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友との日常に思うこと。シリーズ

友の目標が向かうさき。

掲載日:2012/06/22

『急な話でスマンが。

おまえさ、小学校ででっかい劇団の劇を見に行ったの、覚えてるか?』


言ってしまえば気楽な物だった。後は勢いにまかせて言わんとしていたことを伝えるだけ。

口頭で伝えるならともかく、メールでなら緊張しても噛みはしないし、しどろもどろにもなりはしない。


『うん。』

彼女は電子的な文字配置の上でうなずいた。


『じゃあ、その時おまえが俺のことを本当に少しの間だけ好きだったと言ったの、覚えてるか?』


彼は固唾を呑む。

文面では無く、実際にだ。


『なんとなく覚えてる(汗)』


ビンゴ。


『あれさ、なんで俺なんかを少しの間だけでも好きになったりしたんだ?』

あー、なんか死にたい。

彼はそんな事を思った。


まあ、お気持ちは察しますがね。


『だって、優しいしおもしろいし。あたし、そーいう人好きだからかな』


しばし静止する思考回路。

彼は納得……できなかった。おもしろいのはまだわかる。自分ほどの道化もそうはいないような気がしていた。

でも、文の真偽はともかく置いておいた。おかげで小さな決心が根を張りめぐらしてくれたからだ。


再び他愛のないやりとり。

お互いに好きな奴がいるかの問答が始まる。

予想通り、彼女は彼に食いついてきた。

そして、彼は言う。


『おまえだ』


などと。


彼女はきっと真摯に受け止めてくれたのだろう。


彼も、息を吐いてちょっとした達成感を感じた。

自分の口から伝えることはできなかったけど、一つの目標が達成されたのだから。


『彼女に、自分の気持ちを……好きだったという想いと、心から後悔しているという事実を伝える』


という目標だ。


おっと。ちなみに言っておくと、彼は彼女と付き合おうとは思ってなかった。実に率直に、『伝える』ということしか考えていなかったのだ。

それに、付き合おうなどと言っても降られるのは目に見えていた。


幸が不幸か、彼のそんな愚直さを知らずに、彼女は一日考えさせてくれと言ってきた。


嬉しかったのだろうか、彼は。


否。


ただ呆然としたのだ。数秒間、頭の上にハテナを浮かべながら。

勝算などなかった。

ただこれで終わりだと。自分は成し遂げたなどと、そう思っていた。

というか、冷静に考えれば予測はできたろうに。恋愛経験のなさには定評がある『彼』だ。



そうして、日付が変わり。

きっかり一日考えた後。つまりは祭り二日目の、さらに二日後に彼女からの『答え』が来たのだ。


それは、夜の9時前だった。

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