第1章「ある日の夢」
初めまして!この度小説家になろうに投稿させていただいた。ディーと申します!皆さんはこの物語の主人公とは状況が違えど、この世界、人間関係への不満はあると思います!この作品は大半が作者の嫌いなものが含まれていて、それを自分が好きなゲス・クズ系主人公に殲滅してもらいたいという邪念で作り上げました。まだまだ、序盤で少々下品な表現もありますw
最低主人公が自分の世界を滅ぼし、理想郷のために戦う。私自身、次を書くのが楽しみです!
―――ある日、夢を見た―――
馬鹿げた夢だった。
現実では、人の不幸を見て影で笑っている僕が女の亡骸を抱いて泣いている夢だった。
しかも、泣きながら化け物の群れに、魔法のようなものを使って飛び込んで行くのだ。
夢でも分かる。この後、僕は無様に負ける。
大切な誰かを殺され、自分も殺されるのだ。
こんな最悪な夢は正夢にしたくない。
自分のためにもならないことで死ぬなんて絶対に嫌だからだ。
「おーい!ソーター!」
幼なじみの声が聞こえる。
そう、僕の名前は小澤奏太。
どこにでもいる普通のゲス中学生だ。
「今日も早いね。モテ男は大変だ。」
今日も嫌味なのか素なのか、幼なじみの僕でも分からないこの子は錦戸小百合。僕の1個下だ。
そして、僕は何故かモテる。
「なんでかなぁ?何故求めてもいないのに肉◯器が集まってくるんだろう?」
小百合は僕が唯一この汚ない本音をぶつけられる相手だ。
「それを本人達に言えば?」
冗談じゃない。女の恐ろしさは知っている。
他人にはプライドより効率を優先させておきながら、自分はプライドを優先する化け物ばかりだ。
「いや、辞めてお…」
凄まじい足音が聞こえてきた。
「「「奏太様!」」」
肉◯器が群れを作って僕を囲ってきた。
もしかしたら、夢の化け物の群れはこいつらなのかもしれない…
じゃあ、亡骸の女は…
思考するよりも先に肉達に埋もれてしまった。
僕は中学3年生。つまりは受験生だ。まず、この事が憂鬱だ。なんせ、僕の進学先は死んだ親から勝手に決められた農業高校だからだ。僕の家は葡萄農家として生計を立てていた。だがある日、両親は事故に遭い、帰らぬ人となった。しかし、僕の家は祖母が一緒に住んでおり、毎日毎日、戦争の話を聴かされ、仕事があることが幸福だのなんだの言って、両親の遺言通りに農業高校へ進ませようとする。僕は人に向けられた願いは同時に人を縛る呪いにもなるということを悟った。
そして、今日に至るまで僕はたくさんの女に縛られ、縛られるのが好きなM男からの嫉妬にの視線を浴び、やりたいこと、なりたいものにもなれないまま1日が過ぎていく…
そう、思っていた…
「ちょっとアンタ!いつも奏太様に近付いてウザイのよ!」
放課後、そんな怒号が空き教室から聞こえてきた。
普通なら、肉達がプライドをぶつけ合っていると一笑するだろう。
だが、これはチャンスだ。
喧嘩している両方をフる大義名分ができるのだ。
そんな、浅はかな考えの下、空き教室に入ろうとした。
その時、気付いてしまった…
「…」
肉達に責められていたのは、小百合だった。
「なんとか、言いなさいよ!」
肉達の怒号がまた響く。
「これ以上奏…」
肉の一人が言葉を止めた。
僕も、体が止まってしまっていた。
「なんなんだ…あれは…」
―――ある日、夢を見た―――
私達の国がとある世界と戦争を起こすのだ。
そこまでは、どこの世界でも歴代の王達がやってきた。
