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伊蔵じいちゃんは封魔具の発注に唸っている。ちなみに師匠のフェニックスは拳大のファイヤーオパールの腹巻きが封魔具だ。

 いや、チャンピオンベルトと言った方が師匠が喜ぶ。

しかし、八岐大蛇アイツ、災害指定魔物だったのか。

僕もチャンピオンベルトになる可能性大?

 邪魔だなあ……。

「封魔具、ずっと付けてなきゃ駄目?」

「かさばるようにはしないから、付けてなさい。明日から酒造りを教えるから、2~3日分の旅行の支度を整えなさい」

「お酒、僕が造るの?!」

「そうだ。いざと言う時の切り札はあった方がいい」

伊蔵じいちゃんの言ってる意味が判らない。

師匠がため息をつく。

「古事記でも読ませていたら…。はぁ…」

「八岐大蛇は神様に退治される時、8つの瓶に入れた酒を飲んでたんだ。それにあやかって酒造りしてみようと言う訳だ」

へぇ、お酒好きなんだ。作ってやろうじゃないか!

「あれ?倒す為の酒造り?」

「三葉に制御出来なくなった時のことを考えておかぬとな」

 そうか。僕が死んじゃったら大変だよね。

伊蔵じいちゃんが食堂に出前を頼んで、何故かカツ丼を食べることに。

 僕は初めて見るカツ丼を10人前平らげた。

「お前の魔力勝手に喰われちゃってるな。躾けとけ!出なきゃ、大食い治らないぞ」

「勝手に喰われるのは腹が立つよね。今度、勝手に吸ったら50回ぐらい死んだ方がマシな目に合わせるよ?わかった?別に意味不明な可愛い名前とか付けてもいいんだよ?ん?……そう、わかったね。いい子いい子」

1日1回は魔力をあげようか。

師匠がまた、深いため息をつく。

「パートナーはお友達だぞ?ちゃんとした絆を築けよ。嫌がらせばっかしてたら大事な時に味方になってくれないぞ?」

「その時はあきらめて食われますけど、簡単に食えると思わないでね?」

 僕はもう簡単に殺されたりしない!

師匠に進められて読書。

 【古事記】を読む。

漢字の読み方難しい!めちゃくちゃ神様出てくる!!相関図が欲しい!

訳分からなくなって来た!

「暴れん坊の神様が、八岐大蛇を知恵とその武勇を使って退治した話」

「……伊蔵じいちゃんありがとう!」

「……。ま、今の所はそのくらいでいいか」

師匠も異世界人に無茶ぶりしない。

 3時のおやつを食べながら、今後についての話をする。

「今、喜多と堀が世界冒険者機構の手下になる試験を受けてるから、多分その2人がお前の監視役になる」

「そうなんですか」

知り合いならホッとする。

 お願い!喜多さん、堀さん受かって下さい!


◆◆◆

ギルドマスターの部屋から出て来た2人はソファに座って眠ってた、僕の左右隣に座り、師匠とお話中。

「1度、寮を見学に来るようです。すぐ来るって言ってましたから、お酒の仕込みは控えて下さい」

「む、仕方ないか」

「それから…」

「なにぃ?!まだ条件があるのか!!」

「はい、三葉の家は他の無人島に立てて欲しいと、世界冒険者機構からの命令です」

「私たちの可愛い孫との暮らしを奪うだとぉお!?」

「あ、それも封魔具の制作期間の1ヵ月だけなんで、我慢して下さい。他の島に別荘ありませんか?伊蔵さん」

「……そう言えば、あそこがあったな」

伊蔵じいちゃんは携帯電話でどこかに連絡している。

「久しぶりだな。急で悪いが今夜から1ヵ月別荘を使うから五島列島の私たち夫婦の別荘で暮らしてくれ。使う物は私たちが用意する。下着と服を2~3日分まとめて待っていてくれ。ヘリポートに輸送機を向かわせる。

