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第4章「素晴らしき国(後編)」

凄惨な光景を見てしまった奏太達。

彼はそれを見てもこの国を守るのか。

ゴルグとハロルドの関係とは…

そして、奏太に女ものの服を押し付けた犯人とは…

ハロルドと奏太達の絆を深め合う第4章始まります!

あまりにも残酷な光景を見せつけられた僕らはまばたきもできず、ただぼうっと立っていた。

目の前で怯え、声を発し、動いていたものが固まり、それが連れていかれたのだ。その光景に戦慄を覚える。今思うと、僕らが見殺しにした肉1もこんな状態だったのだろうか。あの時は自分が生き残ることに必死だったため、他が死んでも何も感じなかったが、改めて身の安全が保証された環境でこの光景を見ると、不思議と恐怖が湧いてくる。

人間の気持ちは不思議だなと思う。

もっとも、小百合は僕のようには気持ちが整理できず、小刻みに震えている。

しばらく感傷に浸り、ハロルドも恐らく僕らの心情を読み取ったのだろうと思う。

「見苦しい所も見せてしまいましたね。そして、すみません。まさか、奏太殿達が人の死体に対する耐性がなかったとは…こちらも配慮が至りませんでした…」

と反省している。

「いや、この国には死体への耐性がない人はいないんでしょ?なら、死体への耐性がない奴がいる配慮なんてできっこないさ。」

と若干皮肉混じりで僕はハロルドを励ました。

「そうですか…そうですね!」

とハロルドは皮肉を感じ取っているのかわからない上に簡単に開き直った。

「そういえば奏太殿。その剣は…」

あぁ、忘れていた。護衛用と言われて渡された(押し付けられた)なまくら刀を…


「そうですか…先生が…」

ハロルドはうつむき、何かを考えているようだった。

「そういえば、向こうもハロルドを指して、弟子って言っていたが、あの人って鍛治屋じゃないのか?」

とハロルドに疑問をぶつけた。

「そうですね…たしかに彼は刀工でもありました。でも、それ以上に卓越した剣の腕があり、私の父とともに王族の護衛をしていたそうです。ですがある日、彼の最愛の娘が亡くなり、彼は狂い始めました。適当な人間を四人、生け贄にして娘を蘇られようとしたのです。」

あまりにも重い話に僕も小百合も絶句してしまった。

「だが、それだとさっきの殺人者のようになるんじゃないのか?」

「たしかにそうなのです。しかし、当時の王の恩情と民からの信頼、そしてなによりその四人の直筆の遺書に彼を養護する文があったこともあり、王族専任の騎士兼鍛治屋の立場の剥奪ですみました。ですが、僕は知っています。彼が殺した人間は四人ではない。五人目がいることを。」

「…その人もゴルグを養護した文があったのか?」

「たしかにありました。でも、私は許せないのです!私から父を奪ったことを!その五人目を隠していたことを!」

ハロルドは熱くなり、その迫力は凄まじかった。

「あ、すみません。熱くなってしまって…」

「いや、構わないさ。」

誰だって肉親を失えばそうはなる。いざそう考えると、自分も見殺しにした肉1や突き落とした兵士からも恨まれても仕方ないと思った。まぁ、前者は恐らくなにも感じないだろうが…

