エピソード3 手がかりを探す
美奈はまず、夫が殺人に関わっているという証拠となり得そうなのを探すことにした。そして、スマホに目を付けた。夜になると、達也が眠っている間にスマホを手に取り、慎重に作業を進める。達也の顔認証がうまく働かないように少しずつ細工を施し、彼が暗証番号を入力する様子を確認するために、小型監視カメラを各部屋に設置した。彼女は自分の過去の経験を思い出し、それを生かして静かに調査を進めていった。
2週間後、美奈はついに、達也の暗証番号を解読することに成功した。そしてその夜、彼のスマホを手にした。心臓の鼓動が早まる。彼女はメッセージアプリを開いた。普段の何気ないメッセージが続く中で、彼女の目に一件の異様なメールが飛び込んできた。
「8月9日、高田ビル裏、男、身長170ほど」
その瞬間、美奈の心が凍りついた。今日が8月2日であることに気づくと、恐るべき考えが頭を駆け巡った。わずか1週間後に何が起こるのか?このメッセージは、達也に関する警告なのか、それとも彼が危険に関わる可能性があることを示唆しているのか。彼女の心の中で疑念が渦巻いていた。
美奈はこのメッセージは明らかに、達也とチームXとの関係を探る良い機会だと考えた。そして次の日、彼女は達也の行動を観察する計画を立てた。彼が本当に高田ビル裏に向かうのか、自らその目で確かめる決意を固めた。もし彼がその場所に行くのなら、彼女は目撃し、真実を暴く機会をつかむつもりだった。
さて、もうすぐ運命の一日が訪れる。現在の時刻は8月8日22時20分。美奈は心を決め、達也が帰宅するのを待った。23時13分、達也帰宅。その顔を見てホッとする反面、ただの平穏な日常が、何か大きな波乱に変わろうとしている気配を感じていた。
「おかえり、遅くまでお疲れ様。夜ご飯は?」
「ごめん、遅くなったから適当に食べちゃった。今日の夜ご飯は捨てずに置いといて。明日の朝食べる よ。」
何気ない会話をしながら、相手の様子をうかがう。特段変な様子はなく、むしろ怖いくらい普段通りだと思った。
「達也、明日の予定は?」美奈は無意識に質問していた。
「いつも通り仕事だよ。どうしたの急に?」達也は微笑みながら答えたが、その微笑みの裏に、美奈は一瞬狂ったような恐怖感を抱いた。何かが隠れている、元暗殺者としての感性がそう告げていた。
彼女は明日、達也を尾行する覚悟を決めながら、夜が深まるのを待った。真実が明らかになるその瞬間を、彼女は掴む準備を整えていた。愛する夫を守るため、そして自分自身の過去と向き合うために、再び影の世界へと足を踏み入れる時が近づいていた。
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