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電脳ロスト・ワールド  作者: 万卜人
不条理三兄弟
76/198

横断

 ゲルダは不審な顔になる。

「仕事? こんな〝世界〟で、まともに仕事をしていると仰るのですか?」


 二郎は「ぷっ」と吹き出す。


「仕事と言っても、探偵だよ。奴らは、この〝世界〟で、探偵事務所を開いているんだ。もっとも、ここでの探偵だ。世間で言う探偵とは、だいぶ違いがあるがね。さあ、行くぞ!」


 二郎は、さっさと道路を渡り始める。


 ひゅうーっと風を切って、二郎のぎりぎりを数台の車が駆け抜ける。

 ぶつかる! とタバサは思わず固まった。

 しかし二郎は、平気な顔で歩みを止めない。数台の自動車がすぐ真横ぎりぎりを通過するが、二郎はまったく気にも留めない様子だ。


「行きましょう」


 ゲルダ少佐は意を決したかのごとく、大股で道路に踏み出した。


 タバサも、ちょこちょことした小走りでゲルダに続いた。とり残されるのは厭だ!


 猛スピードで道路を車が通り過ぎる。すべて二人のすぐ側をブレーキを掛けることもなく、怖ろしいほどの勢いである。

 タバサはゲルダの顔を盗み見た。平気な顔で真っ直ぐ前を見詰めているが、頬にはじっとりと冷や汗を掻いている。


 道路の横断には、一生分の時間が掛かったかのようだった。

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