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久典の秘蔵の本の隠し場所

 第二章


 二週間ほど経つと、久典と蒔菜は結構話す間柄になっていた。


 それはいいのだけれど、最近久典は変な視線を感じていた。

 常に誰かに見られているようなそんな感覚があったのだ。


 それは学校では無いのだけれど、下校中とか特に感じる。


 もしかしたら、すでに蒔菜と下校している僕に対しての嫉妬とかあるのじゃないだろうか。


 蒔菜は学年のなかで一番と言ってもいいほどの美人。そんな人と仲良くしていたらそりゃ多少なりとも男に憎しみの目を向けられているのかもしれない。


 あ、あと朝もあまりない。桜子とは途中まで一緒に通っているけど、その時はそんな視線を感じることはない。


 やっぱり、学校からの帰り道が主にその視線を感じる。

 これは正直気持ちいいものじゃない。なぜ見られているのかわからないし。何を久典に向けているのかがわからないから恐怖すら感じる。


 誰からなのかというのがわからないのが一番不安だ。

 もしかしたら、久典と蒔菜の間柄がよくなることを嫌う人物が見てきているのかもしれない。


 蒔菜はクラス内で飛び抜けて美人だし、学年単位で見ても一番は揺るぎない。


 そんな美女と一緒に居る男子を目撃したら、そりゃ嫉妬するだろう。


 そう、大半は「いいなぁ」止まりなのだ。


 つまり、久典と蒔菜が一緒に居るところを目撃してもそれは一時的なもの。にも関わらず常に見られている感覚がするのはおかしい。


 色んな人に見られているといったたぐいならまだいいけれど、ずっと同じような感覚。背筋がゾクッとするような、悪意のある視線。


 おそらく、同じ人物だろう。

 そうすると、どうなのか、蒔菜のストーカーが現れたのかもしれない。

 久典はそう思うと、いざという時は蒔菜を守らないと。と決意する。


 しかし、そうじゃない場合もありえる。


 それは久典に対しての感情だ。

 嫉妬、妬み、嫌悪、恨み。


 蒔菜のことが好きな人物からのそういった負の感情が久典に対して向けられているのかもしれない。


 はっきり言ってそれは逆恨みなのだけれど、そんなことを言ったって人の感情なのだからどうしようもない。


 それに久典も蒔菜のことが好きなのだ。


「あっ、どうぞ」


 というような譲りがあるはずもない。

 久典に向けられているのならむしろ好都合だ。見せつけてやって諦めさせればいい。

 諦めさせれないとしても、ある種の愉悦すら感じる。


 だが、そんな態度を表したり言葉で発するわけでもない。ただ、蒔菜と仲良くすればいいだけ。


 それだけで、その視線主より、上なんだぞということが示せる。

 それだけで、相手の自尊心はズタズタだ。

 つまり、蒔菜に危害を被ることが無いのならば仲がいいところを見せつけてやればいい。

 特別なことはする必要はない。ただ、蒔菜と肩を並べて帰り、蒔菜と楽しく会話をすればいいだけのこと。


 ひょっとしたらそれで諦める可能性だってある。


 そうなれば万事解決だし、蒔菜のためにもなる。そして久典のためにもなる。


 もし、久典に対して危害を加えてくることになるのだとしても、それは受けて立つのが当然なのではないだろうか。


 今は付き合っているわけではないけれど、いずれは付き合いたいと久典は思っている。


 ということは蒔菜と付き合ったらそいつが襲いかかってくるかもしれない。


 そういう風に考えてみると、遅いか早いかの違いだ。


 蒔菜と付き合うための障害がそれならば、久典は乗り越えなければならない。


 そして、そんなことがあったとしても、付き合いたいと思うほど蒔菜は魅力的なのだ。


「さっきから何をそんなに考え事してるの? 何か悩み事?」


 蒔菜が声をかけてくる。


「あっ、いやなんでもないよ」


「そう? せっかく一緒に帰ってるのに、今日はなんだか久典くんの口数が少ないからつまんないな」


「あっ、いや、それはごめん。えーっと何を話そうか」


 今は蒔菜と久典は下校している最中だった。


 学校の授業にもだんだん慣れてきた頃だけれど、久典にとっては授業に付いていくだけでも一苦労している。一応ではあるものの進学校だ。元々秀才でもなく、もちろん天才でもない凡人の久典が苦労するのも当然だった。でも留年だけはしない。と決意しているのでなんとか頑張っている。


