Eps2.森の中で
「まず、冷静になろう」
混乱する頭で冷静に思考するようにし、今の状況を整理する。まず、寝落ちして起きたら、周りが部屋ではなく森になっていたことだ。訳が分からない。ここがどこなのかも分からず、何も情報がない。
「後は、この鎧だけど・・・」
最も気になるのは、この鎧、西洋の鎧のような作りで、色は、濃い紫、顔は見えないので分からないがメチャメチャ気になる。そして、脱ごうと試みたところ、全く脱ぐことができない!!
「どうなってんだこれ⁉」
無理に剥がそうとすると、痛みを感じるし、皮膚とくっついていると考えたら怖くなってやめた。手荷物も特になく、丸腰で森の中にいる状態である。
「とりあえず、歩くか」
まだ、分からないことだらけだが、とにかく、歩いて情報を集めることにした。
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しばらく、森の中を歩き続けた頃
「きゃあああああああああ!!」
向こうの方で、女性と思われる悲鳴が聞こえてきた。
「何だ⁉」
月明かりが頼りの森の中、声の方に向かうべきか迷ってしまう。
「誰か‼助けてー‼」
切羽詰まる声、一刻の猶予がないと感じ、考えるよりも早く走り出していた。
声の方に向かい、目にしたのは、野犬の群れに追い詰められ、倒れこんでいる少女だった。俺は、少女と野犬の間に入り、牽制を行う。
「グルルル‼」
対峙して、まじまじと見ると、犬と思っていた生物は獰猛な顔つきで、狼の風貌に近く、体高はおそらく、一メートルを超えている。
(デカいし、顔こわっ‼)
相手の圧にビビり、逃げようとも考えたが、後ろを見てみる。そこには、ブロンドの髪を後ろにまとめポニーテールにした少女が腰を抜かし倒れている。とても、すぐに走れる状態じゃない。
「畜生‼やってやる‼」
迷っている暇はない、俺は、恐怖心を堪えながら、ファイティングポーズをとった。
すると、突然、彼の体から眩い光が輝いた。