「ねぇ、ハロルドさん。気晴らしにスイーツでも食べに行かない?」

「この国にスイーツってあるのか?」

僕は小百合に聞いた。

「うん!いろいろ巡った時にいくつか見つけたわ!」

女って凄いと改めて思った。

「そうですね!行きましょう!」

ハロルドもさっきとは打って変わって乗り気だ。

「では、私のおすすめの所があるので、そちらへ行きましょう!」


「いらっしゃーい!おや、久しぶりね、ハロ!そっちのお客さんもたらふく食っていきな!」

店員のおばちゃんが僕達を温かく迎え入れた。

「お久しぶりです。今日は客人とともにここへ来ました。今日のおすすめはなんでしょう?」

「そうね…じゃあ、今朝取れたものだけで作ったケーキを振る舞ってやるよ!」

「ありがとうございます。では、私は小百合殿と一緒に席を取っておくので、奏太殿はケーキを持ってきてくれませんか?」

「わかったよ。」

ハロルドが小百合と席を取っている間に僕はおばちゃんからケーキを貰った。

「ハロ、今日何かあったのかえ?」

おばちゃんはハロルドが聞こえない声でこっそり話しかけてきた。

「実はゴルグさんの話をしてしまって…」

「あー、あの時は災難だったねぇ」

「奏太殿ー!」

ハロルドがこちらへ声をかけてくる。

「ほらよ。ハロをこれからもよろしくな!」

まるで息子の友達に母親が話しかけているような感じだった。

僕はケーキを貰い、ハロルド達の方へ向かった。

「すみません、奏太殿。慣れない所でこんなことを頼んでしまって。」

「気にしないでくれ。さ、ケーキを食べよう。」

「ですね!頂きましょ…」

「あー、そこの?相席しても構わないか?」

声の方を見ると明らかに高貴な身分であろう女性が立っていた。しかし、僕らは見覚えがある。

「…何をなされているのでしょう。姫様。」

そう返したのはハロルドだった。

「そうつれないことを言うな。私とて、趣味に生きる時間があってもよかろう?そして、私のことは女王と呼べ。」

「その趣味のために家臣の仕事を増やさないでください。姫様ですよね?盗難の犯人。」

「むぅ、バレてしまっては認めるしかないな。」

「はぁ…姫様、奏太殿までダシに使わないでください。」

「む?なんのことだ?」

「とぼけないでください。姫様ですよね?奏太殿の部屋にご自分の私服を置かれたの。」

ハロルドには最早全てお見通しのようだ。

「いや、それは私ではない。たしかに、私服を隠して騒ぎを起こしたが、奏太に私服なんて渡す訳がなかろう!私も乙女なのだぞ!」

言った瞬間顔が赤くなり、僕の目を一瞬見て反らした。

「え?じゃあ誰が…」


―昨夜のこと―

屋根を疾走する音がする。

だが、空耳だろう。なんせ、軍施設は現世界への攻撃時は地下に格納されるのだ。敵の侵入を防ぐために。だが、大体は迷い、兵士に見つかる。奏太もその口であった。だが、小百合から聞いた話では、魔法も使わずに遠距離から攻撃する武器があるらしい。しかも、一発でも受けたら命が危うい武器だそうだ。魔法は生きるものを殺すことはできないが、物を壊すことはできる。飛ばすものは鋭利な筒上のものらしく、物体ということがわかる。もし、撃ってきても攻撃系列の魔法で相殺程度はできるだろう。

「…後から考えよう。」

今日はもう疲れた。世界跳躍もし、現世界人二人が亡命してきて、うち一人に求婚もして…また一人にはこの世界の実情も聞いた。どんなに文明が進んでいても、どんなに国が豊かでも、人が前に進まず、心が貧しくなる。そして、中には民の生活がギリギリというところもあるらしい。そんなものを聞いたせいか、心まで疲れている。今日はもう体を休めよう。そして、明日は自分の民は貧しくなっていないか、確かめたい。

不安だ。

そして、私はベッドに入り眠った…

「やっと寝たか。では、女王。先程、あなたがクローゼットの底に服を隠したのを見た。その私服を戴こう。」


奏太を女と見たであろうこの女はその一言とともに闇へ消えた。


「もしや、奏太殿の他にも侵入者が?」

「待て、それよりハロルドよ。どのくらいの時に軍施設は国土へ浮上した?」

「えっと…恐らく夜明け前かと…」

「では、こちらの世界の民の可能性もありうるな。」

「でも、仮にも国の施設がそう易々と侵入できるんですか?」

「そういえば、書き置きもあったな。姫様。筆跡鑑定ってこの国ではできますか?」

「できなくはないが、全ての民というわけにはいかん。まず、国民の数を正確に数えることができんからな。」

「一人称が私であり、文も女という感じでした。ですが、それも隠蔽という可能性が…」

「わからないものはしょうがない。実質私の服はあるのだ。被害が無かっただけありがたいと思わねばな。」

「あっ!…ソ~タ~!あなた、まさか着てないでしょうね~!」


その一言に女のきつい視線が二つきらめいた。しかし、ハロルドは鈍感なためか、

「結構お似合いでしたよ。」

とだけ姫様に言ってしまった。

「ま、待って!私服を用意して貰ったと思ってもしょうがないでしょ?」

「たしかに私もエレちゃんから私服は貰いましたけどね。男のアンタが、着るもんじゃないでしょー!」

「小百合、頼むから、公の場でエレちゃんはやめてくれ!」

そう言うエレちゃんの目は涙目になっていた。

「あーもう滅茶苦茶だ!」

ハロルド…僕もう疲れたよ…

そんな嘆きが届くわけもなく、僕は小百合から滅茶苦茶怒られた。


ヒューと風の音がする。

ここには、俺とこの国一番の暗殺者、レイカがいた。

「よう、レイカ。ハロルドの様子はどうだった?」

「部下に頼んだけど、異世界の友達ができたみたいよ。そんなに気になるなら見に行けばいいじゃない。最強の刀工、ゴルグさん?」

「馬鹿言え、あいつは俺が父親を、カイトを殺したと思ってやがる。会いに行けば、殺気を放って殺しに来るだろうよ。」

「災難ね。娘をダシにした挙げ句、友人の罪を被ることになるなんて。」

「なぁに。そこは気にしちゃいないさ。それに俺らが気にしなくちゃいけないのは過去じゃない。」

「そうね。私も沢山の部下はいるけど、それだけでも対処は難しいわ。」

「別世界に転移したから安心だと思っていたが、どうやらそうでもないらしい。連中はいつでも攻める用意がある。」

「カイ君が居てくれたらねぇ。」

「あぁ、また三人で飲み明かしたいぜ。」

「最強の騎士に最強の刀工。そして、最強の暗殺者。私達三人が揃えば、止められたかしらね。」

「どうだろうな。」

「親方様。また森にて術式が展開されていました。早急に対処いたします。」

どこからともなく、レイカの部下が現れた。

「ご苦労様。サクラ。」

その言葉を聞くとサクラという部下はまたどこかへ消えた。

「…」

「凄いでしょ。私の知ってる中で一番将来が楽しみな子よ。もう、私達がいなくても、この国は十分回っていけるわ。」

「ふっ、年をとったな。お互いに。」

「ぶっ殺すわ。」

『相変わらずだね。二人共。』

俺とレイカが振り返る。最後の空耳に俺らは目を細めた。

はい!どうもディーです!

今、ものすごく、日曜大工系なことがしたいです。

板と釘はあるのですが、こうもうちょっと本格的なことしたいです。

コメリ行けばいいだろって?

私が、住んでるところがコンビニもゲーセンもコメリもダイソーもツルハもない所でしてね。あるのは人が住んでるか分からないような廃墟しかないくそ田舎なんですよ!

都会行きたい。

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