「あっ、そういえばゴールデンウィーク明けにテストがあるんだっけ?」


 話題、話題と絞り出した話題がそれ。もっと楽しい話題を振ればいいものを。


「そうそう、と言っても授業でやってる内容をやるだけだから、大丈夫だよ」


 流石中学時代学年トップクラスだった人は言うことが違う。


「いいなー勉強出来る人は羨ましい」


「そんなこと言って、久典くんだって城之内東高に入れたんだから頭が悪いってわけじゃないでしょ」


「受験はひたすら必死に勉強したし……」


「んー。授業はついていけてる?」


「かなり必死にやって、ぎりぎりって感じ……」


「勉強の仕方が効率悪いのかもしれないね」


「でも、勉強の仕方なんてよくわかんないんだよな」


「どういう勉強の仕方してるの?」


「なんというかガーッって感じで読んで書いてって感じのことをひたすらにやってる」


「あー、それはやっぱり効率悪いね。それにその勉強の仕方だったら、楽しくないでしょ?」


「えっ、勉強って楽しみながらやるもんなの?」


「楽しみながらって言うか。知識が増える喜び? みたいな感じかなぁ」


 勉強が出来る人は言うことが違う。というより、意識から違う。

 久典にとってすれば、勉強は蒔菜と同じ高校になるために必要だったからやっただけで、知識が増えることに喜びを感じたことなんか一度もない。


「知識が増える喜びって言ってもなぁ。なんかピンと来ない」


「そうね、まずは興味を持つことから入るのがいいんじゃないかな。興味のあることって誰でも自然と覚えちゃうでしょ」


「そりゃ興味のあることだからね」


「勉強も同じだよ。興味を持って勉強したら自然と身についちゃう。そんなものよ」


 だから、簡単。と蒔菜は言う。


「なるほど――」


 でもそれは勉強のできるやつの感覚だろ。と言いかけたところで久典は止めた。そんなこと蒔菜に言ったら、幻滅されてしまうかもしれない。


 それはそうとなのだけれど、やっぱり視線を感じる。

 後ろから誰かがずっと後をついてきてずっと見られているような感覚がする。

 かと言って、気づいているというのを相手に悟られるのは良くないことかもしれない。と思ってやり過ごすことを決める久典。


「そうだ、じゃあ今度一緒に勉強しない? 勉強の仕方とか教わりたいし」


「んー。一緒に勉強って二人並んで勉強するだけだよね」


 蒔菜の反応は薄い。もしかしたら嫌なのだろうか。


「いや、勉強のコツとかこの問題が出そうとかそういったことを教えていただけたらなーって思ったんだよ」


「勉強のコツはさっき言った通りだよ」


「それはそうなんだけど。一人で勉強するより、蒔菜と一緒に勉強した方が真剣に出来るかなって思って」


「なにそれ。久典くんおかしい」


 蒔菜は笑ってそう言った。


「えっ、そうかな?」


 嫌われているというより、もしかしたら蒔菜は、勉強というものは一人でやるものだ。と考えているのかもしれない。


 そういう思考ならば今久典が言ったことがおかしく聞こえても仕方がない。


「そうだよ。それにだよ、一緒に勉強するにしても、どこでやるの?」


「僕の家とか」


「久典くんの家? おじゃましても大丈夫なの?」


「大丈夫だよ。勉強するためなんだしなにも問題ない」


「んー、考えとくね」


 可愛く蒔菜は微笑みかけた。




 考えておく、という返事なので大した期待は出来ないかもしれないが、それでも久典は家に帰ってから部屋掃除をせずには居られなかった。


 読みっぱなしになっている本を片付け、掃除機をかける。大きなゴミとかはないけれど、ホコリがあるかもしれない。


 久典の母親が毎日ではないにしろ掃除をしている様子なので久典がするほど汚れてはいない。


「一体どうしたの急に」


「母さんには関係ないだろ。それに自分の部屋を掃除するのは何も悪いことじゃないだろ」


「まぁ、そうだけどね、いつもそれだと助かるんだけど」


 そう言って、久典の母親、杏子は久典の部屋から出て行った。

 杏子が離れていくのを確認してから、ベッドの下の掃除を始める。

 ベッドの下には秘蔵の本が隠されているからだ。もし、バレているとしても、流石に目の前で堂々と秘蔵の本の整理をする精神力は久典にはない。


 流石にベッドの下だと蒔菜に見つかる可能性がある。どこか隠す場所を変えるか、思い切って捨てるかしないといけない。


 さて、どうするか――。


「へぇー、先輩その本捨てちゃうんですか?」


「それを悩んでるんだよな。苦労して手に入れたから手放したくないけ――ど!?」


 久典は驚いて振り向いてみると、久典の顔のすぐ隣には桜子の顔があった。


