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君へのラブレター(仮)  作者: 時雨
はじまりの映画
3/17


「なんか仕事以外で会うのって、変な感じだね」

「うん、そうだね」


彼は会社を早退してきたので、服装はだいたいいつもどおり。(私は一応デート用の服を着ているので、お洒落しているのだけれど、別に彼に意識してもうらおうと思っていたわけではない。)それでも今日はいつもと違うね、とか、今日の服可愛いじゃん、とか何とか言ってよ。なんて彼に言うのも少し恥ずかしいので、


「ねえ、今日の服どう?」


なんてストレートに聞いてしまった。「いいんじゃない」なんてドライな返答だったけれど。いつもの調子で何も変わったことはない、通常運転だ。それにいきなり黒田くんから「可愛いね」なんて言われたら調子が狂ってしまう。


「ま、行こうか」

「おう。よろしくお願いします」


律儀に挨拶してくれるなんて、意外ときちんとしているのか……、なんて偉そうに思っていた。よく知っている道を走っていく中、車の中では彼といつも通りの他愛もない会話。ドキドキなんてしていない。ほらいつも通りの私。(なぜか手に汗握っていたけれど)


 映画館について、いつもなら買わないんだけど、たまにはジュースやおやつもいいかなと思い、2人で列に並ぶ。友達や親と映画見に行くときは、基本的にスーパーで買った安いお茶もしくはマイボトル持参。仮にも男性とデートなのだから、こういうときは飲み物新しく注文する。お金はいいよ、自分で出すから。と彼に大人ぶって言ってみたけど、あれ?いつもの私なら興味ない男性には、ありがたくおごってもらっていたのに……。まあ彼は私より3つも下だし、会社の同僚だから深く考えなくてもよいではないか。


 飲み物とポップコーンをもって2人席につく。(私はポップコーン嫌いなので食べない)映画が始まる前の予告を2人で眺める。映画館は初デートにもってこいな場所である。なぜなら映画館は暗くて相手と向かい合わなくてすむ。私が今どんな表情しているのかも、なかなかバレない。映画が始まると、2人黙り込んで集中する。だけどふと横眼で彼の顔を覗き見た。(意外ときれいな横顔だな……。)同じ場面で2人鼻で笑った。クライマックスでは、ティッシュで鼻をかんでいた。彼はちっとも泣いてなんかいないや。男の人って涙をなかなか見せてくれないのだ。



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