第13章「忍具」
はい!どうもディーです!
今回はしばらく放置していた姫様達の話です。
魔術は命を奪えない。それがこの世界のルールということは結構前の回に誰かが言っていた気がしますね。それも踏まえて、お読みください。
それでは第13章。始まります。
話は奏太達が別れ、奏太とゴルグが出会う前にさかのぼる。
私、エレナは陽炎のサクラと共にリザードマンの迎撃をしていた。
サクラが花弁で壁を作り、それに触れたリザードマンは漏れなく壁から出てくる枝に刺さり倒れた。
「馬鹿な…魔族でもない限り、魔術では命は奪えないはず…」
「はい、これは魔術にございません。忍術にございます。」
「忍…術?」
「はい、レイカ様が魔術に人を殺められるように『魔玉』と『忍具』と呼ばれるものを駆使し、扱える、殺魔術です。」
「そんなもの…!もしそれが更なる戦火の火種になればどうするつもりだ!」
「仰る通りです。ですが、レイカ様はその事も視野に入れ、自身と私や信頼できる者にしか与えませんでした。我々はこれを自衛、または任務のためにしか使わないという誓いを立てました。その誓いを汚すものがいれば、その時は味方であれ、容赦はしないとも…」
サクラの目は自身の信念に燃えているのを表すような綺麗な目をしていた。
「あ、そうでした。女王様に貢ぎ物があるのでした。」
「む?なんだ?」
久々に女王などと呼ばれて、少し興奮していたかもしれない。
「これを。」
そう言ってサクラが手渡してきたのは綺麗な装飾のされた腕輪だった。魔玉が入っており、周りの装飾もよく見れば見たこともない文字のようで何かしらの不思議な力が込められているようだった。
「これはまさか…」
「はい、忍具にございます。」
「1つは私の分と分かるが、もう1つは誰の分だ?」
「レイカ様からは『一番信頼できるものに』と。」
「そうか。分かった。」
「キシャアァァァァァ!」
「いけませんね。どうやらリザードマン達は同族を盾にしつつ、こちらの壁を壊そうとしているようです。女王。私が一度だけ壁を一部開くので、貴女の魔力、私に見せて貰えませんか?」
「ふっ…」
煽てられて悪い気はしない。私は腕輪をはめ、超火力の砲撃をイメージした。無論、命を奪うイメージも…
光が集まる。決して速くはないが、遅くもない。
「…!今だ!開けろ!」
「了解しました!」
花の壁に道が開く、それは命を育むものが通るものではなく、命を狩るものが通る道。
「はあぁっ…はぁっ!」
高出力の光弾がリザードマンに向かって直進していく。そして、直撃したのと同時に気付く。
「あぁぁぁっ!これでは建物にも被害が!」
「ご安心ください。それは建造物への被害は起こしません。何せ隠密の使う武器ですから。」
しばらくすると、リザードマンのいた場所には鱗が散らばっているのみだった。
もしかしたら、私はとんでもない破壊の武器を手に入れてしまったのかもしれない。一瞬、私は自身の手を見て、恐怖に顔を歪ませた。
如何でしたでしょうか。次からは奏太かゴルグの回?になるはずですので、お楽しみください。