「って、桜子いつの間にっ!」


「さっきお母さんが連れてきてくれましたけど?」


「あの時居たのかよ! なんで声かけなかったんだよ!」


「別に先輩の部屋に来たからと言って、絶対先輩に話しかけないといけないってことはないと思います」


「えっ、いや……。話しかけるだろ、普通……」


「先輩を観察してただけです」


「それを僕の部屋でやるなよ……」


「で、その本は捨てるんですか?」


「桜子に答える気はない」


「そのおっぱいやら脱げかけの制服やらが一杯写ってる本は捨てるんですか?」


「そういう言い方はやめろ」


「えー、先輩おっぱい好きなんですか!!!?」


「ちょ、大声を出すなよ! 母さんに聞こえたらどうするんだよ!」


「大丈夫です、先輩のおっぱい好きは絶対にバレてます」


「バレてるとかバレてないとかじゃないんだよ。気まずくなるだろ!」


「で、おっぱい捨てるんですか?」


「なんだよそれ、意味わからなくなってるぞ」


 はぁ、と久典は大きく息を吐いた。


「でも私ちゃんとわかってますよ」


「何をだ?」


「先輩はその本を捨てられないってことをですよ。先輩の大事な本ですしね」


「べっ、別に大事ってわけじゃない」


「大事じゃないなら捨てれますよね。じゃあ私がかわりに捨てておきます」


 桜子はそう言って久典の前に手を差し出した。

 本を渡せということなのだろう。


「さ、桜子に渡す必要はないだろ」


「じゃあ、自分で捨てれるんですか? 先輩」


「いや、これを捨てるのはやめておく、大事というわけじゃないけど、捨てるときに近所の

人に見られたら最悪だろ。だからこれは厳重に保管しておかないといけない」


「厳重に保管って、今までベッドの下に置いていたものをですか? じゃあ聞きますがいったいどこに保管するんですか?」


「つ、机の中とか……。クローゼットの中とか……」


「まぁ、それはこのさいどうでもいいです。でも急におかしいですよね。先輩が自分から部屋掃除をしたり、秘蔵の本を捨てるかどうか迷ったり、一体どういう風の吹き回しですか?」


「別に桜子には関係ないだろ」


 久典がそう言うと、桜子は一瞬暗い顔をしたかと思うと、


「ふーんそうですか。気まぐれってやつですね」


 と、にやにやしながら言った。


「まぁ、そういうこと。だから掃除するから桜子の相手は出来ないぞ」


「じゃあ私も掃除を手伝います」


 桜子はあっけらかんと言った。


 久典的には邪魔になるから帰って欲しいと遠回しに言ったつもりだったが全然伝わってない。


「といっても、手伝うことなんてないけど……」


「掃除機かけるのでもなんでもやりますよ!」


「正直言うとあとベッドの下を掃除するだけで終わりなんだよ……」


「なんだ、じゃあすぐに掃除終わるじゃないですか。私の相手が出来ないんじゃなくて私の相手をしたくないんじゃないですか、先輩ひどいですね」


「いや、決してそういうわけじゃ……」


 あたふたする久典。

 その様子を見ながら桜子は、


「先輩ひどいです……ひっくひっく」


 両手で顔を覆った。

 だが、こんなのは久典にだって分かる。嘘泣きだ。

 しかし、このまま放っておくのも面倒臭い。


「本を隠すのに桜子が居たら隠せないだろ。だからだよ」


「じゃあ私が隠してあげます!」


 両手を顔から話して笑顔で言う。嘘泣きということを隠すつもりなんて微塵もないのがその笑顔から窺える。


「なんで桜子が僕の本を隠すんだよ。おかしいだろ」


「なんでって、先輩も読めないようにするためです」


「おかしいだろ! 僕の本なのになんで僕が読めないようにするんだよ!」


「先輩は宝物を探す如く、本を読むために自分の部屋をがさごそと探しまわらないといけないわけです。楽しいですね」


「ちっとも楽しいことはない!」


「えっ、私は楽しいですよ」


「なんでだよ。というか僕が本を探す姿なんて見る機会ないだろ。桜子が居るときに秘蔵の本を読むつもりなんて微塵もない」


「ハッ! 盲点でした。先輩頭いいですね」


「そんなことで頭いいと言われてもちっとも嬉しくない……」


 どうせなら勉強で頭がいいと言われたい。そう思う久典。


「ところで先輩」


「今度はなんだよ……」


「掃除しなくていいんですか?」


「桜子が邪魔してるからだろ!」


「失敬な。私は別に邪魔してるわけじゃないです。先輩の会話相手になってるだけです。先輩はいつもぼっちですからね。私が居ないと喋る相手も居ないでしょうし。高校でも誰とも話してないんでしょ先輩は」


