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空飛ぶ大陸
人々が暮らす大陸の上。空を見上げて、雲を越えた先にそれはある。
端から端までは歩いて一月は掛かるほど大きな空飛ぶ大陸。
自然は豊かで、いくつかの町が点在する。
夜には完全なる闇は訪れず、黒では無い紺色から落ち着いた白へのグラデーションの美しい空になる。
そんな大陸のある家の寝室。子供1人、母親1人が、今日も寝る前に、絵本を読み聞かせをしていた。
大きなシングルベット。子供はいっつも跳ねるほどフカフカなベッドで眠るのが好きだった。それよりも、母親が聞かせてくれる絵本がもっと好きだった。
「ねぇ、ママ?」
「どうしたの?」
「外の世界には海って言うのがあるって本当?」
「ええ、本当よ。ほら、絵本にもあるわ」
「ママ!いつか私、海を見てみたい!」