しかし、その戦争の中で私が瀕死で動けないのだ。
しかも、それを見て一人の男が泣いているのだ。
そして、その男はリザードマンの群れへ飛び込んで行くのだ。
嗚呼、これが正夢ならば次の世界はどれだけその男にとって酷なのだろう。そして、私のために泣いてくれる男がいるのは幸せだ。
だが、私はまだ死ぬ気はない。
私はまだ国民のために立たねばならないのだ…
「姫様、もうじき新しい世界です。」
配下のハロルドが忠誠に満ちた瞳で状況を報告する。
恐らく、夢の通りならば、彼が泣いてくれるのであろう。
「馬鹿者!ここでは女王と呼べ!では、目標!4201時空へ!」
願わくば、ここが我らの城と民の定住の地であらんことを
「なんなんだ…あれは…」
肉達も動きが止まり、口が阿保みたいに開いている。
いや、元々阿保か。
だが、そんなボケでも自分すら笑えない。
目の前で城が空を飛んでいるのだから…
『この世界の民に次ぐ!私の名は、エレナ・リパイド・エクソシスティー!貴様ら現地人にとって、異世界の女王である!』
この、壮大な自己紹介と共に何かがこちらへ飛んで来た。
「エレナ様!万歳!」
兵士と思われる奴らがそんな雄叫びをあげ、地上に降りるとともに、剣先から弾を乱射してきた。剣先が銃になってるわけではない。普通の剣から光弾が飛んで来ているのである。
勿論人に当たれば死んでいた。銃で殺されるより静かに。穏やかに。
この空き教室は5階立ての学校の3階にあるので挟み撃ちにされても、まだ、余裕はある。ならば…
「小百合!いるか!」
「ソータ!」
「「「奏太様!?」」」
「急いでここから出るぞ。」
「出るってどうやって?」
それもそうだ。まず、逃げる場所がない。
…いや、あるじゃないか、最高の逃げ場が。
この方法は危ないが、そこは肉にでもやらせよう
「人内さん!窓から、顔を出して助けを呼んで!」
この場にいる奴らは皆錯乱している。
ならば、これを利用しない手はない。
「おーい!助けてー!」
本当にやった…ありがとう、肉1。君のことは忘れない。
兵士がこちらの教室の窓に来た。
「我らの世界のためだ!悪く思うな!」
肉1は撃たれず、刺し殺された。
―今だ!―
僕は兵士が刺し殺した余韻に浸ってる間に突き落とした。
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
グチャりと生々しい音が聞こえたが無視しよう。
「よし、小百合!急ぐぞ!」
「うん!」
「「「待ってー!奏太様ー!」」」
知るか。勝手にくたばれ。
僕は手探りで操作に少しずつ慣れ、兵士達の銃撃にも、軽々かわして、城の内部に入った。
「急げ!侵入者だ!姫様に近付けさせるな!」
軍施設が騒がしい。どうやら、この世界の人間がウィッチフライヤーで入り込んで来たらしい。こんな早くに潜入されるとは思わなかった。
相手はさぞ、戦場に長けたプロなのだろう。
しかし、私には、王族の莫大な魔力を持つ者のみが扱える聖王の剣がある。これを、侵入者に持たせ、剣を抜いて勝負をせよ!と言えば、抜けずに手間取っている瞬間に殺せる。勿論、相手が飛び道具を持っている可能性も考え、一瞬で決める。
ここはどこだろう。
そんな不安が頭に過る。自分が選んで来たはずなのに…
「ねぇ、大丈夫だよね?」
小百合の不安もごもっともだ。
「ねぇ、あそこは?誰かいるみたいだよ?」
確かに武器は持っている。だが、相手に通用するだろうか?
