様ではないわ」


 意味がわからないと、エメリックが首を傾げる。


 「ファビア。ユリナがあなたを応援していたのね。それを励みに、頑張るなんて。そうだとわかっていたなら、受験前から私も応援したのに」


 私の手の上に手を乗せ、目を潤ませてリサおばあ様が私を見て言った。凄く感激している様子。


 「リサおばあ様、もしかしてお母様の事をご存じなのですか?」

 「もちろんよ。どうして、あんな男と結婚をと思ったほどよ」


 え? お父様ではなくお母様の方が覚えがめでたいの? 凄く珍しいのだけど。

 何となくわかってきたわ。リサおばあ様は、お母様を贔屓にしていた。だから私をここに住まわせてくれたのね。

 お母様ありがとう!

 嫁である者がそこまで目を掛けてもらえるなんて、凄い事よ。


 「あはは。リサ侯爵夫人にここまで気に入られるなんて。本当に凄い子だね」


 そう呟くレオンス様。

 気に入られているのは私ではなくお母様だけど、直接彼には関係ないから訂正しなくていいか。


 ――◆――◆――◆――


 なんだか面白い令嬢を紹介してもらったな。

 亡き母の願いを叶える為に魔法学園を目指すなんて。その母親をリサさんが、気に入っていた様子。

 母親も気になるけど、彼女はもう亡くなったようだな。


 ファビア嬢か。もっと早く出会いたかった……。

――◆――◆――◆―― レオンス

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