「失敬なのはどっちだよ。僕にだって話し相手ぐらい居る」


 それは当然蒔菜のことなのだけれど。流石にそこまでは桜子には言わない。


「へぇ。それは興味ありますね。先輩と話すなんて。とびっきり頭がおかしいか。とびっきりお人好しのどっちかですね」


「その言い方だと桜子はどうなんだよ」


「私はとびっきりのお人好しです」


 桜子は、はっきりと言った。


「なるほど……」


「先輩も納得ですか。そりゃそうですよね。私はお人好しです」


「今は人の掃除を邪魔してるだけのように見えるが?」


「そんなことは無いですよ。退屈している先輩の相手をしているんです。それに私は毎朝先輩を起こしに来ています。私が起こさないと先輩は毎日遅刻ですからね。そこらへんも考慮して欲しいです」


「それはまぁ、そうなんだけど……」


「なんですか、煮え切らない返事ですね」


「いや、起こしに来てくれと頼んだことはないよなーって思って……」


「あー、先輩。それを言っちゃいますか。もはや二人の中では禁止ワードになっているかもしれないそのワードを出しますか。えぇ、確かに私は先輩に頼まれて朝起こしに来ているわけじゃないです。が、先輩、もう私が起こしに来てくれるからという感じで思う存分寝ているんじゃないですか?」


 ギクッ。と、痛いことを言われてしまった。と久典は慌てる。何か良い返しはないかと。


「目が泳いでますよ。先輩」


「べ、別に泳いでなんかねーし」


「へぇー。そうですか。じゃあ私が起こしに来なくてもいいってことですか?」


「別に僕は困らないし……」


「…………嘘ですね」


 桜子はジト目で久典を見つめる。


「はいすみません。嘘を付きました」


「桜子に毎朝起こしてもらうのはありがたいです。は?」


「えっ」


「桜子に毎朝起こしてもらうのはありがたいです。って言わないんですか?」


 桜子は笑顔で久典を睨みつける。器用なやつだ。


「さ、桜子に毎朝起こしてもらうのはありがたいです」


「桜子のことが大好きです」


「桜子のことが――。ってそれは違うだろ」


「っち、バレましたか」


「バレましたか。じゃねーよ。そんなこと言わせてなんになるっていうんだ」


「これで録音してました。先輩を揺する時に使えるかと」


 桜子はババーンとスマホをスカートのポッケから取り出した。


「録音とかするなよ。怖いな! というか僕を揺する気だったのかよ」


「先輩を揺する以外に用途はあるんですか?」


「いや、それは無いかもしれないけど。まず録音するのがおかしいだろ」


「これは先輩が私を犯そうとした場合。証拠品になるので」


「僕への信頼ゼロ!?」


「えっ、先輩の何を信頼しないといけないんですか? 警戒の間違いですよね?」


「警戒って何を警戒するんだよ」


「じゃあ聞きますが、先輩はおっぱいが好きですよね。しかも大きいほうが」


「え、なんだよいきなり……」


「真面目な話です。答えてください」


「いや、まぁ、それはそうだけど……」


「先輩は私のおっぱいをよく見ますよね?」


「えっ、いやいやいや! そんなことはない」


「見られる方は意外と気づくものなんですよ。先輩。普通に見てますよね」


「………………」


「黙秘する気ですか? いいでしょう。ここに証拠動画があります」


「えっ、なんだよ証拠動画って……」


「実は小型カメラを私の制服の胸の部分につけていたことがあるのです」


「なんでそんなことするんだよ! おかしいだろ!」


「なんでって、証拠をとるためですよ。――まぁ、見てみればわかります」


 そういって、桜子はスマホの画面を久典に見せながら再生ボタンを押した。


「これは朝、私と先輩が登校している時の映像です。先輩が胸を見ているのならば、目線がバッチリカメラに向くはずです。いったいどうなるでしょうね」


 クスクスと笑う桜子。


「はい、今見ました。はい、またですね……。と思ったらすぐにまた……」


「わかった……。もういい。やめてくれ……」


「認めるんですか?」


「…………」


「ちなみに、五分程度の時間の間に十五回見てますね。つまり、二十秒に一回見てる計算になりますね。これだけ見てても見てないと言い張るんですか。先輩」


「あぁ、わかったよ。認めるよ。見てました」


「僕は桜子のおっぱいを見まくってます。はい、復唱してください」


「僕は桜子のおっぱいを――。って、絶対また録音しようとしてるだろ」


「っち、バレましたか」


 そう言うと、桜子はポケットから手を出した。


「油断もすきもありゃしないな」


「全く、先輩が素直に認めないからこういう面倒臭いことになるんですよ」


「そういう問題じゃないだろ! とにかく僕は掃除するから、桜子は帰ってくれ」


「だから、お掃除を手伝うって言ってるじゃないですか」


「秘蔵の本の隠し場所を決めるんだよ!」


「おっ、やっと素直になりましたね。そういうことなら仕方ないです。下に行ってお母さんとお茶でも飲んできます」


 桜子は久典の部屋を出て、階段を降りていった。


「いつの間にそんなに仲良くなったんだよ……」


 そんなことをぼそっと言った後、久典は掃除を再開した。



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