Eps7.帝都ルピナス
空が夕暮れに染まる頃、俺たちは目的地に到着する。
帝都ルピナス、周りが城壁で囲われており、石畳で出来た道が続いている。俺の目に見える街並みは、まるで、中世の時代にタイムスリップしたかのようだ。
「こうゆうの異国情緒っていうのかな・・・」
日本ではない光景に、思わず呟きが漏れてしまう。町の中で、奥の方に見える一番高い建物、あれは、城だろうか?夕日によってオレンジ色に染まる景色の美しさに魅せられてしまう。
「ヨリモト様、これかですが」
「あ、うん、どうしようか?」
リリィに話しかけられ我に返る。日も暮れ、間もなく夜になってしまう。朝からずっと歩き続けていたので、リリィの顔には、疲労の色が見えた。
「どこか休めるところを探さないと」
「そうですね。急がないといけないんですけど、ちょっと問題があって・・・」
そう言ってリリィは申し訳なさそうに、銀や銅のコインが入った袋を見せてくれる。
「すいません。路銀があまりなくて、正直、二人分の宿代を払うと底を尽きそうで」
「そうなの⁉」
この世界の通貨は分からないが、リリィの様子から本当に手持ちがあまりないことが察せられる。
「それなら、リリィだけ宿泊して、俺は何とかするよ」
「そんな‼ダメです‼」
リリィは、一人宿屋に泊まることを抵抗があるのか、提案に難色を示す。
「宿泊なら、ヨリモト様がして下さい‼」
「いや、流石に女の子を残しては・・・」
お互い譲れず、時間が経過していく。すると、横の方から
「お二人さん、どうかしたのかい?」
俺たちの様子に見兼ねたのか、おじいさんに声をかけられる。
「その、実は宿泊場所に困ってまして・・・」
一瞬、何と言うか迷うが、正直に話すことにした。
「おやおや、それは大変だ。それなら、修道院を頼ってはどうだい?」
「修道院ですか?」
俺は、おじいさんの提案の意図が分からず聞き返してしまう。
「ああ、修道院には、難民の受け入れや避難所とかもあったはずだ、お願いしてみたら泊めてくれるかもしれない」
「本当ですか‼」
リリィは、目を輝かせ、おおじいさんに道を教えてもらう。
「なるほど、ありがとうございます」
リリィは、頭を下げお礼を言う。俺もつられて、頭を下げた。本当に、礼儀正しい子だと改めて感心してしまう。
「ヨリモト様、急ぎましょう‼おじいさん、本当にありがとうございました‼」
「ああ、失礼します」
「気を付けるんだよ」
俺たちは、おじいさんに手を振り、夜になる前にダオロス修道院へと急ぐのであった。