メロン
「見てくださいあれは!あれはつまらないことで失敗した人間でございます!」
いつも真面目で暗くおとなしい成績優秀な髪の長い少女は慌てた様子で机の中を漁っていた。しばらくして少女は諦めたような表情をして廊下に行き、先生にノートを忘れたことを自白した。特に怒られはしなかった。しかし少女は涙を浮かべ、この世の終わりを目前にしたかのような表情をしている。そうなるのに無理もない。少女にとって先生という恐ろしい存在は人間ではないのだ。眼球は溶けてドロドロの皮膚にぶら下がり、手足は細く長く、腹は抉れて内蔵が剥き出しになっている。心臓の拍動が直接確認できる。口には牙。先生は今にも落っこちそうな眼球を転がし、少女を睨んだ。少女はとうとう気が狂い、先生に立ち向かった。カッターの刃を長く出し、飛びかかった。周りで見ていた生徒は、普段おとなしい少女がカッターで怒鳴ると怖い学年主任の先生に飛びかかる瞬間を見てしまった生徒は、一歩退きたったっとっと、喉がはちきれんばかりのきいきい声を出して逃げていった。少女は謎の自信に満ち溢れていた。私は勝てる。少女はカッターで先生の体を何回も切りつけ、びろびろになった腕の肉を噛み切り、更にバラバラにした。眼球を綺麗に半分に切り、ゼリー状のものを丁寧に取り出し、水晶体を取り出し、水道で洗い、ハンケチに包んでポケットに入れた。舌を切り、首に刺し、血を浴びた。先生が死んだことを確認した少女は水晶体を食べた。うふふ、うふふ、たのしいわね、きょうのきゅうしょくはなにかしら、少女はスキップしながら廊下を7往復した。そのうち厳重装備の警官が少女を取り押さえた。少女は笑いが止まらず、腹筋が痛くて仕方ない。これで平和が訪れた!少女はそう叫び、水晶体を吐き出した。驚いた警官は少女に自由を許した。少女はカッターで自分の眼球を割った。うつくしさ、そうつぶやくと、少女は激しく嘔吐し、そのまま倒れ、動かなくなった。警官は腰を抜かし、ズタズタに切りつけられ原型をとどめていない教師の残虐な死体と両目からゼリー状のものと液体を垂らしながら死んでいる少女を血祭り後の廊下でただ眺めていた。