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提案
「何? どういうことだ?」
二郎は肩を竦める。
「あの〝門〟は、見え透いた罠だよ。【ロスト・ワールド】に突入するなら、別の方法が必要だ。おれなら、それを知っているが、さて、聞く気はあるかね?」
二郎の両目は、試すような光を放っている。
タークは唇を震わせ、何か言いかけるが、二郎はおっ被せた。
「この前は、おれの忠告を無視したな。今度も、無視するのかね?」
タークは呟く。
「どうせよ、と言うのだ?」
二郎は顎を上げた。
「エミリーの救出部隊は、おれが召集する! おれに全面的に任せて貰いたい。だが、あんたの協力も必要だ。あそこに見える【ロスト・ワールド】の〝門〟だが……」
二郎は振り返る。
「あれは、さっきも言ったように、向こうの罠だ。うっかり入り込むと、シャドウの思う壺に嵌る。しかし、おれにとっては絶好の罠でもある。おれに任せれば、皇女を救出した上で【ロスト・ワールド】も始末できる。どうする? ターク首相」
「うぬぬぬぬ」と首相は呻いた。
逡巡がタークの眉間に深い皺を作り、いつまでも立ち尽くしていた。