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電脳ロスト・ワールド  作者: 万卜人
エミリー皇女救出会議
65/198

ナイフ

 タバサは二郎に囁いた。

「何を言っているの?」


 二郎の表情に、タバサはまた自分が馬鹿な質問を仕出かしたことを悟った。が、引っ込んでもいられない。


「教えてよ!」

「しょうがないなあ」


 二郎は、うんざりした声になり、身を屈めてブーツに差しているナイフを取り上げる。


「見てろよ」と二郎はタバサの目を見てナイフを握りしめ、空いている左手でタバサの右腕を掴みテーブルに固定した。

「な、何をっ!」

 タバサは悲鳴を上げる。


 二郎はタバサの悲鳴に取り合わず、いきなりナイフをタバサの右手の甲に突き立てた!


 どすっ! という鈍い音がして、タバサの右手の甲にナイフが突き刺さる。一瞬、ちくりとした痛みを感じる。タバサは思わず目を閉じた。


「見ろ、タバサ」


 二郎の声に、タバサは恐る恐る目を開く。

 自分の右手にナイフが突き刺さっている。しかし、案じられた血の一滴すら零れていない。痛みすらなかった。


 ぐい、と二郎はナイフを引き抜いた。右手の甲には、何の痕跡もなかった。まるで何事も起きなかったかのようだ。


「な? 大丈夫だったろう?」


 涼しい顔の二郎に、タバサの胸にむらむらと怒りが湧く。

「あんたって……なんて……!」


 怒りの余り、言葉がうまく出てこない。

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