迷宮生態学式分類法
迷宮生物を学術的に分類すると四つの【種】に分類することができる。
そもそも、モンスターはその生態が謎に包まれ、未知が多い存在であり、通常の生物学的分類が困難な場合が多い。
そこで考案されたのが迷宮生態学式分類法である。元来の分類用語を流用しているものの、通常の意味とは異なるので注意が必要。また、学説次第では新たに分類され直すことや分類不明扱いになることもあると理解する様に。
我々の生きる世界の法則に当てはめられるような存在ではないと、読者諸君にはご理解いただきたい。
迷宮生物は、主に幻獣種、魔獣種、不死種、そして植物種の四つに分類される。そして外見の特徴から類に分類して、力の性質で"目"を用いて分類する。さらにその"目"を細かな系統毎に"属"に分け、最後に同じ"属"の中から共通事項を見出して小分けし"科"に分類するのだ。
超常の力を有する迷宮生物は幻獣種に、単なる生物の延長上などは魔獣種に、不死なる特徴を持つ迷宮生物は不死種に、そして植物類はみんな等しく植物種に分類するのだ。
そうすることで迷宮生物を明確に分類しやすくなる。
例えばの話、日本固有の幻獣種として有名な〈雷獣〉を上記の方法に則り分類するならば次の通りになる。
稲妻の使者〈雷獣〉
…幻獣種 陸獣類 自然目雷属 雷纏上科
となり、超常の力を扱う存在で、雷を身に纏い放出することができる哺乳類な見た目をした迷宮生物であるということが明確に分かり、系統ごとに分類しやすくなる。
ただし、迷宮生態学式分類法を以てしても迷宮生物を完璧に分類することは不可能であることをここに述べたい。
〈植花人〉が代表例である。植物とも動物ともとれる存在であり、取り敢えずし植物種に分類されているがその行動は人間そのものであり分類には難儀した。
そもそもの話だが、迷宮生物は曖昧な存在が多いのである。幻獣種の代表格たる〈暴竜〉でさえ〈龍〉やその他膨大な種の総称に過ぎず、種ことに形状や生態、内包する超常の力が異なるのを無理やり一括にしたのが現状だ。
取り敢えずの共通項として竜目があるが、何らかの力で浮遊してさえいれば分類される。あの〈暴竜〉と、〈精霊猫〉が同じ竜目だと言えば、ひどく曖昧であることがわかるはずだ。
そもそも同じ亀の見た目をしていても、火を吹く種もいれば、宝石で出来た甲羅を持つ種までいるのが迷宮生物である。そんな彼らを、法則性を見出して分類しようという考え自体が無謀なのである。
しかし、筆者は敬虔なる迷宮生態学式分類法の信奉者であるので決して諦めない。いつか、必ず完璧に分類してみせるかとを本書を借りて宣言したい。