入ってはいけない部屋には【入るな!】と張り紙をしておいてくれ。……はは、そうか。それから孫が調理器具を使っても良いか?……いや、男の子だがな、小さい頃から料理をしてたから別荘に籠もるだけでは気が滅入るだろうと思って聞いて見た。……ハハハ!孫には勝てんな!よろしく頼む!1時間後に着く!」

師匠が僕に杖を渡した。

「その杖、使うなよ?問答無用で毒の効果が付いた魔法になるぞ。こっちを1ヵ月だけ貸してやる。桜の霊木で作った杖だから、優しく扱えよ?」

「師匠、大事にします!」

「うむ、わかってれば良い!いい子だ」

伊蔵じいちゃんが師匠を見た。

師匠は何でもないような仕草で自分の杖を振るとあの部屋にいた5人が寮のロビーに転移した。

「はい!1週間分の下着と服を荷作りする!」

慌てて皆、自分の部屋に走る。

 師匠は僕に付いてきて僕が荷作りしてる間部屋を探検している。

「これじゃ三葉には普通の家以下だな。荷作り終わったか?ドローン持ってけよ」

「はい!師匠」

師匠は僕と一緒に部屋を出て1階のロビーまで何か考えながら、歩いていた。

 ロビーには寝袋まで抱えた堀さんと、最小限の荷物しか持ってない喜多さんと、伊蔵じいちゃんに連れられた紫乃ばあちゃんがいた。

 紫乃ばあちゃんは作り立ての夕飯をお弁当にしてくれたようで喜多さんにエコバッグに入ったお弁当を渡した。

 そして伊蔵じいちゃんと紫乃ばあちゃんは僕を抱きしめる。

「心配しないで、紫乃ばあちゃん。こんなに弱い魔物テイムして大騒ぎになると思わなかったから、驚いてるだけだから。僕は何とも思ってないし、地球最強の師匠がいるから大丈夫ですよ。1ヵ月会えないから、次に会うときが楽しみです!元気で居て下さいね?」

「愛しています。貴方の笑顔を楽しみにしています」

「私も三葉を愛してる」

「僕も伊蔵じいちゃんと紫乃ばあちゃんの事、大切だよ!2人の愛してるには足りて無いかもしれないけど、愛しています」

3人でギュウギュウ抱きしめ合ってると師匠に剥がされた。

「急ぎなんだよ!行くぞ!」

言われた次の瞬間には、ヘリポートに転移していた。

古舘と、書かれた車体の輸送機は僕らが乗るとすぐに師匠の転移で、別の島の別の家の敷地内の芝生の庭に到着。

 スタイリッシュなデザインの黒い家から飛び出して来た若夫婦は、しっかりスーツケースを手にしていた。

「古舘さんのお孫さん?家の中にある物は何でも自由に使って!じゃ、また1ヵ月後に会いましょう!」

「ありがとうございます!行ってらっしゃい」

古舘家の輸送機が島から離陸すると、師匠は僕を連れて別荘に入り家の電話から呼び島の家へと電話を掛けさせた。

「伊蔵じいちゃんいますか?三葉です」

『三葉さま!少々お待ちくださいませ』

待ち時間にメロディが流れてるのを聞きながら師匠に見つめられて居心地悪かった。

『三葉!着いたか?!』

「はい、無事着きました。お知らせまで」

『そうか、そうか!ゆっくりしなさい』

「ありがとう伊蔵じいちゃん!ゆっくりします!おやすみなさい」

『おやすみ、三葉。良い夢を』

電話を切ると、師匠に転移で外国の神殿みたいな建物の前に連れて行かれた。

ちなみに堀さんと喜多さんはあの無人島の別荘に置いてきぼりだ。

「師匠、ここどこ?」

「世界で1番厳しい新米冒険者育英施設だ。あのまま、あそこに居たら、実験体の魔物より、酷い目に遭う。リハビリセンターなんか可愛い物だぞ?」

いや、リハビリセンターも大概でしょう?アレより酷いって何事ですか?!


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