表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/16

Eps15.調査

「あ、あなたは!?」


 魔物襲撃の日、意識を失う直前に俺が見た【白銀の鎧】、記憶している姿と重なる。声は、凛とした女性の声がする。もしかして、この人が、命の恩人なのか!?


「質問に答えてもらえない?」


「あ、す、すいません・・・」


 有無を言わせない迫力のようなものを感じ、腰が低くなってしまう。ちょっと、怖い雰囲気の人だな。


「あの、こんな鎧を纏ってはいるんですけど、俺は、騎士じゃないです」


 この世界に来た時から、脱ぐことができずにいる鎧、正直呪いの装備じゃないかと思っている。しかし、傍から見れば、騎士と思われてもおかしく無い風貌をしている。


「最近、噂になっていてね。修道院にいる流れ者の騎士が、街で復興活動をしていると」


 こちらを改めて一瞥し、彼女は、さらに言葉を続ける。


「帝都は魔族の襲撃によって、多大な被害を被ってしまった。現在、原因を調査中なの、君に話しかけたのもその一環」


 兜によって、表情を窺うことはできないが、まるで、俺の僅かな動きも見逃さないという鋭い視線のような雰囲気を感じる。


(もしかして、疑われている・・・?)


 襲撃から日が浅く、原因が未だ不明な状態、おそらく、血眼で情報を集めていると思われる。この人が、どういった職分の人なのかは、全く分からないが、怪しい風貌の俺を調査しに来ていることは、何となく理解した。


(俺がこの場で出来ること、それは・・・・・・)




 俺は無関係だということを信じてもらうことだ!


 内心、恩人かもしれない人物に会えたかもしれないと、期待したのに、容疑者として疑われている状況に冷や汗が止まらない思いになる。

 落ち着け、とにかく落ち着くんだ!挙動不審の動きを見せれば、目の前にいる女騎士の人は、更に、疑いを深めてしまう!

 じっとこちらを見続け、威圧感さえ感じる中、俺は口を開く。


「・・・、俺が、帝都に着いたのは、ちょうど襲撃があった日です。修道院の方たちに聞いていただければ、本当のことだと分かります。それに、この街で、どう過ごしていたかも・・・」


「・・・・・・」


 無言のまま視線をこちらに固定している。発言の真偽を判断しているのだろうか?


「君は、襲撃の日に、立ち会っていた。それは、間違いない?」


「は、はい」


「では、あの夜、君は何をしていたの?」


「あの日、俺は    」


 あの時の行動、避難誘導の手伝いのことや外に出てしまった人を助けに行ったことを正直に話す。



「キュクロープスに勝利しただと!?」


 話を聞く彼女から驚愕した声が聞こえる。


「・・・失礼だが、何か魔法を使えるのか?」


「その、聖なる光の魔法(ダオロス)を使えます」


 俺が魔法の話もすると、警戒度が更に上がったような剣幕になる。


「兜を外して顔を見せて貰えないか」


 急に顔を見せろと言われ、戸惑ってしまう。


「い、いや、それは!?」


「?できないのか?」


 こちらを訝しんでいる。すぐにでも、脱ぎたいのに、できない。


(ど、どうすれば!?)


 一向に顔を見せない俺に、不信感が増々強くなっている。何と説明すればいい、呪われているというべきか!?だが、そんなことを言っては、更に、怪しまれないか!?


「なぜ、顔を見せない?」


 心なしか距離がじりじりと詰められているような気がする。腰に吊られている剣の使に手が置かれている。


 やばい!俺が少しでも逃げる動作でもしようものなら、すぐにでも、切るつもりだ。それだけの、威圧感が彼女から感じられる。

 パニックに陥っている頭で思考し、とにかく何か発言しなければと、口を開く


「あの、実は!!」



 その時、別の声が聞こえた。


「あれ、君は、あの時の?」


「え!?」


 俺はその声の方に体を向けると、別の【白銀の鎧】が立っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