兵士は転落こそしたが、絶命したかは確認していない。
もし、ゴキブリのように生存能力が高ければ…と恐ろしいことを考えてしまう。だが、このままじっとしていても、いずれ死ぬ。
「…行くか。」
重厚で高級そうな扉を開けた。
「挨拶もなしに入るとは、貴様らが侵入者で間違いないな?」
さっきの壮大な自己紹介をしていた女王のようだ。
まだ若く、おそらく僕達と同じくらいの年だろう。
「我が名はエレナ・リパイド・エクソシスティー!この国の『女王』である!」
「僕は小澤奏太といいます。こっちの彼女は錦戸小百合。」
「ほう…で、用件はなんだ?侵入者?」
「僕達の安全とこの国に住む権利をください!」
「ふん、兵力の違いだけ見せて済ます奴らが…え?」
「お願いします!僕達をこの国に住ませてください!」
「こ、この腰抜けめが!」
当たり前だろう。負け戦に身を投じる馬鹿である覚えはない。
しかし、これは恐らく…
「ふむ、いいだろう。」
僕は意外な返事が来たなと少し戸惑った。
「ありがとうございます!」
とうわべだけの感謝を述べ自分の安全が保証できたことに安堵した。
「だが、その前に試練を与えよう。」
やはり、そうなるか…
「ハロルド、例の剣を。」
そう言うと、金髪の青年が前に出てきた。
「重臣ならば、これは反対されていたでしょうね…では、奏太殿。どうぞ。」
敬称で呼ばれることにもの凄く違和感を覚える。
すると、女王が僕の前に立ち、剣を鞘から軽く抜き、また収めた。
「この、剣を鞘から抜くことが出来れば、そなたらに我が国の市民権と王直属の騎士になる名誉をくれてやろう。」
絶対何かある。だが、ここまでくればもうやけだ。
出来なくても、自分世界の情報を売り渡せば少し延命はできるだろう。
「分かりました。」
「ソータ!」
「小百合、大丈夫。」
小百合を落ち着かせ、鞘から剣を抜いた。
何かあると思っていたが、存外大したことなく抜けた。
しかも、思ったより大分軽い。
「えっと…これでよろしいのでしょうか?」
女王は唖然としていた。
「馬鹿な…何故抜けた…ハロルド!」
「はっ!失礼、剣を収めていただけますか。奏太殿。」
僕は剣を収めた。すると、ハロルドという騎士が剣を抜こうとする。
「この剣に細工はされておりません。本当に実力で抜かれたようです。」
とハロルドは唖然としていた。
「あの…これで僕達は市民権を貰えるのでしょうか?」
流石の僕も状況についていけず、本当にこれでいいのか分からなかった
「…いいだろう。だが、そこの娘!この剣を試しに抜いてみよ!」
「は、はい!」
小百合は精一杯の力で剣を抜こうとした。だが、抜けそうもない。
「ごめんなさい、私には無理です。」
小百合はハロルドに対して頭を下げた。
「いえいえ、ご協力ありがとうございます。」
ハロルドは小百合に対して、礼を述べ女王の下へ下がった。
馬鹿な…何故抜けた。この剣は王族の優れた魔術の血がなければ抜けぬはず。現にそこの娘もこの剣を抜くことができなかった。
あやつが特別だというのか。ならば…
「よくぞやって見せた!奏太よ。そなたらの市民権、奏太の王直属騎士になる名誉!この約束事は守ろう。だが、奏太よ。そなたは今夜、身を清めた後に、私の元へ来い。」
「え、あ、はい!」
あの者はどういう用件なのか瞬時に察したようだ。
私も少々照れくさいが、あの者の体を確かめるためだ。
堂々としなければならないな。
―いったい異世界人である僕が何故彼女の夜の相手をしなければならないのか―
僕には女王の真意はわからない。
だが、もし肉体関係を築けるならば少なくとも彼女がこの国を統治している間は僕達は無事だろう。
「約束を守っていただけるなら我が身は喜んで差し出しましょう。ただ、私は貴方方の時間の在り方がわかりません。出来れば使いを呼んでいただけないでしょうか。」
これは、もっともな内容だ。不敬にはならないだろう。
「ふむ、よいだろう。ハロルド、頼んだぞ。」
女王はハロルドを夜のパーティーに参加させる予定なのか。
女王も欲深いなと心の中で笑ってしまった。
「はっ!」
そんなくだらないことを考えいる僕の思いとは裏腹に活力のある返事をハロルドはしてみせた。
ところで一つ気になった事がある。
「この国では死者への弔いはどうされるんですか?」
