セレモニーホールへ
この白いのが霊柩車?
ただの白いライトバンだよな。
本人不在の棺は、ライトバンでセレモニーホールに運ばれた。
親戚一同も自家用車でセレモニーホールに。
矢平の父さんは斎場に、冷暗室を借りたそうで、そっちの件で葬儀社の職員と出掛けた。
『直はバカか?冷暗室ではない、借りたのは霊安室だ!確かに故直影を冷蔵保存出来る暗い部屋だか』
また、ジネンがギャンギャン吠えついてきた。
気が付けば、イメージの中のジネンがスマホに向かって、なんかしてる。
見回せば、俺は、あのノートパソコンを抱えて、そのディスプレイから転がり出てきた、大浜直柔名義のスマホをポケットに。
モバイルはそれしかないな。
あの神様の座す場所から、もってきてしまったスマホが、無いな?
『そう。これがそうだ。僕とお前が、少し融合したから取り込めたんだ。これで楽になったぞ。向こうを空留守にしているから、僕はここから世界を視てるんだ。これで神様の座す場所に第3の聖霊を送り込んどければ、問題は少ないんだ。だが、僕はまだ次代を創る機能が成熟していないから、直、お前に託すぞ。わかったな?わかったら速めに番を創れよな』
はぁ?
つがい?
番?
蝶番?
を創る?
『直はバカか?番を創るは子造りの相手とペアリングする事だ。お前はその世界に肉体があんだからな。その中でタイミングが良いと次代が出来るんだぞ?まぁ、先代から僕等は、神様の座す場所での分霊で出来たんだがな。今回は分霊する暇もなかったからな。まぁ、直は、人なる身で神様を分霊出来るんだぞ』
そ、それは、俺に早く彼女を作って、子供を創れよって事か!!
俺は、まだ高1だ!
子供が、子供を!
『違うぞ。創る行動だけで良いんだ!してくれれば、子供は出来なくて良いとするぞ。何せ行動のタイミングがあったら分霊出来るんだから、たくさん行動すれば、タイミングが合う可能性が増えるんだ。まぁ頑張れ』
そ、それはつまり、俺に!!
『彼女を作れ。まぁ、才谷直影時代には居なかったから望は薄いが、今の大浜直柔には、僕が附いてるんだ。直、お前でも彼女の2人や3人簡単にやれるだろう』
ジネンがスマホを操作しながら続けた。
つまり、今あのスマホで、俺の彼女を書き加えてるってか!?
『直はバカか?僕はお前に関する事しか、改変できないんだって、言ったぞ!書き換えようにも、才谷直影には彼女に関する事が1ミリすら無いの!だから、書き換える元のデータすら無いの!つまり僕には無理!自力で頼むぞ。世界のために!よろしく頼むぞ!』
ジネンに力強く、丸投げされた。