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電脳ロスト・ワールド  作者: 万卜人
エミリー皇女救出会議
69/198

真実

 会議が散会になると、首相は二郎とタバサに、そっと話し掛けた。


「ちょっと内密の話がある……」

 二郎はタークを見つめ、目を細める。

「何だね?」

「エミリー皇女のことについてだ」


 タークの目は、真剣だった。


「来てくれないか? あんたらに、皇女の秘密を明かしたい」

 二郎は「どうする?」とタバサを見た。表情に躊躇いが浮かんでいる。

 タークは懇願するような口調になった。


「頼む! どうあっても、聞いてもらいたい」


 必死に掻き口説くタークの勢いに、二郎とタバサは王宮を案内された。


 タークが二人を案内した先は、王宮の奥深くの、薄暗い廊下を延々と歩かされた一角であった。タークは懐からごつい、古びた鍵束を取り出し、ドアの鍵穴に差した。がちゃがちゃと音を立て、鍵が開けられる。

 素早く周りを見て、誰もいないことを確認すると、タークは素早く二郎とタバサを押し込むようにして部屋へと入る。


 背後でタークが再び施錠する音が響き、タバサは部屋の中を見渡した。


「何なの……」と、呆然と呟く。


 しゅーっ、しゅーっという単調な音が響いている。部屋の中には医療用のベッドが占領しており、一人の患者が横たわっている。


 少女らしい……とはいえ、痩せこけ、ほとんど肉のない手足は骨格が浮き出ていて、まるで骸骨だ。

 少女の顔にはマスクが装着され、枯れ枝のような手足には至るところ、医療用のチューブが無数に繋がれている。

 ベッドの横には巨大な医療用の器械──人工心肺だろう──が先ほどの単調な音を繰り返している。


「誰? この娘」


「エミリー皇女だ。これが皇女の、真の姿だよ」

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