僕よりもその疑問を口に出したのは小百合だった。
「何?よもや貴様ら我が兵士達を殺めたのか?」
その瞳には戸惑いがあったのだろう。
だが、生き延びるためだ。罪悪感はあれど、後悔はしていない。
「因みに、どうやって殺めた。」
「え?」
驚いた。女王が先に聞いたのは殺した数ではなく、殺し方だったのだ。
「えっと、兵士が使っていた剣にトリガーがあったので、引き金を引いて殺しました。」
流石に殺されるかな?不安だ。
「くっ、あっはっはっはっ!」
王女から正直な気持ちであろう笑い声が聞こえた。
「そやつらは恐らく死んでおらぬ。今頃こちらへ向かっているだろう。そろそろ…」
「姫様ー!ご無事であられますかー!」
重そうな鎧に老人の声。これが老練の戦士というものなのか。
僕にはあまりわからないが。
「ここでは女王と呼べと…」
女王、いや姫様のツッコミも無視に老練の戦士は名乗りを上げた。
「その若さでここまで来るとはな。あっぱれよのう。そこの小僧よ。安心せよ。このガイダン。人は殺めても、苦しめはしない!」
あー、これは味方なら面白い人だ。直感的にそう思った。
「安心してください。僕はあなたたちの…」
「だが、いいところに来た。ガイダンよ。早くこの侵入者を始末せよ。私の剣はその者の方にあるからな。」
は?いや、ハロルドが小百合から返してもらって下がったはず…
と思ったら本当に足元にさっきの剣が落ちていた。
女王とハロルドの方を見ると、ハロルドはグッドサインをしていた。
「では、いざ、いざ。」
ガイダンは重厚な鎧に鈍重な動き回りでも相手を必ず粉砕してしまいそうな斧を携えている。おそらく外の兵士のように光弾を発射するだろう。
「安心せよ。魔術は使わん。なんだったら剣を貸してやってもいい。」
相手は余程余裕らしい。
「…いえ、構いません。僕はこれで戦います。」
僕は足元にある剣を手に取った。
「ほう、だがやめておけ。その剣は抜けんぞ。」
「いえ、大丈夫です。」
そう言って僕はまた剣を鞘から抜いた。
「なんと!」
ガイダンは驚きで動きが止まった。チャンスは今しかない。
「はっ!」
上手いこと剣を寸止めで止めることが出来た。
「なっ…!」
「そこまで!」
女王は、威厳のありそうな声でその場を止めた。
「もう年かな。驚くと腰ががくんと簡単に抜けそうになる。」
ガイダンの負け惜しみとも取れる発言にハロルドはすかさずフォローを入れた。
「大丈夫ですよ。ガイダン殿はまだ私と奏太様にしか負けていないですから。」
いや、ただ傷口を広げただけだった。
その後、女王はガイダンの誤解を解き、僕には兵士は全員無事だということが聞かされた。
なんでも、剣から発射された光弾は自分達には一切効かないらしい。しかし、膨大な魔力を込めて発射された場合は吸収しきれず、気絶してしまうらしい。つまり、僕はこちらの世界では国宝級の魔力を持っているということだ。
しかし、光弾で倒さなかった兵士も一人いる。だが、女王は弔いは不要だと答えた。そもそも、この国には弔いに相当するものはないということだった。なんでも、この国では死者に思いを馳せると死者に連れていかれると言われているらしい。そして、死者の復讐のため戦うと自分が冥界に引きずりこまれるということだった。僕達と女王の会話はそれで終わった。
その後、僕と小百合は別室で互いに身を清めるという名のバスタイムで羽を伸ばした。バスルームはシャワーも風呂もあり、たっぷりくつろげた。
バスタイムを終え、しばらく椅子に腰かけてくつろいでいると、ノックが聞こえた。その後、
「奏太殿!いらっしゃいますでしょうか?」
というハロルドの声が聞こえた。さて、そろそろ夜のパーティーのようだ。
「では、行きましょうか。」
ハロルドが優しい笑みでこちらへ問いかけた。
「はい。では参りましょう。」
しかし、何故僕の相手を女王がしてくれるのか、それだけが僕の頭によぎっていた。
如何でしたでしょうか?私はこの作品をメッセージ性に富んだ作品にしていきたいと思います。作者は特撮やロボット戦争系などのアクションの中に監督や脚本家の方などの現実世界に対してのメッセージが大好きで、自分もいつかこういうものを作っていきたいなと思いました。またまだ至らない点は多々ありますが、今後ともお付き合いの程、よろしくお願いします!