一体どういう事だ!
「……父さん?」
平八叔父さんが指し示した、視界の角に、すんげー影が薄い人が居た。
へーちゃん曰く、この影の薄い人が、今の大浜の当主、大浜直足。
つまり今の俺の父さんだそうだ。
まぁ、微妙に似てるか?
伯父さんて事は、才谷直陰だった時の俺の母さん、直美の兄にあたる人だと言うんか?
俺はこんな人は知らんぞ?
そもそも、大浜方に伯父さんが居た記憶が無い。
また、ジネンが、書き加えたかな?
<そんな面倒くさい事するか!検索したらヒットしたんだよ!死んだ大浜のじいさんの認知してた息子が>
ジネン、神様が検索って……。
<そんなのどうだって、いいだろう!元々のデータベースは僕が創ったもんなんだから!>
また、自慢気にジネンが言った。
まぁ、親戚が集まっとるここには、父さんも母さんも居ないな。
この俺が寝かされてた部屋は、リビングだ。
寝かされてんは、ベッドでなく、ソファーだな。
「父さん……'叔父さん'と'叔母さん'は?」
アブねぇアブねぇ、うっかり才谷直陰のつもりで質問しちまった。
ごまかせたか?
「まだ、病院だ。形成処置に、な、そういう事だ」
影の薄い人が……大浜直足……今の俺、大浜直柔の父親が、答えてくれた。
あぁ、俺がうっかり'父さん'て言ったのを、自分に質問されたと思ったんだな。
で、この才谷直陰の方の両親がまだ病院で、形成処置って事は、つまり……。
<前のお前はミンチだから、形成処置しないと葬式が出来ないんだろう。そんな前のお前の姿を、凉希や妃絽姫には見せられんしな。直美にも見せられんわな>
ジネンがのほほんと言う。
あのな、前のお前って、俺の事だぞ。
温厚な俺でも、気を悪くするぞ!