表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君へのラブレター(仮)  作者: 時雨
恋の芽
8/17


 黒田くんと私は相変わらず2人仲が良かった。なんだかほかの人には介入できないような壁があるほど、2人はどんどん仲良くなっていった。あれから2人で昼休み、こっそり抜け出してラーメン屋に入ったり、近くの公園でコンビニで買ったお弁当を一緒に食べたり、近くを散歩したりしていた。どこからどうみても、私たちはもう恋人だった。お互いきっと気が合って、それを肌で感じ始めていた。こんなに気が合って、下手に気を遣って疲れるような相手ではなくて、居心地がいいのだから、私は会社だけではなくプライベートでも彼と一緒にいたいと思った。きっと彼も同じように思っていてくれると自負していた。そして仕事が終わると、週に2度くらいはこっそり待ち合わせして一緒に帰ったり、コンビニ寄り道してソフトクリームを注文したり。そんな日々がとても楽しかった。彼の隣で歩いているだけで、うれしかった。お互い恋人もいないので、もうきっとこのまま付き合うことになるのかな。そう思って少しうきうきしていたのかもしれない。


そして、今日も特に約束していないけど、一緒に帰る雰囲気だったので、浮かれていた。「お先に失礼します。」と言って、彼に目配せした。(ロッカーで待っているよ)彼も答えてくれた、と思っていた。

だけど、ロッカーで待っても彼は来なかった。10分くらい待って、まだ来る気配がなかったから、仕方がなく私は一人で帰ったのである。その夜メールが来て、「上司につかまってたのと、親から電話が来ちゃって、長電話しちゃった。ごめん」と謝ってきた。まあ、そんな日もあるかと思い眠りについた。



 翌朝、彼を見かけたのでいつもどおり挨拶をした。昨日は待っていたのにーとわざと頬を膨らませてみたら、彼は本当に丁寧に謝ってきた。「嘘だよ、怒ってない」と笑いながら彼に言ったら、安心したように彼は笑った。


一仕事終えたので、小休憩に入ったところ、奈江がそわそわしている。


「おはよー、奈江。どうかしたの?」

「海ー!!」

「うわ、どうした!」


奈江は私を見るならいきなりパタパタと駆けつけて擦り寄ってきた。とても困った顔をしているので、何かあったのかとすぐ悟った。こうしてみると私は奈江の保護者なのだろうか……。妹?どっちでもいいか。


「どうしよう、海……」


奈江は本当に困った顔で私に言う。


「黒田くんにご飯行きませんかって誘われちゃったんだけどー!」


私の時が止まった。嘘だろうと思った。誰か何かの間違いだと言ってほしい。今このタイミングで黒田くんからデートに誘われたということ?なぜ?もう奈江のこと好きじゃなくなったのではなかったのか?そもそも私の勘違い……ということだったようだ。彼はまだ奈江に気があったのに、私は自分のことで舞い上がってしまい、周りが見えなくなっていたのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