猫怨
下手です。すいません!!自己満足です!!
ちょっとそこの坊や、聞いてくだせぇ。
無理にとはいいやせんがぁ、騙されたと思って、ほら、そこに座ってお茶でもだしやしょう。お菓子もありやすぜ?、ふふっなんですかい?、あぁわっちのことは、「キク」とでも呼んでくだせぇ、
それでは、話始めやすぜ
こりゃ、人から聞いた話ですがね。
その人の友人が猫啼村っちゅう村に行ったらしいんですよ、そこにゃあ名前通り、猫がたーんまりいましてね、夜になるとそこら中からニャーニャー、ニャーニャー聞こえてくるらしいんでさぁ、まぁ村人もね、鬼じゃあありやせんし、そりゃぁもう、その猫らをとことん、可愛がって、いたんですわ、
その村の猫の大親分、といいやすか、一番の老猫がおりやして、その老猫、キクのような模様がありやして、村の者から、キクと呼ばれておりやした。
え?わっちの名前と一緒?、まぁ世の中同じ名前なんてゴマンとありやす、気にしないでくだせぇ、
んで、その老猫なんですがぁ、そりゃあまぁ不思議な猫でねぇ、その猫は縄張りからたまにいなくなるんですわ、猫っちゅうのは縄張り意識がたけぇもんでね、なにかあっても基本は縄張り内から出ないんですわ。だけどそのキクって猫は、縄張り関係なしに、ふらぁっと、人の屋敷の中に入ったりとまぁ、自由気ままな猫でしてねぇ。まあ村中の人に可愛がられたのも、理由なんでしょうが…、その自由気ままな性格と、老猫、てところから、一部の噂じゃ猫又なんじゃねぇかって言われてたくらいですわ、
話し変わって隣村でのことですわ、
猫啼村の隣村は飢饉に陥ってたそうですわ、稲は虫に食われるわ、畑は猪が荒らすわ、木の身は猿や烏が持っていっちまうんらしいですわ。
そこの村長は、そりゃあ意地が悪い人間でしてぇ、そんな不況でも、我関せずと散財しまくる、そんな村長の屋敷にとある、猫が一匹いついたんですわ、大きな老猫できくのような模様の、ね、
まぁ、ご察しのとおりその猫は猫啼村の親分猫、キクですわ。
まぁしかし、隣村の村長は大の動物嫌い、キクを追い払おうと、水をまいたり、叩いて追い払おうとしたりと、まぁ酷い所業でございやす。
だけどもキクはそんなの気にせず毎日やってきては、屋敷内を闊歩したりゆうゆうと昼寝をしたりと、まぁ村長は気に食わないのなんのって、
でもね、不思議なことにね、隣村にキクが来るようになってから猪や鴉の被害がさぁっぱり消えちまったんですわ。隣村の村人もそのことに気づいてからキクを無下にはせずに、可愛がってやったんですわ。それもあってかキクは週の半分は隣村に、残り半分は猫啼村にいるようになったんですわ。
まあそんな日々が続いたある日ですわ。そりゃあもう全てを流しちまうような大雨がきましてねぇ、猫啼村も隣村も、ほとんどすべての作物が流されちまったんですわ。
猫啼村の村人は、まぁしょうがないことだ、蓄えもあるし頑張ろうと、不貞腐れることもせずにねえ、頑張っていたんですけど……隣村のほうは、自分達は悪くないの、蓄えをくださらなかった村長が悪い、と、擦り付け合い、そんな様子を見て、なのかキクも隣村にはまぁったく寄り付かなくなっちまったんですわ。
まぁ、隣村の村人も悪人ではございやせん。一人、また一人と、次を頑張ろう、今からできることをしよう、と立ち上がっていったんですが…、それが気に食わなかった人が一人……そう、村長のやつですわ。
最初にも言ったとおり村長は意地の悪い人間、自分の言う事を聞かず勝手に行動する村人を見てそりゃあもう大激怒、まったく世の中にはろくでもねえ人間もいたもんだ、こんなやつがいるから世の親切な輩は報われねぇ、ほぉんといなくなっちま………
……こほんっ、失礼しやした
それでは、続き、始めますぜー
村長は、気に食わないのなんのって、そんなことも露知らず猫のキクは相変わらず隣村と猫啼村を行ったり来たり、それに目をつけた村長はさらにキクを虐めるようになったんですわ。しまいにゃあ、持っていた刀で………、猫啼村の奴らはキクの姿が見えなくなりすごく心配し始めて、隣村まで探しに来たんですがね、村長は冷たくあしらい追い払うんですわ。
猫啼村のやつらも、どんどん諦めて行っちまって、結局はキクの、ことは忘れよう、と言うことになったんですわ、
それから五年後、また大雨が来てね、両方の村は大飢饉に陥ったはずなんです、だけどね、不思議なことに、2つの村も大飢饉に襲われずにすんだんですわ、2つの村はこれは、キクの、お陰だ、と、墓石をたてて、崇め奉ったわけですぜ。キクの墓を見ていると、そのうち村長を分が悪くなってひっそりとどっかへ逃げちまったわけですわ。
ここまでなら微妙にめでたしめでたしで終わるんだろうけどねぇ、お客さん、それじゃ納得しなさそうな顔しやがって、
ねぇ?お客さん、後日談が聞きたいですかい?
んじゃ後日談も、話やしょうかい。
村長は、みんなから奉られる猫又とその墓を見てねぇ分が悪くなっちまったり、祟が在るんじゃねぇかとビクビクして、村からひっそりと何処かに、行っちまったんですわ。
まぁ、猫っちゅうのは案外しつこい性格なわけでしてねぇそれに、今はみんなから崇め奉まつられる猫神様扱い、さらに力を持っちまった猫又がなにをするか、察しのいいあんたならわかるでしょう?自分を殺したやつを、見つけ出して殺しちまおうと、ずぅっと、ずぅっと、猫の寿命からしてみたら気が滅入るほどの時間探しているわけですわ。
今でも探しに来るわけですがねぇ。、でも村長がその後住んでいた村に来てみれば、なぁに大家族を作り更にそれらに囲まれ大往生?、ははは、許すわけ無いでしょうが、代わりにガキを冥土の土産に一人、喰っちまおうと、企んで言葉巧みに近づいて………
あれ?どうしやした?震えてますぜ?、この間お祖父さんが死んだ、そりゃあご愁傷さまですねぇ、ちなみに祖父の名前は?、
えぇ、えぇ、やっぱりそうですかい。
ゃあっとミイツケマシタゼ。
読んでくださりありがとうございます。